見出し画像

書店で気になったけどその日買わなかった本を3回目で買ってみた

書店に行った時、猛烈に気になるのに値段やその本の分厚さや、今の自分の精神状態的に読み切れるか等が気になってなんとなく次に買おう となることが多々ある。
最近それを3回繰り返して買った本を読み切った。

ミステリーはお好きですか

私はミステリーは恐らく好きだけど、積極的には買わない。どちらかと言うと恋愛系やあらすじを読んで面白そうなエンタメを選ぶことが大半だ。
そんな中、名画を扱ったものには随分弱い。
美術が特段好きというわけでもないし、美術館巡りを人より多くしているわけでもないが、印象派の絵画がなんとなく気になるのは日本人だな〜と思う。

3回迷った本

最近どの書店にも平積みでやんわりアピールされている絵画を扱った小説があった。
それが望月諒子さんの『大絵画展』だ。

ゴッホの絵とタイトルと、
タイトルの表現の仕方で一気に気になった。

これに3回迷った理由はいくつかある。
純粋にミステリーを読みたい気分ではない、文庫なのに税抜900円、その日のカバンに入らない。である。
読み終わって、そんな理由で買い時を逃していたなんて……と思うくらいには面白かった。

望月諒子『大絵画展』

帯には「美術ミステリー史上もっとも鮮やかに描かれた大どんでん返し!」とある。めちゃくちゃ気になる。

この本の始まりはゴッホの「医師ガシェの肖像」を巡るアツいオークションシーンから始まる。
当初予想されていた値段を遥かに上回る価格で落札されたバブル期から時を経て現代にうつる。
デザイン会社を営む荘介とスナックを営む茜。交わることのない2人が同じ時期に投資詐欺に遭い莫大な借金を抱え込む。
そんな2人に絵画強奪の話が持ちかけられ……。

と言ったストーリー。
うん、もうめちゃくちゃ気になるよね⁉️

私たちは何に価値を感じるのか

きっと映像化できないだろう小説ならではのストーリー仕掛け。今は亡き有名画家の作品を巡る壮大なストーリー。
自分の意思ではゆく道を選べない絵画たちを軸に、裏社会や美術界、世間に展開するその影響。
美術界の理不尽さや、絵画の価値についての説明を読んでるだけでも面白く、近年頻繁に開催される印象派の展示会について考えた。

画家やその絵について知った上で鑑賞したいと思っていた時期。必死に説明書きを読む自分と、絵を背に写真を撮る人たち。最初はそんな人たちを煙たがっていたけれど、私たちにできるのはその絵が描かれた歴史を理解することだけであって、価値は決められないし正直分からない。当初バカにしていた「なんか良いから」的な感覚で絵を観ることこそが現代では正しいのかもしれないと思わされた。

p.373「巨匠と呼ばれる人々の絵が人に感銘を与えるのは、本当は絵の出来ではなく、時代をそこにみせるからなのです。」

『大絵画展』 / 望月諒子

↑好きな部分

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?