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映画「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」レビュー

どうも、P子です。
ようやく公開されたウェス・アンダーソン監督の新作!!
監督の独自のユーモアとセンス、そしてパリへの憧れと雑誌「ニューヨーク」へのリスペクトがつまった素敵な映画でございました。

▼予告
https://www.youtube.com/watch?v=oDYkOILcDws

(あらすじ)
舞台はフランスの架空の街アンニュイにある雑誌「フレンチ・ディスパッチ」の編集部。米国新聞社の支社が発行する雑誌で、アメリカ生まれの名物編集長が集めた一癖も二癖もある才能豊かな記者たちが活躍。国際問題からアート、ファッションから美食に至るまで深く斬り込んだ唯一無二の記事で人気を獲得している。
ところが、編集長が仕事中に心臓まひで急死、彼の遺言によって廃刊が決まる。果たして、何が飛び出すか分からない編集長の追悼号にして最終号の、思いがけないほどおかしく、思いがけないほど泣ける、その全貌とは──?

雑誌をめくるように、物語は4人の記者による記事の物語のオムニバスになっています。
1.自転車レポーター
サゼラック(オーウェン・ウィルソン)という自転車で取材を続ける記者によるアンニュイの街や住人のレポート
2.確固たる名作
ベレンセン(ティルダ・スウィントン)によるアートに関する記事。
服役中の男モーゼス・ローゼンターラー(ベニチオ・デル・トロ)が看守シモーヌ(レア・セドゥ)をモデルに絵を描くようになり、美術商(エイドリアン・ブロディ)が目をつけ、新進気鋭の芸術家として売り出していき、、、
3.宣言書の改訂
記者の中立の立場を誓うクレメンツ(フランシス・マクドーマンド)による、学生運動リーダーゼフィレッリ(ティモシー・シャラメ)を取材した記事。友人の息子であった彼の宣言書の校正をするようになり、、、
4.警察署長の食事室
祖国を離れ孤高の博識者であるローバック・ライト(ジェフリー・ライト)のインタビューから始まる記事。
警察署長(マチュー・アマルリック)お抱えシェフのネスカフィエの取材のために食事会に招かれると、署長の息子ジジが誘拐されてしまい、、、

編集長役にビル・マーレイ、ジジの誘拐グループのショーガール役にシアーシャ・ローナンだったり、編集部にエリザベス・モスがいたり、
監督作品おなじみ常連キャストも含め、とにかく豪華。
大好きな役者さんがいっぱい出ていてニヤニヤしながら鑑賞。
記者の名前も言えるほど学生時代に「ニューヨーク」を読み込み、自宅にコレクションしているそうで、すべての登場人物にモデルがいて、記事からもインスパイアされているとか。

映像的にも今回も色々なことを試されていて
冒頭から釘付けで1カットごとに色々気になってしまい、かなりのカット数をテンポよく繋がれているので付いていくのに必死でした。
どのストーリーもユーモアが効いていて、チャーミングだし、
監督のリスペクトと愛が詰まったラブレターみたいな感じ。
ロケーションといい、セットの作りといい、
カラーとモノクロがいったりきたりしたり、
デジタルの時間にアナログでというか人のストップモーションをやっていたり(めっちゃ面白いけどこの撮影は何テイク撮ったんだろう、、、)
急に出てくる字幕の出し方、エンドロールまで作り込まれていて唸ってしまう。あらゆる仕掛けでも楽しめるし、繰り返し見たくなります。
セットの色といい、衣装のセンスといい(靴下とかも洒落ているし着こなすキャストにも)、音楽といい、
手作り感を大事に、細部にわたってすべてがこだわり抜かれていて、
監督はじめ、チームのみなさんに拍手を贈りたいです。
どれも素敵なんですが、特に2のストーリーが個人的に好きです。
モーゼスの描く絵は、ティルダスウィントンの旦那さんが描いているとか。
監督の“巻き込み力”も見習いたいです。
パンフレットには、モデルの記者についての解説とかもあって、
かなり読み応えがありました。
ニューヨークという雑誌を知らなかった自分が悔しいなぁ。
そして雑誌を映画にしちゃうというアイデアを今の時代にやるところがもう!友人である野村訓市さんが「(ウェスが)頭の中に作りたいアイデアがたくさんあっていきている間にすべて作品にできるか彼自身が心配している」という言葉が印象に残っています。新作公開されたばかりですが、今後もどんな世界を見せてくれるのか、楽しみですね。

くすりと笑えるしオシャレで愛らしい、素敵な映画でした。
こういうご時世ですが、できればみなさん是非劇場で!



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