【社会福祉法人】会計事務所は保育園会計のどこを見ているのか?
こんにちは。社会福祉法人の会計サイト「もう仕訳ない」と申します。
==更新履歴==
2018.07.19 初版
2022.04.13 第二版:データをH26→R02に更新、全体的に更新
第三版にてさらに画像追加予定
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はじめに
社会福祉法人は平成27年4月1日までに「新会計基準」に移行しなければなりませんでした。
また、平成29年度から「社会福祉法人改革」があり、会計基準も変わりました。
社会福祉法人をめぐる会計制度は、変化が激しく、情報をキャッチアップしていくだけでも大変です。
本記事は、社会福祉法人の経営する保育園の会計にスポットを当てました。
著者は会計事務所職員で、保育園をはじめとした社会福祉法人の担当をしています。
「自分が新人の時にこういう本があったら」という思いで、保育園会計の初心者に必要と思われるポイントを網羅することを心がけました。
一人でも多く、保育園の会計に携わる方のお役に立てば幸いです。
(注1)資金収支計算書の科目名と事業活動計算書の科目名は違いますが(例:「委託費収入」と「委託費収益」、「給食費」と「給食費支出」など)、どちらでも通じる意味が変わらない場合、本書では事業活動計算書の科目名を使用して説明を行っています。
(注2)本書は、保育園に会計担当者がいて、その会計担当者が作った計算書類等や総勘定元帳などを会計事務所職員がチェックする、という状況を想定して書いています。
(注3)根拠法令・通知等は、平成28年11月11日時点のものです。
■「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」の一部改正について(平成28年11月11日付け)
■子ども・子育て支援法附則第6条の規定による私立保育所に対する委託費の経理等について(平成27年9月3日付け)
====目次====
日常処理
【視点1】○○○○の収入を分けているか?
【視点2】○○○収益があるか?
【視点3】○○と○○○の区別をつけているか?
【視点4】○○○○○○○○○で利益を出していないか?
【視点5】雑収益に○○○○○収益が含まれていないか?
【視点6】○○○○の○○○収益があった場合、○○処理を行っているか?
【視点7】○○○率は適正か?
【視点8】研修研究費に○○○・○○○が入っているか?
【視点9】給食費に○○○○○○○○、○○○○○○○が計上されていないか?
【視点10】燃料費に、○○○○○○○が計上されていないか?
【視点11】保育材料費、消耗器具備品費、事務消耗品費に○○○○が計上されていないか?
【視点12】旅費交通費に○○○○が含まれていないか?
【視点13】使うべきでない○○○○を使っていないか?
【視点14】○○、○○○の内訳は?
【視点15】事業費と事務費の○○は?
【視点16】固定資産を購入する際、○○は適切か?
【視点17】○○○により固定資産を取得しているか?
【視点18】固定資産の○○○○は適切か?
【視点19】固定資産の○○・○○処理は適切か?
【視点20】固定資産台帳と○○は一致しているか?
決算処理
【視点21】○○○○による○○がされているか?
【視点22】○○○・○○○が残っていないか?
【視点23】○○○○は消去されているか?
【視点24】○○○○の処理は適正か?
【視点25】○○の○○○○に抵触していないか?
【視点26】○○○○○○が取れているかどうか?
予算
【視点27】○○のない科目で○○されていないか?○○を大きくオーバーした○○、又は○○よりも○○○○○○○○の○○がないか?
おわりに
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日常処理
【視点1】延長保育の収入を分けているか?
延長保育などを実施しており、市区町村等から補助金、保護者から利用料を頂いているケースです。
市区町村等からの補助金は「補助金事業収益(公費)」、保護者からの利用料は「補助金事業収益(一般)」で処理します。
平成29年度から会計処理が変わっているため、注意が必要です。
どちらか一方のみに金額が計上されている場合、会計事務所職員としてはチェック項目となります。
【視点2】寄附金収益があるか?
事業活動計算書(PL)を見て、寄附金収益がある場合、寄附金台帳が整備され、記録が行われているかどうかを見ています。
寄附金収益とは、PLの科目名でいうと「経常経費寄附金収益」や「施設整備等寄附金収益」「設備資金借入金償還寄附金収益」「固定資産受贈額」等が当てはまります。
誰から、どのくらいの金額を頂いているか。
場合によっては不正行為の温床となる可能性があるため、所轄庁の指導監査でのチェック項目になっています(特に役員など、特殊関係者からの寄附に要注意です)。
したがって、会計事務所職員は寄附金について確認しています。
【視点3】受託と補助金の区別をつけているか?
委託費以外で、地方自治体から金額を頂いているものは、「受託」か「補助金」か、どちらの名目で受けているかを把握する必要があります。
判断に迷ったときは、お金を頂いているところからの「通知書」を見れば、受託か補助金かの、おおよその見当はつけられます。
区別を付けたら、「受託事業収益(公費)」か「補助金事業収益(公費)」のどちらかに計上します。
その事業に関連する保護者から頂いたお金は、「受託事業収益(一般)」あるいは「補助金事業収益(一般)」に計上します。