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SSUに生まれ落ちた哀しきヴィラン「モービウス」

皆さんはモービウス観ました?海外での低評価が知らされた時はかなり心配していましたが、蓋を開けるとかなり楽しめる作品でした。

そんな「モービウス」のFilmarks感想を書かせていただきまして、それを再編集した記事になります。

それではモービウスの魅力について話していきましょう。(評価がイマイチな点についても後半で触れてます)

※この記事は映画「モービウス」のネタバレを含みます。ご了承ください。

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マイケルとマイロの友愛

作品のテーマは「壊れた物はもう元には戻らない」なのかなと考えながら映画を見てた。

冒頭の折り紙に書いた手紙のように元には戻らない過ちを犯してしまったマイケル・モービウスは名誉も含めて何もかもを失った。

ただし失ったものもあれば手に入れたものもある(ポストクレジットでの出来事のこと)....そんなヴィラン映画。

そして今回の作品の肝である「マイケルとマイロの友情」も壊れてしまって元には戻らなかった。

「モービウス」という作品は見ていた感じ完全にBLだった。マイロが一方的にマイケルの事を好きだったようにしか見えなくて、それが片思いのBLとも取れるのかなと思った。

でも本当にマイロはマイケルだけが頼みだったこともあって、かなりマイケルに心酔していたと思う。

マイロといえば力を手に入れた時の喜びっぷりが完全に「スパイダーマン3」の悪に染まったピーターみたいで笑っちゃったね。

そんなマイケルとマイロの友愛を描いたのが今回のモービウスという映画だったように感じる。

一線を超えたマイロをマイケルは本当は殺したく無かったんだろうけど、自分も含めて抗体を打つ事で過ちを終わらせようとした展開はかなり2人の関係を描けてて尊かった。

善悪の狭間で葛藤するヴィラン
「マイケル・モービウス」

そして主人公のマイケル・モービウス。彼は善と悪の間で揺れるヴィランとして描かれていたけど、その姿は鬼滅の刃の禰󠄀豆子のようだった。(特に遊郭編の暴走した時に近かった)

モービウスという映画の面白さの肝はこの自分の力を上手くコントロールできない彼の善と悪に揺れる苦悩だと思う。

人をもう救えないにしても、人を傷つけたくないと思うモービウス。そしてそれを上手く表現しているのは人工血液と本物の血液...「赤」と「青」なんだよね。

善悪のどっちの道を取るか。それを「血液の色」は映画のストーリーに違和感なく表現していたと思う。

そしてコントロール出来ない自分(自分が自分で無くなっていく恐怖)というのはMCUドラマのムーンナイトのような感じでめちゃくちゃ良いなと思っていた。

丁寧に描かれたヴィランのオリジン


で肝心のアメコミとしてはどうかというと...ちゃんと1人のヴィランとしてのオリジンを描いていたような気がしました。

感覚としては「インクレディブルハルク」のような展開や「キャプテンアメリカ」のようなスピード感だったかな。

あとヴェノムとかで観たような感じなのは否めないのでMCUみたいなアメコミを期待して観るとちょっと普通かもしれない。(というかMCUと比べること自体違うと思うけど)

そしてアメコミとして観ると結構見え方が変わってくるのかも.....僕はアメコミとしてというよりはヴィランとしてキャラクターをどう掘り下げているかに注力して観てた。

かと言って悪いところばかりという訳ではなく、バトル演出のVFXはかなり楽しめました。スローモーションの美しさや、エフェクトの演出は最高だったしそこだけでも一見の価値はあったかも。

モービウスのホラーSFとしての魅力

逆にSMUでよく描かれているSFホラー的な展開や見せ方はかなり良かったなと僕は思う。

僕は大好きだった「ヴェノム:レッドゼアビーカーネイジ」でもSFホラーとしてクレタスの怖さを充分描けていたね。「ヴェノム」もそう....なんだけどヴェノムがちょっと可愛いからそうでも無いかも。

そんなところで後でも触れるMCUと比べられてる事を見ても、SSUはマーベルだけどMCUとは違う独自の世界観が必要なんじゃないか?と思うんだよね。

そして今のところヴィランメインの展開になっているので、SFホラーに寄せた展開は良いんじゃないかと感じる。

サムライミ版スパイダーマンもグリーンゴブリンのホラー映画仕込みの狂気さが受けて、人気が出たと聞いてるしスパイダーマンはホラー系は得意なのかも。(今度のドクターストレンジもサムライミ監督でホラーみたいなので楽しみ)

ちなみに僕はアメイジングスパイダーマンで子供の頃リザードマンにびっくりした経験があります。


物議を醸す大胆な予告詐欺について

そんなモービウスはヴィラン映画のオリジンとしては普通に楽しめる映画なんだけど、なんかイマイチ評判が良くない。

アメコミ映画視点で考えると昨今のアメコミ映画ブームを鑑みても、MCUやThe Batmanと比べてハードルが上がってるのもわかるけどね。

あと予告編の映像が全然使われてない問題が作品の重大な欠点として致命的。

こうなった経緯としてはおそらく本当は2年前に公開する予定だった今作はNWHとの兼ね合いで再度取り直したんだと思う。

だから要所要所ぶつ切りで予告編のシーンとかも再編集された。あとポストクレジットは完全に新規かなと思う。

でもMCUでも初期の「マイティソー」「インクレディブルハルク」「キャプテンアメリカ:ファーストアベンジャー」なんかもこんなもんじゃなかった?と思うんだよね。

あともっと酷いアメコミ映画はあるにはあるからそんな言わんでも...とは思う。(あとMCUじゃないマーベル映画は過剰に叩かれる傾向も見られてそれは可哀想)

SSUはここから始まる

......とそんな賛否ある「モービウス」の良いところは賞賛し、悪いところは共感しながらも充分楽しめた。

そしてNWHの後のスパイダーマン映画ということで、今後シニスターシックス構想もあるみたいだし、まだスパイディもいないのでSSUはここからだと思う。

モービウスのポストクレジットでもスパイダーマンという言葉がついにSSUに出た時はかなり興奮しました。(まあモービウスは誰だそれって思ってそうだったけど)

マルチバースも含めて今後どうマイケルのストーリーが描かれるのか楽しみ。次はNWHでも出る予定だった「クレイブン・ザ・ハンター」かな。期待して見守りたいと思う。

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