深海のお話/1.フランベリ・ボワレとお菓子

フランベリ達が働く「第七劇場集団」。
その最上階に存在するリーダー達の仕事場「HOME」のおはなし。


「フラン、そろそろおやつの時間だ」
「今日のおやつはココアのマフィンですよ」

「...そうか、もうそんな時間か。いいね、小休憩にしよう。キュート、紅茶のポットを持ってきてくれるかな。それからワード、髪の毛がはねてるね。さてはさっき仮眠を取っただろ。おいで、直そう」

「あっマジですか...ありがとうございます...気をつけます」
「ふふ、仮眠室はどうだ?見たところ皆結構使っているらしいな」
「ええ、皆さんよく使っています。ストレス度や疲労度も仮眠室を設けたことで更に減少傾向にあります」
「そっか、いい事だな。僕の会社で働いてくれているんだ。できるだけ皆の要望は聞き入れたい。君たちも何かあれば言うんだぞ」
「今欲しいものはSwi....」
「それは今度雪原君が持ってくると言っていたじゃないか。僕もやりたくて仕方ない。」

カチャカチャと音をたてながらキュートが紅茶を持ってきた。
「ああ、あの...なんだっけ、捲り世からのゲーム機だっけ?たしかに僕も興味があるな...そこら辺「融解」の奴らに聞けばわかりそうではあるがな」
フランベリは紅茶を啜り、急に慌てた口調でこう言った。
「あ、やばい。今日夕立の会議行かないといけないんだった」
「え?」
「ちょっとワード、今何時だ」
「え、15時42分......」
「おやつ食べてる場合じゃねぇな!?16時05分から会議なんだよ.......マフィン1個貰ってくな、キュート、紅茶美味しかった、ありがと!それからワード、work1の奴らに休養をちゃんと取るように言っておいてくれ!!あいつらやり始めたら聞かねぇから!!じゃ行ってくる!」
「承知しました、行ってらっしゃいませ」
「気をつけろよなー....」

フランベリは窓の側に立ち、自身の影を3回、トントンと足で叩いた。そして何かをブツブツと呟くと、影にズブズブと飲み込まれ消えていってしまった。

「フランってああいう所あるよねぇ」
「だなー。夕立って言ってたか?とすると...剣....いや、足枷の所か。あいつ絶対アゲハとお茶会しに行くぞ。終了時刻までに帰ってくるか....」
「まあ帰ってこなくてもどうにかなるかと...。僕はwork1の皆さんを仮眠室に放り込んできますね」
「あー、そうだな。僕は紅茶の片付けと書類の整理でもしておこう。また後でだな」
「そうだね。今日の献立ハンバーグカレーだって。頑張ろ」
「やる気出たわ」

空は茜色がチラチラしています。もうすぐ夕方になるようです。第七劇場集団は今日も忙しなく動いています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?