見出し画像

ガチャの功(罪)

 スマホゲームでは基本無料でガチャ課金のスタイルが主流といっていい。批判されることも多いガチャだが、功罪の効があるからこそ広まり受け入れられているのではないだろうか。ガチャの罪については多くの方々が語っているので、ここでは功を中心に考えてみる。

 まず遊びの面から見てみると、ガチャは社会人にとって都合の良い遊びであることがわかる。
 ゲームに多くの時間を取れない人でも、ガチャを回すのならば一瞬で可能だ。ガチャは忙しい社会人でも通勤や仕事中にだって参加できるのだ。
 最上級クラスのトッププレイヤーであろうと始めたばかりの初心者でろうと関係なく、ガチャは回すことができる。ガチャは腕前を求めず誰でも受け入れるのだ。
 ガチャは外れたらその怒りをSNSに書き込み、当たれば自慢やキャラ絵をSNSにアップ。どういう結果であろうともゲームのコミュニティに参加できる。ガチャによって気持ちを共有できる仲間が得られるのだ。
 忙しくて腕を磨いたりできなくて周囲にゲーム仲間がいなくても、ガチャならば大丈夫ということだ。このように社会人にとってメリットがあったからこそガチャゲーは広く受け入れられているのだと思われる。もちろんお金が必要だが、社会人であればその条件はクリアしやすいだろう。社会人でもきついぐらい過剰に回してしまう人がいるのはまた別の問題だ。

 次いで、ガチャはゲームの幅を広げたという面もある。買い切りのパッケージゲームと比べて、ガチャはより熱心なプレイヤーからより多くのお金をいただく仕組みだ。これによって、パッケージゲームだったらファン人口が少なくて成立しなかったようなテーマのゲームでもガチャゲーであれば成り立つようになった。マイナーな題材でもゲーム化できるわけだ。
 ファンがこれまで求めて得られなかったあんなゲームやこんなゲームを今なら選り取り見取りに楽しめる。ガチャゲーのスタイルを受け入れられるのが条件にはなるが。

 ガチャには長期運営を実現させやすい面もある。
 パッケージゲームと違ってガチャゲーには継続的な売り上げがある。売り上げが続けばプレイヤーが望む改善のためにバージョンアップも繰り返せる。パッケージゲームだとよほどのヒット作でもない限りこうはいかない。小規模なバージョンアップを数回もやれればいい方ではないだろうか。
 もっともガチャが回らずバージョンアップどころか短期間でサービス終了の憂き目にあうタイトルも多いので、ものによる話ではある。

 こうして述べていくとパッケージゲームは劣っているように聞こえるかもしれないが、大ボリュームが完成度高くまとまって完結しているようなゲームはパッケージならではだ。市場がガチャに移っていったので、こうしたゲームを作るのはかなり難しくなった。ガチャのネガティブな効果ではあるが、プレイヤーが選択した結果でもある。

 世界的にルートボックスへの批判が高まり規制も進みつつある。日本でのガチャもいつまで飽きられずに続くのかはわからない。今後、また別の課金方法が生み出され、新たな功罪を生み、ゲームとプレイヤーの関わり方も変化していくのだろう。それはきっともう始まっている。

 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?