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詩『紫陽花』(シロクマ文芸部✖️紫陽花を)

紫陽花を蹴っ飛ばしてやった。
うまいこと茎に当たったのか、薄紫の球体が曇天に映る。

高く振り上げた黒いローファーには、蹴り上げられたことに感情もない花びらが数枚貼り付いていた。

未練がましい花びら。
決して明日には散れない花びら。

遠くの方でクラクション。
もしかしたら、遠雷かも。
次の季節にはあと一生節、届かなくて。

私にとっては銃声。
どこを向けて撃っても、どうしてか必ず私の胸に必中してしまう雨音みたいな鉛の銃声。

煤けた黄緑に捧げた、5月だった私たち。
昨日までの貴方を知らない人の手に流れ落ちた貴方。
まるで宇宙の一部である法則が導いたみたいで、私は一つのちっぽけな細胞の塊。

滴るチーズフォンデュの束の間の優越に、黒板消しでやり直して。

子守唄を長いこと聞いていないという思いつきで、私という歳月に耳を傾ける。

耳を傾けて

首までもたげて

体こと転がって

地球の自転に巻き上げれる。

時速1500キロメートルで失った、愛。

♯シロクマ文芸部

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