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「37セカンズ」鑑賞記録

すごい!!とんでもない作品と出会いました!!!

日本人監督HIKARIさんが脚本も務める「37セカンズ」について今日は書きます。

物語の説明はおいおい…

始まり方から衝撃的でした。脳性麻痺で車いす生活の主人公ユマはお風呂に入るのにも母の助けが必要。まるで小さい子どものように、服を脱がせてもらい、お風呂に入る。この全てをさらけ出した映像にまずはハッとさせられる。

私たちは日常を送る中で、障害者のことを常に考えたりしない。でも、自分と同じように彼らにも日常があり、生活がある。時として見たくないものは知らぬ存ぜぬで、無意識かもしれない、通してしまっていることもある。

この始まりにはそういったものへの有無を言わさぬ力強さがあった。彼女がこの物語の主人公であり、これが彼女の人生であり、それを色眼鏡で見ることを許さぬ、というような真っ白な浴室の壁が印象的だ。何も包み隠さず、映していくという誠実さを感じた。

ユマは漫画家の才能がありながらも、表舞台に立つことはない。また心配性の母親がいるため、一人で出かける時にワンピースを着たり、お洒落をすることを許されない。

彼女は脳性麻痺という身体的障害による身体的不自由よりも、社会的な不自由を身に染みて感じていた。しかしそこに諦めも感じていた。漫画の代筆をしながらも自分が描いたのだと声を上げることもなく、母にお洒落をしたいと懇願することもなかった。それは「自分なんかが…」という思いがあったからかもしれない。

しかし、ユマはアダルト向けの漫画を扱う出版社である女性編集者と出会う。彼女はユマの描いた漫画を見てこう言い放つ。「作者が妄想で描いたもののどこが面白いの?」「エッチしたら、また連絡しておいで」と。

脳性麻痺のユマはエッチをしたことがなかった。だから良い漫画が描けないのだと言われた。彼女はそこで行動に出た。出会い系サイトに登録し、エロ動画なんかも観てみた。実際に男性とも会った。

結論から言えば、彼女は失敗してしまった。しかし!複雑な思いが渦巻く彼女に運命の出会いが!

同じように車椅子に乗る男性が楽しそうに女性と遊んでいたのだ。そして、ここで着目したいのは、ユマの運命を変えるのは同じように車椅子生活を送るその男性ではなく、その男性と一緒にいた女性だということだ。

ここで車椅子の人同士で意気投合して、色んなアドバイスをもらったりするのかしら、と思っていた私からするとびっくりで、その車椅子の男性はほぼほぼなんも言わない。人生の格言めいたことなんて何一つ言わないし、ただ自分の人生を謳歌している姿が描かれているだけなわけ。

そのかわりに、その女性、舞さんがユマの世界を広げてくれたんです。お洒落をすること、遊ぶことを教えてくれた。でもそれだけじゃないんだよなあ。

ユマが家出した時、「気がすんだらちゃんとお母さんに連絡すること」をユマに約束させた。舞さんの背景についてはあまり描かれていませんが、ああこの人にも大切な人がいるんだなと思いました。

とにかくこの映画のすごいところは人物描写。多くは語らなくともきちんとその人の生き方、考え方がひしひしと伝わってくる。表情や一言一言が物語ってる。

物語の素晴らしさとこのキャストあってのものだと思います。あー本当に最高だった。

物語はまだまだここから動いていくんですが、まあこの辺で…

とにかく、何も余計なことは考えず、観て欲しい。観たら分かるはず、この映画のすごさが。とにかく観て!!

あと、音楽もチョイスが最高!CHAIのN.E.O.がぶちかましております!!

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