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「赤い疑惑」とピエール・カルダン【#1_山口百恵】2020年03月


コロナの最初の年2020年、緊急事態宣言下。

暇つぶしに見た昭和ドラマ「赤い疑惑」の衣装提供が世界的に有名なフランスのピエール・カルダンだったことに興味をそそられ綴ったテキトーな鑑賞日記。

今日は、主演の山口百恵について。

お若い皆さんは、まったくご存知ないだろう。あるいは名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれない。
1973年に歌手デビューし、瞬く間にスーパーアイドルとなり、TVの歌番組(昭和にはこの手の番組が多かった)、ドラマ、映画などにひっぱりだこだったが、人気絶頂期の1980年、ゴールデンカップルの相方、俳優・三浦友和との結婚のために引退。
以後、完全に表舞台から姿を消す。ずいぶんと長いこと活躍していたような錯覚をしてしまうが、その活動期間はたったの7年間だ。

その山口百恵演じる主人公の幸子は、父親が勤務する大学病院の事故に巻き込まれ、放射線に大量被爆。白血病になってしまい、闘病生活が始まる。
そこに悲しい初恋や、生みの母・育ての母との間の葛藤など織り交ぜながら、最後は幸子の生と死を感動的に描いた物語として終わる。
不覚にも最終回では泣いてしまった。

さて、そんな幸子(山口百恵)とピエール・カルダンの衣装。

正直なところ、山口百恵はアイドル時代からオシャレのポテンシャルが低めという印象があった。
実際、このドラマでも、カルダンのコスチュームがあまりオシャレに見えない。
しかしながら、それは彼女のオシャレのポテンシャルが低いからではなく、少女の頃から老成したムードを持っているせいだろう。
当時17歳。役柄でも17歳。
本来ならば等身大のはずの17歳の女の子が着る服が、醸し出すその大人ムードが邪魔をして、全く似合わないのだ。


学校の制服や、白いブラウスにベストみたいな無難な着こなしはさておき、たとえば、シリーズ序盤でよく登場した一張羅のワンピース(この頃のTVドラマは同じ衣装を違うシーンで着回しする傾向あり)の、トリコロールのコーディネート。
身体に沿うシルエットは、決して痩せ型ではない身体にかっちりとフィットし過ぎて、スタイルが悪く見えるし、モードな服に見えない。
たぶん、こういう服は、華奢でガーリーなタイプの女の子に似合うんだろうなぁ、今の時代の女の子たちならもっとうまく着こなすんだろうなぁ...と思いながら見ていた。

そしてさらに微妙なのは、生みの母を訪ねてパリを旅するシーンの衣装。
黒いタートルネックのセーターに、赤いタータンチェックのロングスカートとストール。
そして大きなお花つきの赤いニット帽。
これ着てシャンゼリゼのカフェでお茶を飲んだり、モンマルトルの丘をお散歩したり、リュクサンブール公園でスケッチブックを広げたりするわけだが、なんというか、ただただドラマの衣裳だから着ています的で残念な仕上がり。
こなれてない感がハンパない。
赤いタータンチェックなんて、普通17歳の女の子だったら大体誰でも似合いそうなものだが、やはりタイプによるんだな。なんでもっと似合う服を提供してあげなかったんだろう。

シリーズ中盤からは症状が悪化して入退院を繰り返すようになる設定なので、パジャマ率高し。さすがにパジャマはカルダンじゃなかっただろうな。

それにしても、TVドラマというのはテキトーなもので、深刻な被爆者であるはずの幸子、めまいや鼻血はたびたびあるものの、それ以外の普段は健康そのもの。冬山で遭難しかかって、最終的に光夫(三浦友和)を担いで帰還したシーンには、いくらなんでもそれはあんまりだと笑いすぎて椅子から転げ落ちた。(コメディードラマじゃないんだよ!)

と、まぁ、ツッコミどころ満載で、カルダンの衣裳どころじゃない状況だらけだが、その長閑さが昭和ドラマのいいところ。

次は三浦友和について語る。今日はここまで。


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