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【週間】6月第2週の日本株市場/次週の注目

【軽いまとめ】今週の相場の要点

・方向感があまり大きく出ない米国市場に比べ、大幅上昇が続いた日経平均
・ただし月・金曜日の上昇が大きい一方で、水・木曜日は下落
予想外に日経平均が大きく上昇している中でのSQ週ということで荒れたか
・ほかの週に比べて大きな経済指標などイベントが少なかった
水素関連銘柄が政策関連として大きく上昇
・新興市場では主力所などが上昇、ただマザーズ指数は木・金で失速


【初心者投資家向け】今週の出来事

メジャーSQ

SQとは
Special Quotationの略で「特別清算指数」と訳されます。
先物やオプション取引には期限が存在し、その期限内に反対売買をして決済しなかった場合はSQ値とよばれる価格を用いて清算されます。
日経平均株価の場合は構成銘柄のそれぞれの始値を元に算出されます。

オプション取引の場合は毎月の第二金曜日、株式先物取引などは3の倍数の月の第二金曜日(3月、6月、9月、12月)がSQ算出日となり、それぞれの前日がSQ値を用いない場合の最終売買日となっています。

メジャーSQというのはこのうち先物・オプションの両方の期限が重なる3の倍数の月の第二金曜日のことSQを指します。

先物取引を利用していない人も多いと思いますが、例えば海外市場が動いている夜間であったり、取引の無い日(昨年から日本取引所グループ傘下で扱う物についても祝日取引が可能になった)などにおいて、翌日の相場全体がどうなっていくんだろうと思った際に日経先物などをみることがよくあると思います。そのため、先物取引をしていなくとも株取引をしていれば先物は少なからず馴染みのある指数です。

先物取引は現物株にも影響をあたえることがあります
例えば先物取引をヘッジ(損失の軽減)目的に利用している場合などです。
現物株を保有している状況で、今後の下落が心配になった場合に先物では売りのポジションを取っていれば、現物株を保有し続けながらも下落によるリスクをカバーできます。
他にも先物の価格が短期筋による激しい動きの結果、先物が現物よりも高くなってしまった場合、先物で売り、現物は買うといった取引を(主に証券会社などが)する場合があります(これを裁定買いという)。

もちろん先物だけを短期的に売買することで利益を取るという売買も多いわけですが、今紹介したように現物取引とのセットで扱うことも多いわけです。
これにより、先物の期日が近くなればそれを理由に動きが出る可能性があり、先物が動けばそれに合わせて現物の方でも動きが出ることが考えられます。
またSQ通過後も新たな限月の始まりということで、それに伴うポジションの調整が考えられます。そのため、SQ後の値動きについても動きが出やすいとされています。

ただしこれだけの理由を聞けば分かる通り、メジャーSQが「下落しやすい」とか「上昇しやすい」というような一方向に決まった動きをしやすいイベントでもないことも分かります。SQの直前までに大口や個人の投資家がどれだけの規模でどんなポジションを取っているのか決まった傾向があるわけではないため、あくまで「上下に"振れやすい"」という表現になってしまいます。
もちろん目立った大きな動きは発生しなかったという週も過去にはあります。

明確な方向感が予想できるわけではないものの、SQ週は存在を知っておくことで想像よりも動きが出る可能性があるということが分かって相場に臨めるという差はありそうです。
私のnoteでも前週に存在を触れたりしますし、イベント日程の中にも記してあるのでご活用ください。


【厳選3つ】今後の相場の注目点

・中国の経済下支えはあるか
経済統計などを見る限り、今年の経済再開の勢いが想像されていたよりも無く、中国株をみても他国に比べ低調となっています。このような状況が長く続いたり、顕著な数字が出たりすると、中国政府の方が動いて経済の下支え策を発表する可能性もあります。
【関連テーマ株】
・内需系銘柄
・資源関連銘柄

・AIブームによる問答無用の上昇はおわったのか
半導体関連など強い上昇がみられていたAI関連。最近では一旦上昇が落ち着きながらも、利確などで下落が大きくなったあとの反発も大きかったり。
米国の景気がこのまま"思ったよりも底堅い"状態が続くのかという不透明感もある中、3月頃のように「市場全体の不安の中でもこの分野には成長性あり」というような力強さは残っているのかどうか。
【関連テーマ株】
・半導体関連銘柄

・解散総選挙はやる?やらない?
選挙時は過去の経験則から上昇が期待できるという面も。(今週の夕方noteのコラムでも触れています)
ただ首相長男の秘書官辞職、自公の連立への陰りなどで解散期待がやや遠のいた印象。本当に選挙が近い場合は要注目イベントに。
また、最近の強い上昇がどこまで選挙期待を織り込んでいるのかも少し考えたいところ。
【関連テーマ株】
・子育て関連銘柄
・水素関連銘柄
・半導体関連銘柄


