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「CAFE規制」と放送法

 突然ですが皆様、「CAFE規制」という言葉を御存知でしょうか?
 政治の話ではなくクルマの話なのですが、CAFE規制とは、

「Corporate Average Fuel Efficiency = 企業間平均燃費」

 のコトでありまして、自動車メーカー別で平均燃費とそれに基づく二酸化炭素排出量を算出し、それを超えたら罰金を課すというもので、アメリカやEU諸国で始まり日本も追随する形で2019年に「2030年以降に企業別平均燃費を25.4km/h」の達成を求める規制案が出ています。

 この「企業別」というのがミソでして、トヨタやホンダ、VWにBMWなどの各メーカーが、自社で出してる “全車種” の平均燃費が達成されればイイわけで、更に言えばCAFE規制の枠を他の自動車メーカーと売買できるという “抜け道” も用意されており、例えばホンダは電気自動車再大手のテスラと二酸化炭素排出枠を融通して規制をクリアするようにしているようです。

 とはいえ、やはり規制達成は簡単ではなく、しかもクルマのトレンドがSUVなど大型化していく中でフツーのエンジン車をつくっていたらとても届かない目標のため、それがクルマのEV化やHV(ハイブリッド)化、そしてMT車も技術の進歩でATやCVTの方が燃費が良くなった結果、MT車の販売がドンドン減ってきています。

 例えば日本が世界に誇る最強のオフロード車「ジムニー」は、その使用環境から容易にHV化など出来るハズもなければ、強固ながら重くて燃費悪化に繋がるラダーフレームをやめるワケにもいかず、最新型は燃費向上したとはいえ4ATで14.3km/h(5ATにすると更に重量が重くなるので4ATが限界)、5MTで16.2km/hです。 こんなに燃費の悪いクルマ、他の自動車メーカーでは絶対に発売できませんが、スズキは軽自動車が中心で車格が小さく燃費の良い車種が多く、その結果CAFE規制に対して余裕がまだあるため発売するコトが出来たクルマです。
 ジムニーは一度モデルチェンジすれば20年は売り続けるコトが出来るクルマでは有りますが、では20年後に同じラダーフレームのエンジン車として発売できる保証は全くなく、いくら山間部で絶対的な需要が有るクルマでも二酸化炭素排出削減の流れには抗えずに次のモデルはボディが弱くなっても、モノコックボディを採用したHV車かEV車になっているかもしれませんし、ラダーフレームのジムニーを維持するために「マルチスズキ」(インドのスズキ車メーカー)製のジムニーになってしまうかもしれません。
 繰り返しますが、今、ジムニーが日本で発売できているのは、スズキがアルトやワゴンRといった燃費の良い軽自動車を作っているおかげなのです。


 で、ここから強引に政治に話を持ってきますが、高市早苗氏が辞めるだ辞めないだで盛り上がっている放送法について、このような話題が有りました。

 眞鍋かをりさんがTBS「ひるおび!」で、この問題について「正直、この文書がどれくらい影響力があるものなのかよく分からない。捏造とか本物だとか延々やっていて、何のための時間なのか、とも感じる」とコメントし、反自民界隈から批判されているようです。 町山智浩さんや反自民系のインフルエンサーなどから批判するツイートが出ていますが、これに安易に噛みつくのって、ちょっと短絡的じゃないですか? と私は思うのです。

 そもそも今回の件は、放送法が「政治的公平」の定義として、

「ひとつの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」

 としていたのを第二次安倍政権が「ひとつの番組内で公平を期す」ように圧力をかけていた疑いが小西参院議員が入手した文書によって明らかになったのが問題であり、事実その時期に政府に批判的な発言や報道をしていたTVキャスターが相次いで降板していたコトもあって、「サンモ二や報ステの内容を偏向呼ばわりするのは何事だー!」と怒ったワケでしょ? 放送局の番組全体ではなく、ひとつの番組内で政治的公平を強いてきたコトに怒ったワケでしょ?

 ならば、「ひるおび!」の眞鍋さんのコメントに対し「そんな政府寄りのコトをテレビで言うとは何事だー!」って怒るのもまた、ひとつの番組内で政治的公平を強いるコトになりませんか? と私は思うのです。

 よく考えてみて下さいな、「ひるおび!」TBSなら「サンデーモー二ング」「報道特集」TBSです。 現在の放送法が定義する「政治的公平」の中で「サンモ二」や「報道特集」が権力の監視という報道本来の役割を果たすコトが出来ているのは、TBSが一方で「ひるおび!」みたいに田崎史郎氏や八代英輝氏のような “権力の犬” を出す番組を作っているからではないでしょうか。
 それこそ、ジムニーが発売できるのはアルトやワゴンRといったクルマを発売しているおかげのように、ね。
 勿論、私も眞鍋さんのコメントは如何なものかとは思いますが、短絡的に怒らずに、こーいった発言が「サンモ二」や「報道特集」が真っ当で有り続けるための “トレードオフ” なんだと少し冷静に見る目も必要だと、私は考えるのですが、如何でしょうか?
 その怒っている自らの姿が、「非国民ガー!」などと騒いでいる時のネット右翼の方々の姿と合わせ鏡になっていないか、という一歩引いて考える視点は持っているべきだと思うのです。

 そして、そもそもですが眞鍋さんが自らの言葉でそう発言したかどうかも怪しむべきで。 所詮TVショー台本が有ってそのような趣旨のコメントを言うように指示が有った可能性も高いですよ。 だって、政治的公平という天秤の片方の皿に乗っている「ひるおび!」という分銅での発言であり、そして所詮は昼のワイドショーなんだから、それを歴史と伝統の有る由緒正しきニュース番組と同列に扱うコト自体、無理筋のような気がします。

 ちなみに、私が高校生の頃、学校に当時のワイドショーにコメンテーターとしてよく出ていた人が後援会に来て「ワイドショーのコメントは台本で予め決まっている」と言っていました。 そして、その方こそ、

 のちに政治家となり、現在渦中の人となっている、高市早苗氏その人だったりします。


もしかして、その時の発言も「捏造」だったのでしょうか・・・?




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