ドライブ・マイ・カー(英題:Drive My Car)

総合:★★★★☆
 ┝構成 :★★★★★
 ┝演出 :★★★★★
 ┝映像 :★★★★☆
 ┝音楽 :★★★☆☆
 └独創性:★★★★☆

ー基本情報ー
監督: 濱口竜介
出演者: 西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、岡田将生など
製作年:2021

★おすすめポイント★
①数多くの映画祭で話題を呼び、アカデミー賞で国際長編映画賞を獲得する快挙。

②琴線に触れる再生物語。

③キャラの心情に対しての考察が止まらない作品。
 

▼あらすじ
舞台俳優であり演出家の家福は、愛する妻の音と満ち足りた日々を送っていた。しかし、音は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう――。2年後、広島での演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。さらに、かつて音から紹介された俳優・高槻の姿をオーディションで見つけるが…。
(公式サイトより)
 
▼構成
妻の不倫を知った夫だが、その妻が急に亡くなった。そんな悲しみを負いながら、2年後、演劇祭の準備の時に寡黙なドライバーと会い、彼女と会話することで負ってきた心の傷に少しずつ向き合う、人生の再生をするような物語みたいな作品。
 
▼演出
岡田将生の出場と退場に個人的に深い演出を感じた。西島秀俊が演じる家福は演劇祭の準備をするが、今まで自分がやっていた役を岡田将生が演じる高槻という若い役者がやる事になった。家福はあくまで演出家という立場だけでその舞台の準備をする。だが、最終的に高槻は事件を起こし、舞台から去り、結局家福がその役をやる事になる。高槻が演じる予定はワーニャという役だが、もしこの役が家福の傷を象徴するものであり、高槻がその役から退場したことは、傷から背を向けてはいけないというメタファーなのではないか。少なくとも、高槻の退場は家服の心情を大きく揺さぶる一大イベントだった。
 
▼キャラ
突如現れたドライバーのみさき。彼女は非常にレベルの高い運転の技術を有している。だが、それは彼女が中学生の時の家庭が貧しく、母親が水商売していた時に、仕事で疲れた母を起こさないよう丁寧な運転を覚えたという。下手な運転をすると暴力を振るわれるため、彼女はその時に傷を背負ってしまった。彼女の上手すぎる運転技術は辛い思い出から生まれたものだった。
 
▼その他
約3時間の大作だったが、役者のセリフと映像技術により、飽きることない時間を過ごせた。車の中でテープをかけながらセリフの練習をするシーンは印象的だ。視覚的だけでなく、聴覚的に西島秀俊の演技を楽しめる秀逸なシーンだ。最後みさきがなぜあの地に辿り着いたのか。色々と考察を楽しめる作品だった。
 
▼この作品が好きな人へのおすすめ作品
同監督の作品から、
→偶然と想像(英題:Wheel of Fortune and Fantasy)(2021)


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