若者はどこへ行く。

自分はテレビ大好き人間なので、20代前半の同世代の中ではよくテレビを見る方だと思っている。もっとも、大学入学時の自己紹介で、テレビが好きですと言って、周りが全く見ていないなんてことは普通になっていた。好きな人が出ている時だけ見る。面白そうなドラマの時だけ見る。アニメが深夜にやっているのをみる。Netflixしか見ていない。そんな人ばかりな気がする。

一方で、自分が中高生だった頃は、Youtubeという文化の創成期であった。テレビの終焉が始まったと揶揄されるタイミングとも言えるが、自分はその頃からテレビにどっぷりになっていくのでそれがよくわからないというのはまた別の話。ともかく、ニコニコ全盛期から、実況の媒体が変わり、さらには、いわゆるYouTuberなんて言葉が生まれたタイミングでもあった。

そんな二つのメディアを見ていて、最近思うことがある。僕、というか僕らの世代(便宜上若者とする)に向けたものがほとんどないということである。

まず、YouTubeから書くとすると、YouTubeの変革の流れは非常に早かった。まだ世代なんて区切れないだろと言ったタイミングで、新世代新世代という言葉が使われていき、テレビとは比べものにもならないほど早い段階で、昔のYouTubeの方が良かったなどと言われている。デビューのしやすさと引退のしやすさが影響していると自分は考えているが、YouTubeの時代の潮流を読むというのは非常に難しいようである。そして彼らが見極めたターゲット層が、中高生だったのだ。

考えてみれば当たり前の話で、自分が中高生の頃に大人にやんややんや言われながら生まれてきた文化なのだから、自分が大人になって仕舞えばターゲットからは外れてしまうのだ。

これを痛感したのは、YouTuberが中高生限定のイベントをやっているのをみたり、チケット代が学生には高すぎると言われていたのをみた時だった。ああ、彼らの目には僕たちはいないのかなどと、悲しい気持ちになったのは覚えている。

では一方、テレビはどうだろうか。若者のテレビ離れが言われるようになってから、テレビはいわゆる若者向け番組を量産した。しかし、そこに出ているのも今やZ世代と呼ばれる現中高生ばかりになってしまった。昼の番組では若者はターゲットになっていないし、夜の番組も全く新しい存在はあまり登場せずに、ちょっと昔からいる人々が天下を取るまでを見せられている。

いつしか若手芸人の方も言っていたが、もう芸人さんたちの例えが、彼らの会話の中でしか出てこないものになっているし、調べないとわからないものになっている。タレントさん方の全盛期も知らない人が多くなってきてしまった。

テレビにおいてもちょうど狭間の僕たちは取り残されてしまったのだ。

誰も僕らを見ていないのかと言われればそんなことはなく、全年齢対象番組だってあるし、YouTuberの古参と呼ばれる人たちは僕らも大事にしてくれてはいる。映画界に関しては、若者の映画が最近増えているように思う。ただそれは、昔若者だった人たちでも共感できるからであろう。

そう考えると、今も昔も、月並みな言葉になるが、「何者でもない」期間に来てしまっただけなのかもしれない。

さあ今の若者達はどこに行くのだろうか。

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