【厳選3つ】来週の注目点

・注目のFOMC、その前のCPI
来週はFOMCが控えています。この会合ではFedWatchにおける確率では利上げ一時停止(FF金利誘導目標の幅の変化無し)の予想が高くなっています。その発表の前には米5月CPI(消費者物価指数)の発表も。利上げがこれでピークを過ぎたというわけではなく、7月会合での利上げ確率は50%以上になっています。CPIが予想外に上振れた場合、来週のFOMCの見通しに関しても直前ということでさすがに混乱がありそうですが、「6月は据え置きにして、7月追加利上げを強く示唆する」内容で決着する可能性も。
ただし夕方noteでまとめたように、追加利上げの必要性を既に主張しているメンバーも数人いますので、油断は禁物。

・何もない?日銀決定会合
来週は日銀決定会合が控えています。植田総裁の発言への市場の注目度は高く、今週も衆院財務金融委員会での小さい発言などにも大きく反応する場面がありました。
ETFの処分について水曜日に話した際には以前と主張はほぼ変わらなかったものの、それだけで大きく売られる場面があり、その動きに考慮してか、金曜日では「ETFを持ち続けることも選択肢」として新たな主張(市場としては好感されると考えられる)が出ました。こうした動きを見ると、市場の混乱を招くような捉えられ方ができる発言は出にくいと期待できそう。
とはいえ日本の実質賃金の低下が続いており、春闘の結果が期待されたものの物価高に賃上げが追い付いていない状況が気にされる中、物価見通しなどへの変化が気になります。
(本当は今週の【深掘り】記事にするつもりでしたが、私生活が忙しくまだまとめ中。週半ばまでには記事を出すつもりです……)

・6月のIPOラッシュ間近
6月のIPOラッシュがはじまります。ただ"ラッシュ"といえるほど新規上場が多いのは21日からで、来週については2社のみ。前哨戦といったところ?
特に13日上場のABEJAはGoogleやNVIDIAが出資したディープラーニングベンチャーということで注目度が高くなりそう。


イベント日程

2023年6月第3週
06/13 (火):米5月消費者物価指数
06/13 (火):FOMC(~6/14 日本時間15日早朝にパウエル議長会見予定)
06/14 (水):米5月卸売物価指数
06/15 (木):米5月小売売上高
06/15 (木):米5月鉱工業生産
06/15 (木):米6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
06/15 (木):ECB理事会
06/15 (木):日銀金融政策決定会合(~6/16 16日に会見予定)
06/16 (金):米6月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値

2023年6月第4週
06/19 (月):ジューンティーンス 米祝日
06/20 (火):米5月住宅着工件数
06/22 (木):英国金融政策委員会
06/22 (木):米5月中古住宅販売件数
06/23 (金):S&P Global 米国PMI速報値

2023年6月第5週
06/27 (火):米5月耐久財受注 速報値
06/27 (火):米5月新築住宅販売件数
06/28 (水):配当・株主優待 権利付き最終日
06/30 (金):米5月個人所得・個人支出・PCEデフレーター

2023年7月第1週
07/03 (月):インディペンデンスデー前日 米短縮取引
07/03 (月):米6月ISM製造業景気指数
07/04 (火):インディペンデンスデー 米祝日
07/05 (水):FOMC議事要旨公表
07/06 (木):5月JOLTS雇用動態調査
07/06 (木):米6月ISM非製造業景気指数
07/06 (木):米6月ADP雇用統計
07/07 (金):米6月雇用統計

2023年7月第2週(SQ週)
07/12 (水):米6月消費者物価指数
07/12 (水):ベージュブック公表
07/13 (木):米6月卸売物価指数
07/14 (金):米7月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値

2023年7月第3週
07/17 (月):海の日 日本祝日
07/18 (火):米6月小売売上高
07/18 (火):米6月鉱工業生産
07/19 (水):米6月住宅着工件数
07/20 (木):米7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
07/20 (木):米6月中古住宅販売件数

2023年7月第4週
07/25 (火):FOMC(~7/26 日本時間27日早朝にパウエル議長会見予定)
07/26 (水):米6月新築住宅販売件数
07/27 (木):日銀金融政策決定会合(~7/28 28日に会見予定)
07/27 (木):ECB理事会
07/27 (木):米6月耐久財受注 速報値
07/27 (木):配当・株主優待 権利付き最終日
07/28 (金):米6月個人所得・個人支出・PCEデフレーター

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