老人ホームへ入居するという決定

これを本人から進んで出来る人は余程できた人である。私は色々な事情から5人の老人の最後の世話をする機会があった。最後の世話というのも病気の対応、老人ホームの入居、住宅の処分、土地の処分、永代供養の手続きと色々ある。

老人ホームの入居については3人の入居に関わったが、3人とも入居は嫌がった。1)自分はまだそんな老人ではない 2)知らない土地に引っ越すのはいやだ 3)自分の家があるのに何故お金払って他人の家に住むのか、等色々だった。

私自身、入りたいかと聞かれれば、“NO”と答えるだろう。子供や孫のいるところが良いに決まっている。しかし、核家族化が進んでおり、自分が親と同居しなかったのに自分は同居したいと言うのは図々しい話だ。

私が嫌がる親をホームに入れたのは、本人たちのためではない。ご近所に迷惑をかけたくないからである。ボヤを出したことがあり、老人の住まいでは火災が心配された。火を出せばご近所に大きな迷惑をかけることになるからだ。それ以外にも体の不自由な老人、認知症が始まった老人、身体が不自由な老人が街で暮らすのは他人に迷惑がかかる。それが施設に入ればお金で解決するのだ。本人たちも炊事・洗濯・買い物の必要がなくなり、健康についても看護師が面倒を見てくれる。

殆どの親は自分から進んでホームに入るとは言わないだろうから、周りの人間が説得するしかない。可哀想と思う必要はない。生き続ける以上は家族を含め周囲の人、ご近所に人に迷惑をかけてはいけないからだ。

政府は老人施設を必要なだけ作る資金がないので自宅で訪問介護を使って過ごせという。しかし、資金を用意できる人は施設への入居を勧める。私の親は贅沢が出来る状況では無かったが、施設に入居する資金はあったので助かった。周囲で何とか説得する必要がある。本人たちに任せてはダメである。絶対にダメである。