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読書会とオンラインサロン

 読書会がいま何故流行っていて、読書会のなかでも猫町倶楽部がなぜ成功したかをずっと考えている。今のところの結論を書いてみたい。
 猫町倶楽部というのは読書会を開催している日本最大の組織である。主催の山本多津也さんは読書会入門という本も出版していて好評である。

   実はということもないけれど、少し前からキングコング西野のオンラインサロンに僕は入っている。いつも西野が言っているのが、これからのビジネスはレストラン型ではなくて、BBQ型になるということだ。BBQ型とは、簡単に言うと、顧客の側がサービスの提供する側に参加して喜びを得る仕組みだ。オンラインサロンは、顧客が毎月お金を払いながら、サロンのために雑用や頼まれた仕事をしている。西野によるとSNSが発達した現代ではサービスに自分が参加することでインスタ映えというリターンが得られるから喜んで仕事をするということだ。僕としてはそれだけではなくて、オンラインサロンでただ働きすることで、人脈が広がるというメリットも大きいのだと思う。猫町倶楽部が成功したのもBBQ型の組織であることが理由として挙げられるだろう。 

    想像するに、猫町倶楽部が成長するにつれて、すぐに人手が足りないという問題も出てきただろう。そこで運営スタッフを雇うという選択肢や手伝ってもらう代わりに参加費をただにするという案も検討されただろう。だが、猫町倶楽部は儲けるための組織ではなくて、主催が楽しむために継続している組織ということもあってか、ほぼタダ働きのサポーターという制度を導入した。そのことが、猫町倶楽部の歴史で大きな分岐点になったと思う。運営の手伝いをすることを苦痛なことではなくて、喜びであると定義したわけだ。サポーターになることでSNSのネタになるし、そこで知り合った人と結婚する人も多いし、友だちも増えるし、転職のヒントや生き方も変わった人もいるだろう。タダで働くことのリターンとしては十分である。猫町倶楽部をオンラインサロンとしても見ても、だいたい一回で5、6千円払って、読書会と飲み会に参加できて、同じような趣味を持つ人と交流でき、有名な作家のイベントの手伝いができるのだから、オンラインサロンと同じくらい有意義なことは確かだろう。

 では、猫町倶楽部とオンラインサロンの違いはなんだろう。それは、運営スタッフに任期があるかないかの違いである。オンラインサロンは任期がないので運営の人たちは古株になるにつれて、権力を持っていく。そこが、オンラインサロンが宗教的と言われる理由だと思う。古株がオンランサロンの主催者に忖度して、新たな参加者の行動に口を出す。いわゆる自治厨と呼ばれる奴だ。自治厨が勝手に主宰者を権威付け、カリスマ化する。そしてプチ宗教のようなオンラインサロンが生まれる。逆に古株ほど力を持てるようにオンラインサロン内で階級制度を用意すれば良くも悪くも組織としての力は強くなるだろう。新参者に発言権がないというデメリットはあるが、古株が力を持つことで、主宰者の理念が新人にも伝わりやすいというメリットもある。例の箕輪が批判されたのも、オンラインサロンがプチ宗教化していたからだと思う。

  で、猫町倶楽部は任期制を導入しており、サポーターのリーダーにも権威がないので、宗教化を免れている。しかし、各々が理念から外れるようなことをすると組織が存続できないから、課題本は主宰者が絶対に決めるようにしているのだと思う。難解な文学とか芸術の本とか扱い、ホリエモンとか西野の本は扱わないので、オンラインサロンを運営している意識高い系とはソリが合わなそうだけれど、主催の山本多津也さんの公認恋人である紫原明子さんはもぐら会というオンランサロンを運営しているし、意外と猫町倶楽部とオンラインサロンは近しい存在だと思う。オンラインサロンが今批判されているのも、プチ宗教化していて、参加者に批判されないような体制がおかしいだけで、健全な運営をして仕組みとして参加者が幸せになれれば良い気がする。

 今のところ、オンラインサロンとして支持されているのは、就職や転職や副業なのに役立つか、主宰者と一緒に楽しめる組織だ。日本で一番登録者が多いキンコン西野のオンランサロンは、儲けた金で美術館を建設しようとしたり、ホリエモンのロケットに投資したりしていて、エンタメでサロンメンバーに協力を要請して、西野と一緒に楽しんで応援できる仕組みができている。

 僕が猫町倶楽部のイベントでオンラインサロン的で好きなのは、著者を呼んだイベントである。イベントは、まずグループごとに読書会する。そのときに著者がグループを回って質疑応答に答えていく。読書会のあとはちょっとしたレクチャーがあり、懇親会に著者が参加することもある。
 講演会だと一方通行で話を聞くだけだし、最後の質疑応答でも話の長いおじさんが自分の自己顕示欲のために質問することが多いのでストレスが溜まる。読書会があることで、有名人と対等に話せ、質問ができ、とても貴重な時間を過ごすことができる。自分から主体的に動く所がオンラインサロンと同じで現代のニーズに合っている。

現代人は、自分から動いて楽しむ遊びを知ってしまったので、ただただ受動的なだけな娯楽はもう流行らないだろう。猫町倶楽部やオンラインサロンのように参加者が主体的に動く仕組みを作ったほうがいいだろう。


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