見出し画像

【レポート #68】長野県・塩尻市議会議員補欠選挙レポート(2022 9.25)


 塩尻市長選挙と同日に行われた塩尻市議補選。 “20年ぶりにトップが変わる” という市長選と比較すると地味な印象、軽く考えてしまうのは致し方ないですが、実はこの選挙から国政政党の “現在地” が見えてしまうのです。
 これだから選挙ウォッチはやめられない。 一見地味な「補欠選挙」の見方、味わい方、楽しみ方を、この記事から感じ取っていただけると嬉しいです。


◆観光スポット・名物紹介

  • 平出遺跡(平出歴史博物館)

 縄文時代から平安時代までの集落跡が見られる複合遺跡で日本三大遺跡に数えられる

  • 高ボッチ高原

 市の東端に位置し、牧場やキャンプ場がある。 また、諏訪湖花火大会の撮影スポットとしても有名

  • 奈良井宿

 重要伝統的建造物群保存地区に指定されている中山道の宿場町。 その、過度に観光地然としていない佇まいは個人的に馬籠宿や妻籠宿よりオススメ

  • ワインとぶどうの名産地

 塩尻市のワイン醸造は130年の歴史があり「五一ワイン」「信濃ワイン」「井筒ワイン」など国内有数のワインメーカーが揃う。 また、ぶどう農園が多数あり、シーズンになるとナガノパープルシャインマスカットを直売している


◆立候補者(定数3/4名)

山崎 油美子 (64) 無所属 新 NPO法人理事長
小口 直実  (61) 共産  新 政党役員
上條 元康  (57) 立憲  新 会社役員
石井 勉   (54) 無所属 新 自営業


◆POINT

①こんな美味しい選挙、滅多に無い!

 体調不良で辞職した1名と今回の市長選立候補に伴い辞職した2名を補充するための選挙。 来年4月には市議選(本選)がある予定なので任期は僅か半年となっていますが、定数3の補選というのは地方ではそうそうあるものではないので当選の確率が高く、しかも来年の本選で、他の議員が前回の選挙以来、市民に露出する機会が少ないであろう中で僅か半年のスパンで再露出するコトができ、市民に顔と名前を覚えてもらえる可能性が高いので、ココで当選しておくのは大チャンスといえるでしょう。
 そして、それは今回落選してしまう候補者も然りで、来年の本選は複数の落選者が出るであろう中で、この選挙で顔と名前を売っておけば本選で当選する確率が上がります。 この選挙で上記の顔ぶれなら供託金没収(有効投票総数÷議員定数÷10)になる可能性は低いので、「基本的に」落選しても本選で回収できるであろう選挙が、今回の補選です。

②ただ、共産党だけは、負けられない戦い

 だがしかし、①を全て満たさない候補者がひとり。 それが、共産党の小口候補です。

 同日に行われた塩尻市長選の有効投票数が27,469票で、先に書いちゃいますが市議補選の有効投票数が26,444票でした(何故か無効票が1,230票も出ている・・・)。 コレを補選候補者数の4で割ると、6,611となります。 従って、この票数を獲得できれば当選は間違いなく、コレに届かなくても近い票数であれば3位以内には入るであろうとなるのです。
 が、前回の市議選において共産党は2名候補を出しましたが、

◎前回(2018年)の市議選(定数18/20名)
[16位]柴田 博  (66) 現 1,023票
[18位]小澤 彰一 (64) 現      977票
 -------------------------------------
【19位】青木 博文 (72)  元    944票

 と、二名とも下位に位置し、うち一名は最下位で次点との差は僅か33票です。 そして二名の票を足すと2,000票しかなく、上記の6,611票には遠く及びません。 もちろん定数と候補者数が違いすぎますから単純な比較は出来ませんが、日本共産党という、良く言えば強い支持基盤がある、悪く言えば無党派層への広がりを欠く組織の候補者だけに、無視できない数字です。
 そして、7月の参院選比例区において共産党が塩尻市で獲得した票は、2,263票。 やはりこの辺りが塩尻市における共産党の基礎票と見て間違いなく、この補選で当選するためには支持者以外から票を獲得する必要が出てきます。 そしてもし今回の小口候補が基礎票程度の票しか獲得できなかったら、来年の本選も下位に甘んじるでしょう。
 そして、過去に取材した選挙から見て、共産党は現有議席と同数の候補は必ず出してくるので、下手したら二名のうち一名が落選する恐れすら見えてきてしまいます。 よって、小口候補は票を積み増した上で、絶対に勝たなければならない戦いだといえるのです。

 それでは各候補者に触れていきましょう。

フツーに考えると、国政政党という強い組織をバックに戦う候補が有利だと見えがちですが、そんな常識、全く通用しないのが地方選挙であり補欠選挙。 特にこの選挙は、まさに “真逆” になってしまいました。 一体何が起きたのか? 是非御購読いただいて御確認ください!

ここから先は

4,839字 / 16画像
この記事のみ ¥ 190

もし宜しければサポートをいただけると大変嬉しいです! いただいたサポートは今後の取材費として使わせていただきます。