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日本酒(清酒)業界のあれこれ(14) 東京都の日本酒

日本酒(清酒)業界のあれこれについて書いています
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今回は東京都の日本酒についてまとめてみます。

日本酒の情報はインターネット上に断片的に存在するのみであり、まとまった情報がなかなかありません。

またまとめられた情報も数年前のもので役に立たなかったりします。

追加情報をお持ちの方はコメント欄に書いていただけるとありがたいです。

筆者より

東京都は酒蔵(清酒の酒造会社)こそ少ないものの、非常にバラエティに富んだ酒蔵が多いです。

2022年現在 東京にある酒蔵は9蔵
創業順に並べると

1702年 小澤酒造株式会社(青梅市)澤乃井
1804年 中村酒造(あきる野市)千代鶴
1822年 田村酒造場(福生市)嘉泉
1860年 合名会社野口酒造店(府中市)国府鶴 ※委託醸造
1863年 石川酒造株式会社(福生市)多満自慢
1884年 野崎酒造株式会社(あきる野市)喜正
1926年 有限会社小澤酒造場(八王子市)桑乃都 ※委託醸造
1930年頃 豊島屋酒造(東村山市)金婚正宗、屋守
2011年 東京港醸造(港区)江戸開城

※合名会社野口酒造店は、かつては都内の渡辺酒造にて委託醸造していたが、渡辺酒造の廃業を受け現在は長野県の蔵にて委託醸造。原酒で仕入れて府中の水を加水しているとのこと。
※有限会社小澤酒造場は、かつては同じ八王子市内にあった中島酒造場にて委託醸造していたが、中島酒造場の廃業を受け現在は都内の小澤酒造株式会社にて委託醸造。

その他、特殊な酒蔵としては以下の4つがあります。

1873年 土屋酒造株式会社(狛江市)鳳櫻 
会社自体は存続しているためか「休業中」であるが、2004年に蔵を解体して現在はマンション化。実質的に廃業状態
東京都酒造組合のウェブサイトに掲載され続けているので免許が失効せず存続しているか(?)

2020年 木花之醸造所(台東区)ハナモグリ
「その他の醸造酒の酒造免許」取得(要するに「どぶろく」)
その後、新設された「輸出用清酒製造免許」を取得
輸出用であれば清酒(日本酒)を醸造できる蔵です

2020年 東京駅酒造場(千代田区)
はせがわ酒店という名酒酒屋が東京駅構内に酒造場を開設
「その他の醸造酒の酒造免許」と「リキュール製造免許」取得
最終的には清酒免許取得を目指すとのこと

(番外編)東京農業大学(世田谷区)
日本唯一の醸造・微生物専門教育学科である「醸造科学科」がある大学。
酒蔵の跡取り息子が多く在籍、卒業しています。
清酒の試験醸造免許もあり学内での醸造は可能(販売や飲用は原則不可)



このように、12蔵ほどしかない中
・約100年以上続く老舗の酒蔵:6蔵
・委託醸造等、既に自醸していない蔵:3蔵
・21世紀創業の新進気鋭:3蔵
という、とてもいいバランスになっているのが東京都です。
(尚、酒税法上では委託醸造していても自醸を名乗れるのですが、酒蔵の場所で製麹して仕込みをしているか否かという観点で書きました)


尚、近年廃業した東京の酒蔵としては
2005年廃業 大多摩酒造株式会社(青梅市)大多摩
2007年廃業 渡辺酒造合名会社(武蔵村山市)吟雪
2010年廃業 有限会社中島酒造場(八王子市)日出山
2018年廃業 小山酒造(北区)丸眞正宗

小山酒造の会社自体は不動産管理会社として存続しています。



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