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【レポート】Dublin Pride Parade2023 に行ってみた!

語学留学を目的にアイルランド・ダブリンに来てから早4か月。学校に通いつつ、つたない英語で仕事や家を探したり旅行したり…といろいろありましたが、明日からついに編集者として日本の会社にリモートワークで復帰することに。大好きな会社なのでとっても楽しみなんですが、その前にせめて途中になっていたこの記事だけでも完成させたい!と思って、慌ててバイト後にカフェに飛び込みnoteを開いて書き始めた次第。

Dublin Pride 2023(以下、プライドパレード)が開催されたのは、遡ること3か月前、6月の終わりごろでした。軽めの行ってみた系レポートにしようと思ってたこの記事をそもそもなんでこんなにもペンディングしてしまったのかというと、私がちょうどこのパレードに足を運んだ時期、日本ではジェンダーマイノリティに関する新しい法律ができてそれが結構な議論を巻き起こしていたり、その数週間後には自身もジェンダーマイノリティでLGBTQ+の人たちのためにも活動していた私も大好きだったタレントさんが自ら命を絶ってしまったりと、かなり大きなニュースが続いてなんだかこの話題について気軽に言及するべきではないと思ったというか、正直怖くなってしまったんですよね。

でも、やっぱりそもそも日本人の少ないダブリンでこのパレードに参加できる人ってたぶんなかなかいないし、せっかく写真もたくさん撮らせてもらった。何より、プライドパレードってこんなに盛り上がるんだ!ってびっくりした経験を書き残しておきたい。なので、難しいことは考えずにサクッと書いていこうと思います。

朝からお祭り騒ぎ!予想を遥かに超えてきたダブリンプライドパレードの盛り上がり

2023年のダブリンプライドは6月20日〜25日の5日間にわたって開催され、この期間にシティセンター内ではLGBTQ+に関するさまざまなイベントが各所で開催されていました。そのうち私が実際に参加したのは24日のプライドパレード。

この時はシティセンターからちょっと離れた地域に住んでいたので中心部まで行くのにバスを使っていたのですが、最寄りのバス停で早くもレインボーマークのメイクを施してレインボーカラーのソックスを履いているかわいいティーンエイジャー2人に遭遇。さらに、バスに乗っていたらレインボーフラッグを持ってカラフルなコスチュームを身に纏った人たちがどんどん増えていき。この時点で、私が予想していたよりも遥かにこのパレードが街にとって大きなイベントなんだなってことが感じられたのを覚えています。

パレードが行われるシティセンターに着いたらもう、それはそれは想像していた以上のすんごいお祭り騒ぎ。レインボーカラーのヘア、メイク、衣装、フラッグ…大勢の人たちが思い思いに着飾ってパレードが始まるオコーネルストリートに向かって歩いていました。怖いから実際行ったことないんだけど、例えるなら日本でいう渋谷ハロウィンみたいな感じかな?(笑)もしくはディズニーランドのパーク内みたいな感じ。とにかくみんな純粋に楽しそうで、街全体が活気に満ちているのを肌で感じられました。


道にはこんな感じで、この日のパレード用のレインボーグッズを販売するショップがたくさん。残念ながらなんにも持ってなかった私はせっかくなのアイルランド×レインボーフラッグのピンバッジを購入。着飾ったりグッズを身につけることが本質ではないと思うので自分がレインボーじゃないことはあんまり気にしないのですが、人々の衣装への気合の入りようには本当に脱帽で、見てるだけで気分が盛り上がる。

レインボーグッズの路面店。こんな感じのお店が無数にありました。
バングル、バッジ、ソックス…なんでもある!
フェイスペインティングを施してくれるアーティストさんも。
オコーネルストリート付近。
こんな感じで人が溢れていたので警備員さんはちょっと大変そうでした。(笑)

パレードは12時に始まり、中心部に当たるこのストリートから市民の大好きな公園、ステファンズグリーンが終着地。いざパレードが始まると、いくつもの団体がグループごとに旗を掲げたり楽器を演奏しながら行進し始めて、それはそれはもう賑やか。しばらくするとパレードを観覧している人たちも声を合わせて歌い始めて、この数週間前に初めて行ったナイトクラブを彷彿とさせる雰囲気に…笑

続けて、ディズニーでしか見ないようなでっかいゴンドラに乗ったドラアグクイーンたちが、人々の歓声を浴びながら前進開始。彼ら彼女らは本当にヒーローのように輝いていて、圧倒されてしまいました。

ちょっとビジネスっぽい話になりますが、いくつかの特大ゴンドラにはAmazonやindeed、Ryanair(アイルランドの航空会社)などのロゴがプリントされていて、企業のアピールという側面もあるんだろうけど、とにかくたくさんの企業がバックアップしてるんだなーというのもわかりました。

