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ポルノの『サウダージ』が2023年もカラオケランキング6位にいる理由

どうも、音楽大好きずーさんです!

突然ですが、みなさんはカラオケでサウダージって歌ったことありますか?
実はこの曲、想像以上にめちゃくちゃカラオケで歌われていて、「平成30年間で最もカラオケで歌われた日本の曲」ランキングで第7位なんです!なぜ…?

しかも令和に突入しても勢いは衰えず…
JOYSOUND「2023年上半期カラオケランキング」では第6位
令和に入ってむしろランクアップしてる…😱

移り変わりの激しい流行歌の世界、20年以上愛される曲は控えめに言ってバケモノ。すっげえ。でも、ポルノグラフィティの数ある代表曲の中でも、アニメや大ヒットドラマの主題歌でもないのに、なんでこの曲が…?

というか、サウダージは男友達も歌うし、スナックなんかに行くと女性もよく歌っていたり…歌い手が男女を問わない印象があります。

その理由を今回分析したのですが、多分その答えはメロディの”音域の狭さ”にあります!
大ヒット曲を総合分析した結果 「サウダージ」はJPOPの中でもおそらく最""記録の、バリアフリーな名曲だったんです。


まず音域とは何か

人間の喉を楽器として考えた時に、人が地声で出せる声の高さは大体下記くらいと言われてます。(個人差あり)
男=2オクターブ(lowG〜mid2G)=15音
女=1オクターブ半(mid1G〜hiC)=11音

当然、人間が歌う以上 歌はこの”音域”の幅の中で作曲されることに。
歌は高音を出す時のほうが体力を使うため、
Aメロは「低い音程」で淡々と→サビは「高い音程」で気持ちを爆発させるというテンションの差を利用して、歌が作られることが多いです!

特にシンガーソングライターの場合、「私ならここからここまで声が出る」と自分だけが歌える音域で曲を作る傾向があるので、カラオケ時に必要な”音域”も広くなりがち。

だけど、、その場合、「喉の長さ」「声の高さ」などの生まれ持った楽器の力が求められてしまい、誰でも歌える曲にはなりにくいんです。

じゃぁJPOPって大体どのくらいの音域が使われてるのか。音域を数値化してみました。見てみましょう!

※メジャースケールの1音を1pとしてカウント。例えばハ長調の曲で、1曲の中で使う音域の幅がドから1オクターブ上のレまでなら9pとなる。

▲平成30年間で最も歌われた20曲(JOYSOUND調べ)の音域
▲2023年上半期に最も歌われた曲(JOYSOUND調べ)の音域

この表は自分で作成してみてかなり興味深くて、まずは平成に比べて令和の曲は、平均約1.8音も音域が広がっていることがわかります。
また1曲の中での最高音も、平成A4(ラ)→令和C#5(ド#)と平均2音も向上しています。

これは、近年「ミックスボイス」という歌の技術がネットで広く知られるようになり、高い歌声を出せる若者が増えたこと、ボカロ仮歌による歌いやすさを意識しない曲づくりスタイルが流行した事で、今までより音域の広い難しい曲もよく歌われるようになってきた表れかもしれません。

しかし、やはり注目すべきはそんな激動の時代でずっと7〜6位に鎮座しているサウダージ

この曲だけ、6.5音しか使っていません。圧倒的に音域が狭いんです!!
(1番はたった6音。ラスサビで半音上に転調するので6.5音使用の曲となる)だから男女とも歌えてカラオケでおはこにしてる人が多い。

6音というのはマジで狭い音域で、その音域の幅で有名な曲だと
童謡「かえるのうた」などがあります。盛り上がりのあるポップソングを作ろうと思うと、最低でも8音くらいは必要なはずなんですよね。なのに名曲。。すごい作曲技術です!

▲サウダージの音域はJpopの中でも圧倒的に狭い!

上図を見ていただくとわかるように、なんと「男子も女子も歌える音域(ソ〜ソのたった1オクターブ)」の範囲内に、サウダージの音域はすっぽりとおさまってしまいます! すご!
このおかげで、サウダージは男子にとっても女子にとっても歌いやすい楽曲となり、カラオケ市場で2倍のファンを獲得することになったわけです。

ak.hommaほんますごい

サウダージを作曲したのは実はポルノのメンバーではなく、作曲家兼プロデューサーの本間昭光さん。いきものがかりや槇原敬之、広瀬香美などのサウンドプロデュースも担当し、ポルノグラフィティの楽曲を作る際は「ak.homma」という稼業名を掲げています。

(なんとカラオケでよく歌われる「アポロ」「メリッサ」「サウダージ」「アゲハ蝶」「ハネウマライダー」「ミュージック・アワー」などは全てこの方の作曲!すげー)

サウダージを作曲した時 本間さんが掲げた作曲テーマは「ラテン」。
本間昭光は当時、おそらくポルノのボーカル岡野昭仁の強みが「張りつめた高音メロディ」であることを理解していたのではないでしょうか。その魅力を楽曲中 存分に活かすためには、Aメロから常に高め・狭めの音域で勝負するのがいいかもしれない。そんな考えから、連続した高音域が印象的なラテン風味の楽曲を仕上げたのかもしれません。

※そんな狭い音域でも聞く人を飽きさせないように、コード進行にすごい作曲技術が詰め込まれているのですが、そこは下記動画で詳しく解説しています!(11:48〜)

とにもかくにも、こうして出来上がった狭い音域のメロディに、もう1つ歌詞という魔法がかかります。

あなたのそばでは
永遠を確かに感じたから
夜空を焦がして
私は生きたわ 恋心と

ポルノグラフィティ/サウダージ(2001)

この曲 主語は女性だが、実は男性の歌だそうです。
歌詞を書いたギターの新藤晴一さん曰く「男にも女々しい部分はあるから、それを描きたかった。男性の心模様を女性の主語に置き換えて歌っている」のだそうです。

だから、聞く人の性別に関わらず、男の人・女の人どちらも、自分をこの曲の主人公に重ねることができるんですね!

こうして、カラオケで男女問わず歌える奇跡の名曲が完成したわけです。

いつまでも流行るサウダージ

2001年の発売から20年以上が経った2022年。
ポルノグラフィティはYouTubeの「THE FIRST TAKE」でサウダージを歌唱。それをきっかけにいまネット上では、この曲をリアルタイムで知らなかった10〜20代の人気も集めています。

TikTokでは関連動画が現在3億7千万回再生
旧曲が聞かれにくい音楽サブスクリプションサービスでも、累計再生回数がなんと1億回を突破しました。無限に流行るやん、サウダージ。

本当にいい曲は、こうして世代を超えて受け継がれていくのかもしれませんね^^


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