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ふたりの夢が叶ったら、また会おう

ただただ好きな人と隣で一緒に生きられること
それがどれだけ幸せなのか、身に染みて痛感した
2時間だった。

何の変哲もない退屈な毎日に突然、彗星の如く
現れた彼女はあまりに魅力的で、すぐに彼の全てになった。彼女の喋る言語を習得し、映画のチケットを渡してデートに誘う。彼女は否定も肯定もせず、
どこか掴めないような儚い女の子で、
そこがまた彼の気を惹くのだった。

ここからは彼らを名前で呼ぶことにする。

まだ18歳のジミーと22歳のアミ。
劇中でジミーが何度も、色々な呼び方で
「アミ」 と呼びかける場面があるのだが、
そこがなんとも愛しくて、でも最後に全てが
明らかになってから聞くと本当に苦しくて。


ジミーにとってアミとの出会いや過ごした日々は
鮮烈に甘く、記憶に刻まれていて
アミにとってもジミーは
「四つ下のシャイなボーイフレンド」 だった。

なのに、それなのに2人は
2人の幸せに辿り着けなかった。
夢を叶えたら会おうと言ったのに、もう会えない。

人は死んだら全てなくなる、とまでは思わないが
もう二度と、何がどうなってもたとえ天地が
ひっくり返ってももう彼女には会えない という
事実は、1人残されたジミーには重すぎて
あまりに残酷だった。


ジミーに幸せになって欲しいが為に
彼氏がいると嘘をつき続けるアミと
それが嘘だと分かりながらも
ただただ恋をしていたジミー、
そんな彼とって18歳の1年は
人生の分岐点になっていた。


アミの地元である只見町にジミーの乗る電車が
滑り込み、トンネルから抜けたあの景色が忘れられない。 息を飲むほどに綺麗で、アミの真っ直ぐさは
ここで培われたものなのだと
これ以上無いほど納得したに

そこからはあまりに重すぎる事実を連続でただただ
突きつけられるシーンが続いた


なんとなく予想はしてたもののアミが亡くなっていたことや、周りに止められながらも旅に出たこと、
彼氏がいるなんて真っ赤な嘘だったこと
様々なことが明かされた

アミのお母さんがアミの部屋にジミーを
案内してアミの作品を彼に手渡したところで
私はもうダメだった
アミがあの旅で出会った景色や仲間たち、ジミーへ
向けた言葉達はジミーの目にどう写ったのだろう

旅で見に焼き付けた景色を絵に残すため、
そして4つ年下のシャイなボーイフレンドに
再び会うために最期の命を燃やしたアミ
彼女の絵は雪の降る只見町のように
素直かつ暖かく、キラキラ光っていた


全てが美しかった
旅をして自分を確かめようというアミの意志も
未知の土地でのジミーとの出会いも
彼と一緒に飛ばしたランタンも
アミがカラオケの壁に書いた大きな絵も
スケッチブックに書かれた小さな絵も
彼には幸せになって欲しいから病を悟られるまいと
1人で戦ったアミも
36歳になってようやく向き合おうと覚悟を決めて
アミのいた街へと赴いたジミーも
新しい生活へと踏み出した彼も
若いなら若いなりに、歳をとったなら歳をとったなりに彼らが思う「青春」を生きていたのではないか

18歳で1度時計が止まったジミーの時間も
きっとまた、動き出す。
ジミーのこれからはどのように
繰り広げられて行くのかな

かけがえのない時間とはこういうことを
言うんだな、と。
生きていられる今を大切に、私も旅に出たくなる
そんな作品だった

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