こちらはアイルランドの航空会社、Aer Lingusのゴンドラ。
ちゃんと飛行機なのがわかりやすい。(笑)
ヘアがすごかったドラアグクイーン。ちょっと美輪明宏さんに似てる?(笑)

老若男女、誰でもウェルカムなフェスティバル

ここからは、街で個別に撮らせてもらった写真を載せていきます。パレードに参加していたのはどちらかというと、若い世代(40代から下くらい?)が多いなあという感じだったのですが、それでも老夫婦でマーチに参加している人もいたし、観覧しているのは若いカップル、子どもを連れて家族で来ている人、友達同士で集まって来ている10代の子たち…などなど、どんな人も気軽に参加できるオープンな雰囲気がダブリンらしくていいなあと思いました。

ここまで見たらダブリンがLGBTQ+フレンドリーな街であることは容易に感じられるのですが、それでも、実際人々はどんな意識を持っているんだろう?と思って、上の素敵なティーン2人にちょっと聞いてみたら、フレンドリーにいろいろ教えてくれました。

「私たちの世代は、みんな当たり前にジェンダーマイノリティを受け入れているわ。このパレードのこともみんな知ってるし、パレードに来ることも普通のこと。親世代は、だんだんと受け入れるようになってきてるって感じかな。一方、祖父母の世代はまだまだね。特に宗教の影響を強く受けている人は受け入れにくい傾向があるわ。あと、他の都市、特に田舎の方はまだまだ理解が進んでいないところが多いかも。」

「私の家では、家族はみんなLGBTQ+を受け入れているよ。当事者の友達もたくさんいるしね!自分はゲイだと周りに言うことも、普通のことよ。」

なるほどなるほど…世代間格差や地域間格差があるのは日本と同じような感じかな。以前出会った西の地方からきたアイリッシュの大学生は、地方では残念ながら人種に対してもまだまだ偏見や差別があって、若い世代としてはそれが恥ずかしい…といった話をしてくれたのですが、ジェンダーマイノリティに関しても同じことが言えるのかもしれません。本当のところはわからないのであまりステレオタイプを植え付けるようなことはしたくないのですが、少なくとも若い世代がそう感じているというのは事実としてあるのかな、と。

ただやはりダブリンには、昔からロシアをはじめ他ヨーロッパ諸国から宗教やさまざまな理由で自国を追われて来た人々などを受け入れてきたという歴史があるからか、そもそも街に多様な人がいるのが当たり前で、とにかく来るもの拒まず、どう生きるも自由、といったマインドの土壌があるんだろうと、私自身ダブリンで生活していて感じます。それはジェンダーマイノリティに対しても同じで、きっとこの街は当事者の人たちにとってはとっても暮らしやすい街なんだろうな、と感じています。

ちなみにこのプライドパレードは、ダブリンのランドマークとも言える有名大学、トリニティカレッジで1973年に10人で行進したところから始まっているとか。当時はアイルランドでも同性婚は法律的に認められておらず、プライドパレードの本来の目的とも言えるジェンダーマイノリティの権利を主張することを目的としたものだったそうです。そこから数十年、この国では国民投票によって2015年に同性婚が法的に認められるように。(国民投票で合法化されたのは世界初だったそう。)なのでその後は、パレードはLGBTQ +の権利を主張するというよりは、さまざまな人々の存在や愛の形を祝うためのもの、といった認識、になっているのかなと思います。2019年にはパレードには6000千人を超える人々が参加するようになり、2023年、パレードは今年でちょうど50回目を迎えたとのこと。

「アイルランド国内では他の都市でもいくつかプライドパレードが行われいるけど、ダブリンのパレードは最大規模で、さらに年々規模が大きくなっているの。今回は初めて参加してみたんだけど、とても良い体験ができたわ。来て良かった!」

https://www.afpbb.com/articles/-/3049627

終わりに

そんな感じで、なんだかんだで長くなって時間も深夜になってしまいましたが、書きたかったことは書けたかな。

正直なところ、このパレードに参加していた人たちがどのくらい真にジェンダーマイノリティを理解しサポートしているのかはわからないし、レインボーファッションに身を包んで街に繰り出す楽しい日、みたいなノリで参加している人ももしかしたら多いのかな、と思えなくもない。

それでも、やっぱりこれだけの人がこの熱量で参加していたら、どうしてもジェンダーマイノリティの存在を認識せざるを得ないし、関心を持つ大きなきっかけになることは間違いないなあと思いました。

この話題がそうシンプルでないことも、当事者でない自分が理解できるのはほんの一部であることもわかっているつもり。でも、この記事が、誰かがどこかで、こんな街もあるんだということを知るきっかけになってくれたら嬉しいな…なんて思いながら、今日はここで終えようと思います。


来年のこの時期は私はダブリンにはいられないけど、いつかまたあの、人々ののびやかでいい顔を見られるのを願って。


参照記事:


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