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映画館に49回行ってわかったこと・後編

 みなさまこんにちは、いかがお過ごしでしょうか。スタッフたじーです。

 今日は前回に引き続き、映画の新しい?一風変わった?楽しみ方についてみなさまにお伝えしたいと思います。

③応援上映を楽しむ

 「応援上映」という言葉、みなさまはご存知でしょうか。

 (wikipediaに項目としてあるんですね。知らなかった)

 一言で言いますと、「上映中に声を出していい上映」です。

 内容はキャラクターへの声援や合いの手が多く、劇中の名台詞を一緒に言ったりもします。誰かが唐突に「ここ好きー!」と、今のシーンがお気に入りであることを主張し、それを聞いた人が「わかるー!」と答える、観客間のコール&レスポンスも発生します。

 劇場内も一応は公共空間ですから、完全に何を言ってもいいという訳ではなく、発言内容についてはだいたいがローカルルールか、作品制作者側が公に発したルールによりゆるく規制されています。

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↑愛用(?)しているペンライト。手元で光の色が変えられます 

応援上映では多くの場合、発声だけでなく光り物…こういったサイリウムやペンライト、うちわ等の使用も許可されています。

 キャラクターのテーマカラーに合わせてペンライトの色を変えたり、劇中歌のリズムに合わせて振ったり、画面の中のキャラクターに向かって自作のうちわで愛をアピールしたり…使い方は様々。一人で同時にペンライト3〜4本+うちわを扱う、ということも珍しくありません。

 また、この辺りのレギュレーションは作品によりますが、応援上映ではキャラクターのコスプレをした状態で鑑賞することが許可されている場合もあります。コスプレをした状態で映画を鑑賞するのも、応援上映ならではの楽しみ方といえます。私も実際に、画面の中だけでなく隣の座席にもキャラクターが居る…!という嬉しい事態に遭遇したことがあります。

 応援上映に関する話はここで終わり…ではありません。応援上映の中にもいくつかバリエーションがあるのです。

・通常の(?)応援上映

爆音絶叫応援上映…大音量での上映が特徴であるイベント、「爆音映画祭」の一環で開催される応援上映。通常の応援上映で使える光り物に加え、音の出るクラッカー等の鳴り物も使用OK。私が参加した回では観客全員にタンバリンが配られました。

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↑実際に配られたタンバリン。帰り道にカバンの中でシャンシャン鳴っていてちょっと恥ずかしかった覚えがあります

マサラ上映…光り物に加えてクラッカーなどの鳴り物が使えます。さらに立ち上がって紙吹雪を撒いたり、ジャンプしたりしてもよいことになっています。上映後は観客みんな、膝まで紙吹雪で埋まるそうです。

↑マサラ上映のメッカ的存在・塚口サンサン劇場さんの記事です

 マサラ上映は地方の劇場で開催されることが多いということもあり、私自身はまだ行ったことがないのですが、実際に参加した友人曰く、方言ネタが飛び交うなど、かなり「ご当地感」のある応援上映になるらしいです。

 応援上映は多々あれど、そのすべてに共通する特徴は「周囲との一体感」。この空間にいる観客は皆、この映画を、今、心から楽しんでいる…!という確信は、ストーリー・セリフをとっくに覚えた作品の鑑賞ですら、非常に心躍る、特別な体験にしてくれます。


④仲間との邂逅を楽しむ

 さて、応援上映で周囲の観客と共に声を出していると、そのうちに自然~と仲間意識のようなものが生まれます。それ故か、上映後には座席の近い人と互いに「お疲れ様でした!」「今日も楽しかったですね…!」と健闘(?)を讃え合う文化がありました。挨拶に留まらず、Twitterのアカウントを教え合うこともしばしば。こうして仲間の輪が広がります。

 映画を観終わった後は、その日出会った友人と感想を語り合いながら帰路につきます。上映を終えて積もり積もった感想は、劇場最寄り駅までの道のりだけではなかなか語りきれないため、「アフター」と称してカラオケや飲食店になだれ込むことも。

 映画公開から数ヶ月が経つと、映画館は事前にTwitterで知り合った同好の士とたまたまご対面、又は計画的なご対面をする場になっていました。さながら大規模なオフ会のよう。Twitter上では「明日の上映、〇〇さんが来るなら私も行こうかな〜!」といった発言も散見されました。人が映画館に行く理由は、時として「映画を観る」という目的に留まらないのかもしれません。

トークライブを楽しむ

 上記のような楽しみ方を覚えたファン達は、映画公開から数ヶ月経ってもなお映画館に通いつめていました。そのうち映画館・製作側も「これはビジネスチャンスだ」と思ったのか、監督や脚本家、声優さんなどをゲストに招いたトークショー付き上映が首都圏各所で行われるようになりました。

 このトークショーはキャラクターの裏設定や製作秘話、はたまた今後のメディアミックス展開の予定などを聞くことができる、ファン垂涎の機会です。トークショーが付くとなると座席数500席程度の大きいシアターでも全席売り切れ、なんてこともありました。熱狂的なファンの情報欲、恐るべし。

⑥DVDとの違いを楽しむ

 2月になるとファン待望のDVD/Blu-rayが発売されました。これでさすがに映画館に通うこともなくなるのでは?家で観られるんだし…と思った読者のみなさま、そう思っていた時期が私にもありました。

 アニメーション作品はDVD収録に伴い、作画や色の修正が行われることがあります。そう言われると修正箇所がどこであるか、探したくなるのがファンというもの。

 そして、修正されていないバージョンの映像を観て答え合わせをするには、これまた映画館に行かなければならないのです。

 この「修正前後間違い探し」に加えて、映画のDVDには監督・脚本家のコメンタリー映像などが収録されていることも多く、これらを鑑賞したうえで再び映画館の大きいスクリーンで映画本編を鑑賞すると、制作者の細部にわたるこだわりに改めて気づかされることでしょう。


 以上、映画館に49回行って私なりに発見した、映画の様々な楽しみ方についてお話しました。

 映画の世界もモノ消費からコト消費へと戦略を広げている一方で、ウィズコロナ・アフターコロナの世界では、コンテンツ産業に関しては「家で楽しむ」がキーワードになってくるものと予想されます。

 それでも私は、映画館で、映画が、観たい…!!これほどの楽しさは一度知ってしまったが最後、忘れることなど最早できません。

 今はただ、心置きなく映画館に行ける日々が早く戻って来ることを祈るばかりです。

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追記:私のように、映画館での応援上映にすっかり病みつきになった人間の声が届いたのか、2020年9月現在、サイレント応援上映なるものが各地の劇場で実施されるようになりました。発声はできないもののペンライトやうちわは使用してよく、それらを使って感情表現をすることになります。実際にサイレント応援上映に足を運んだ友人曰く、「後方座席から見ると、観客が周囲と息を合わせてペンライトを一斉に動かしている様がとてもキレイだった」とのことです。

 そして更に、上映中にスマートフォンから投稿したコメントが画面上に流れる形態の応援上映も(試験的ではありますが)始まるそうです。鑑賞体験の進化は、コロナ禍においてもとどまるところを知りません。


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