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意味に戯れる




寂しいって何だろ

ずっと一人だったから

寂しいってどんな気持ちだったかなんて

知らないから寂しくないよ





『こんな寒い夜に一人で何してんの?』
「何もしてない…」
『え、何捨て猫なの?』
「わかんない」
『じゃー俺とくる?』
「え…」
『今日は鍋パだよ』



ずっと1人だった私に

初めて差し伸べてくれた手は大きくて
触れただけで
何かを努力してきた
優しい人なんだとわかった






ガチャ

『お邪魔〜』
「遅かったね、鍋できてるよ」
『ちょっと野良猫拾っちゃった』
「え?どこ…」


『あれ?いない…』
「何の話?」
『あれー、ここまで一緒に歩いてたのに…』
「猫なんだからついてくるわけないじゃん」



ーーーーー



「鍋パってなんだろ…」

再び一人で夜道を歩きながら
さっきの人と繋いだ手を見つめる…



「まだあったかい…」



見上げた東京の夜空は
昨日よりも、それぞれ星が輝き
孤独を歓迎した


私はこれからも一人だけど
私の人生であの時だけは
孤独じゃなかった事

その記憶だけで
私の人生は意味を持ち誇らしくなった気がする




でも

もし生まれ変わったら

その時は…

あの人のように優しい人のそばで

生きてみたいなんて

わがままを願ってしまう



🌒end🌔

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