冷凍庫の食材が全部ダメになっても大丈夫。


日曜日。
わたしの唯一の休日日曜日。

昨日は仕事だったから
日曜日こそはダラダラしよう。計画的に。
と思っていた。

だからお昼まで寝ていた。

お昼になりようやくお腹が空いてベッドから起きた。

腹ごしらえをする前に布団を洗濯しようと電源ボタンを押し、
メインディッシュとなるカップラーメンを作ってる間に昨日の夕飯の残りを温めようと冷蔵庫に手を伸ばした。


…………とその時

あれ?なんか冷たくない。

そこでお皿を取る動きが止まったと同時に
昨晩の記憶が一気に蘇ってきた。

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昨晩


仕事が終わって、18時に帰宅した私は、
日曜日を最高にする為に家事の全てを今日中に終わらせようと意気込んだ。

夕飯も食べず、部屋のあちこちを掃除した。

部屋の細かい隙間から、電子レンジから色んなフィルターに至るまで、明日の私がストレスを感じない様念入りに掃除した。

中でも私が頑張ったのは冷凍庫の霜取り掃除だ。

我が家の冷凍庫は自動霜取り機能なんてものはない冷蔵庫の為、時間を重ねれば重ねるほどそれに比例して霜が分厚くなっていくタイプのもので

食材を入れるたび霜で突っかかるほど分厚く成長していた。

いつか取らなくてはと思っていた。
その瞬間が今日訪れた。

冷凍庫の電源を切り、霜取り掃除に取り掛かった。

長年培われてきた我が家の霜はしぶといもので、
プラスチックのヘラで削るのだが、それはそれは長い時間がかかった。

熱いタオルで拭くことで氷を溶かしてみたり、角度をつけて削ってみたり。

大体45分くらい経っただろうか。

ついに冷凍庫の霜を全て取り終えた。

何という達成感だろうか。

買ったばかりの冷凍庫を思わせるツルツルな体内。
最高だった。

最高だった。

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そうだ。

電源を入れていないんだ。

慌てて冷凍庫を開く。

見事冷凍庫の食材は全て全解凍されていた。

昨晩掃除をしたのが20時としても今は12時。
電源が切れてから16時間は経過していた。

今の時期は夏。

ほぼ常温の状態で放置されていたお肉たちは
食べられるのだろうか。

あれこれ食材の心配をする裏側で

何度も時間よ戻れ。戻れ。戻れ。と言い聞かせていた。

あの時、冷凍庫の霜が取れたことの達成感ですっかり電源を入れ忘れていた自分を恨んだ。

取り返しのつかないことをしてしまった。

最高の日曜日の計画が、ガラガラと音を立てて崩れていく様な気がした。

わたしは意を決して冷凍庫に入っていた食材を殆ど捨てた。
昨日の馬鹿な自分を清算するために。

すると何故かはわからないが、
絶望的な気持ちが少し和らいだ様な気がした。


計画的な日曜日がもう一度蘇ってきた。

そうだ。捨てた食材をもう一度買いに行こう。
そのあと扇風機を洗って
見たかった映画を見よう。

絶望的な日曜日を最高の日曜日にするために。

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