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『ウマ娘』のエロ縛りが魅せた健全ファンアートの隆盛

『ウマ娘』界隈のファンアート、「エロがダメ」の縛りによって、『ウマ娘』の個々の良さやカップリングの良さをプレゼンするようなイラストやマンガばかりが流れてくる事象は正直面白い。

なので、適当に思ったことを書き殴る。

従来的には秘匿されるべきナマモノ・コンテンツ

モデルとなるものが三次元に存在するコンテンツを「ナマモノ」或いは「nmmn」と呼ぶ風習がある。「元ネタが実在する以上、エロ・コンテンツ化されている自分自身を見れば嫌悪感を持たれる危険性があるため秘匿すべき」との思考がそこに働いている。なので、「クラス内の男子の交友関係を腐らせる」は禁忌とされる。

ツイッターランドでは政治家がモデルにされたソレを目にしたことがあり、実際に薄い本としてジャニーズの某ユニットのものを読んだこともある。実際、配信遊びをしていた時は、そういう腐弄りをされたこともある。僕個人としては、特にそういうイジリに対して、嫌悪感が無かった。しかし、商品としての考えればブランドの売りたい方向性とぶつかる可能性はあるかもしれない。

これ系統の公式コンテンツといえば、亜種ではあるが僕的には『ヘタリア』が思い浮かぶ。そして、『ヘタリア』は国を扱うがゆえに韓国と揉めてTVアニメに影響があった経緯があった。過去の英雄達をキャラクター化したTYPE-MOONが提供するFateシリーズの現行コンテンツ『Fate/Grand Order』も他国の英雄を扱うがゆえに、秦の始皇帝の扱いで一悶着あったことも。

ナマモノと呼ばれる、実在する事物を扱うコンテンツは実際爆発物的存在なのは言うまでもない。ゆえに、エロ・コンテンツ自体を否定するつもりはさらさらないけども、ウマ娘がエロ縛りによって形成したファンアートの約束された健全展開は面白い。

ヘタリアは腐展開と呼ばれるBLがあるものだったし、Fateシリーズに関しては初手がそもそもエロゲーだ。アーサー王を女体化してアレコレしてしまうわけだから、なかなかにぶっ飛んでいる。とはいえ、日本の英霊は禁忌かといえば、とうとう卑弥呼に手を出した。怖いもの知らずだ。そのうち、神武天皇あたりも女体化されそうだが、さすがにそれをやったら右翼が黙ってなさそう。

とはいえ、実際問題、新選組に関していえば、ナマモノ(故人だけれども)でありながら、そのBL作品は多数存在する。赤穂浪士も存在するだろうし、戦国大名は言うまでもない。このあたりも、子孫は存在していることもあり、先祖を玩具にされていれば多少は気になる人もいるもんだろう。

実際、僕は和歌山の豪農や落ちぶれた老舗呉服屋の血筋なので、旭将軍・源義仲の子孫である説を主張する人が親族にいた身だ。その親族自体の話を父から聞いたに過ぎないが、それでも『Fate/Grand Order』に巴御前が出た時、やはり気になった。不快感は特になかった。

ただ、源義仲を女体化されたら、それはさすがに解釈違いと叫んでいたかもしれない。源義経が女体化されているものだから、ヒヤヒヤだ。しかし、巴御前のおかげで、源義仲が出演するとしても男性キャラとしての可能性が上がったのは、ちょっと嬉しい。(それでも裏切ってくるのがTYPE-MOONではある)。

さすがに御先祖説のある英霊は召喚したいんだ。そういう気持ちがある。どちらかといえば、御先祖ではないと想いつつも、実際の先祖が憧れた武将の英霊は欲しい。晩鐘が汝の財布を指し示す、いわゆるキング破産になりかねないので、天井無しガチャ・チャレンジは勘弁願いたい。

ナマモノ・コンテンツ特有の原典に詳しくなるムーブ

よくよく考えると、『ヘタリア』で国自体を好きになって留学した友人が幾人かいる。僕自身もイタリア兄弟推しであり、イタリア語の勉強なんかを軽くしたものだ(ほとんど覚えてないけども。覚えているのはイタリア語で「チンチン」は「乾杯」を意味する言葉ぐらい)、『Fate/Grand Order』で英霊キャラ化した人物の研究書籍がバカ売れした経緯もある。そう、岡田以蔵やサリエリが記憶に新しい。

そして、ここまで触れてなかったが刀剣擬人化コンテンツ(刀剣はナマモノとすべきか?の疑問もあるが)の『刀剣乱舞』は紺綬褒状に至った。

エロ縛りがなくとも健全展開自体するのがナマモノ・コンテンツの特徴ではある。ただ、ツイッターランドではエロが猛威を振るいやすく、目立つコンテンツとなりがちなのだ。

『ウマ娘』に関していえば、キャラ愛前面押出のファンアートがツイッターランドでバズりやすい流れになっているのは、エロ縛りの功名ではあるだろう。エロ・コンテンツ化の否定をしたいわけではないので、うーん、なんとも悩ましい。

エロ禁止縛りをされた一部ウマ娘トレーナーが辿り着いた業深い境地

かつて、僕がマンガアプリコンテンツ事業のお手伝いをしてた時、当時の上役が零した「エロは、ですね。儲かります。やはりエロは強い」の言葉を想起する。

エロは原動力になる。

それを証明するかのように、やはり魂がエロ・コンテンツを求める一部のトレーナー達が、「ウマ娘自体のエロはダメだからせめて……」と言わんばかりに、ウマ娘担当声優が過去出演したエロ・コンテンツの情報共有を始めた。カルマが深遠すぎて、たまらんものがある。

真理としてエロに罪はなし

『ウマ娘』はエロ無しでもコンテンツが盛り上がることを証明した。松本人志さんも「安易に下ネタに走るのはあかん。すぐ笑いがとれるから安くなる」みたいな話をコラムで触れた。(直後に下ネタのオンパレードだったが)

しかし、だから「エロ無しが素晴らしいのか」「エロは低俗だからダメなのか」の話になるかといえば、そうではない。エロを交えた上で、それが文学的価値を持つかどうか、といえばYESと言うべきだからである。

結局、多様性の話なのだ。「エロ無しコンテンツが偉い」「エロ有りコンテンツこそ最強」みたいな話では先細るしかない。それらは、可能性の枝葉の一筋でしかないのだ。選択の豊富さこそが真の豊かさなんだ。

某農大の樹教授(もやしもん)の言葉である。とても真理だ。エロありも,エロ無しも、駆逐されない世界であってほしい。

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