いくつになっても「好き」との出会いは素晴らしい

久しぶりにまた書きに戻ってきました。
今回のテーマは「好き」について。
恋愛の話ではありません。

皆さんは「好き」なもの、何かありますか。
本当になんでもいいです、食べ物でも本でも人間でも事象でも、とにかく何でも…それについて考えずにはいられなくて、毎日たとえ数分であってもそれについて思いを馳せる時間が意図せずともできてしまうような「好き」。

それについて考える内に脳がオーバーヒートしてくるような、それ以外のことを考えるのに脳を使うのがなんだか勿体なく感じてくるような、それで寝不足が続いて熱が出てしまうような…あくまで私の場合の話ですが。

まあその時期が仕事も忙しくて精神的にも身体的にも疲れがたまっていたのもありますが、それでもそんなボロボロになってでも考えずにはいられない、そういう「好き」に出会ってしまいました。

「バットマン」です!

昔から好きなものが見つかるとそれに深く入り込んで楽しむのが好きで、昔はそれが『ハリーポッター』でした。入りは映画からでしたが何度も原作を読み直し、その世界の広がりと映画と原作での違いを比較しながら楽しみつくしてきました。

「バットマン」との出会いは恐らくノーランの『バットマン ビギンズ』が一番最初だったと記憶しています。当時の私はヒーローなのにどこか闇があり、人々から隠れるように己の正義を追い求める姿に衝撃を受けました。そのアクションや魅力的なクリスチャン・ベール演じるバットマンにも強く惹かれました。ただ今思うとノーランの描いたバットマンは、限りなく腐敗した街ゴッサムに絶望しその変化を望む一人の青年の姿であり、私はその絶望と強い信念によって突き動かされる人間のありように惹かれたのだと思います。だからそのシンボルとしてもバットマンへの「好き」はあくまで葛藤する青年への「好き」であり、バットマンというコンテンツそのものへの「好き」だと思うことはありませんでした。

その後もノーランのトリロジーを経てきましたが、あくまでノーランの描くブルースが好きなだけでバットマンへの「好き」に目覚めることはなく、23歳となったわけです…

バットマンへの「好き」に目覚めるきっかけとなったのは、巷で話題の映画『The Batman』が公開されるという話を聞きつけた去年の夏頃だったかな。ほう、新作が出るのか、せっかくならこれまでのバットマン作品を復習してみようかと思いました。トリロジーに入れ込んでいた私は前情報として映画で描かれてきたバットマン作品は少し趣向が違うという話は知っていました。だから長らく手が伸びず…今回も例にもれず、決心したものの手が伸びず、まず取り掛かったのはドラマGOTHAMでした。

これが大正解だったわけで、私が「バットマン」というコンテンツへの「好き」に目覚めるきっかけとなったわけです…

GOTHAMの魅力を語りだすと止まらなさそうなので、ひとまず「バットマン」そのものの面白さをまとめておこうと思います。

「バットマン」
ボブ・ケインとビル・フィンガーによって生み出され、DCコミックとして連載されてきたアメコミ。80年以上も愛され続けてきたコンテンツなわけです。アニメはもちろん、実写TVシリーズも存在してきましたが、どちらかというと軽いタッチの作品として扱われてきた流れが変わったのは80年代の実写映画化から。ティム・バートンが作った『バットマン』で描かれたダークでゴシックな世界が徐々に「バットマン」というコンテンツの世間での認識を変えていったのだと思われます。個人的にその続編としてティム・バートンが作った『バットマン リターンズ』はノーランのトリロジーに並ぶ、いやもしかすると超えるぐらいに好きな作品となりました。

同じ世界、同じ人間がこの80年、様々な媒体で様々な人間によって繰り返し描かれ続けてきたわけですが、これって本当にひとつのコンテンツとして凄すぎませんか…何故人々は飽きもせず、このゴッサムという街での物語を追いかけ続けることになるのか…

今の見解としてはこのゴッサムという街、「バットマン」の世界が不完全でありその意味であまりにも完璧なんだということが要因ではないかと思われます…

ゴッサムという犯罪にまみれ腐敗しきった街、そこで生きる人間の強烈な倫理観や思想、それに対抗して正義の名のもとに生きようとする苦悩。少しでももがけばより首が締まっていくような泥沼、閉塞感、絶望。なんて暗いんだ…と思うわけですが、この最悪の環境は決して架空のものとは言い切れない、現実世界の鏡写しのような部分もあると思うわけです。個人レベルの葛藤に始まり、格差社会という個人では太刀打ちできないような社会レベルの問題まで、ここではそういった様々な問題が渦巻いています。
見たくない現実世界が展開される、その怖いもの見たさのような強烈な魅力もこの「バットマン」の魅力なのでしょう…

あと自分が「バットマン」というコンテンツに惹かれたのには「解釈の違い」の面白さにもあると思います。何度も描かれてきたこの世界、それはその世界の創造主である監督や脚本家によって大きく左右されます。同じバットマンでも彼の何を描くかで大きく切り取られ方が変わってきます。ゴッサムという街や敵などの登場人物の捉え方も変わってきます。その違いがとんでもなく面白い。比較して、違いがある部分にこそ創造主の見せたいものがあるはず、その違いから創造主の見たゴッサムを覗き見る快感がたまらない…

「バットマン」は監督や脚本家の思想や哲学、信念のぶつけあい合戦ができるコンテンツ。原作をただただ再現するだけでなく、そこに自分のエッセンスを落とし込むことで自己主張、自己表現を行なう。その戦いを見守るのはレスリングの試合を見るような興奮と熱狂があり…

この興奮と熱狂を知り、私は「バットマン」が「好き」になってしまいました。この年になってもここまで面白い!とのめりこめるコンテンツがあること、自分にそのエネルギーがあったことに驚くばかりですがこれこそ生きる喜びでもあり…感謝しつつこれからも「バットマン」を追いかけていきたいと思うわけです。

皆さんにもそういった「好き」との出会いがありますように…まあ無くてもいいんですけれど、それが無いという人生の喜びもまたあるはずですから。

それではそろそろこの辺で、またGOTHAMの話もまとめていけたらいいなあ。新作『The Batman』はじめ過去のバットマン映画の話もまとめたいところ。ぼちぼちいきましょう…

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