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ゲームセンターに行く前に読んでほしいこと

ゲームセンターに行ったことがない人はいないだろう。
ゲームセンターに行く目的は様々だが、ゲームセンターにあまり詳しくない人は、何かのついでに行くことが多いかもしれない。
イオンモールの中のゲームセンターとか、ボーリング場のゲームセンターとか。
こういった感じで、ついでに行ったゲームセンターでお金をついつい使ってしまうのだ。
お店側の思う壺である。

100円割引のセールを目当てに行ったのに、いとも簡単に100円を使ってしまうのだ。

さて、本題であるがゲームセンターは風営法によってあらゆる規制をかけられている。これを意識すると、ゲームセンターがどのようなビジネスなのか。その店が何を考えているのかが読み取れてくるだろう。

1.時間

まずゲームセンターは24時間営業できない。営業時間は最長でも06:00〜24:00である。昔は日の出から営業できるという謎の縛りがあったらしいが、わかりづらいので6時からになったようである。

しかし、年末年始だけ25時(翌日1時)まで営業可能である。これは特例であって「特別日営業延長許容地域」に指定される年末年始に限る。

また、16歳未満や18歳未満の立ち入り時間の制限などもある。これらは風営法ではなく青少年育成条例による規制である。

2.概念としてのゲームセンター

ゲームセンターの定義を考えたことがあるだろうか。例えば、温泉宿にあるゲームコーナーはゲームセンターだろうか?なんかよくわからんけどしょぼいクレーンゲームだけ大きなレストランの端に置いてあるのはゲームセンターなのか?

その答えはこうである。
大きなレストラン等の店舗の片隅にたった1台のゲーム機を設置するなどの事例においては、法的規制の必要性が小さいと考えられ、警察庁生活安全局発の「風営法解釈運用基準」(以下「解釈運用基準」という)では、ゲーム機設置部分を含む店舗の客席部分の床面積に対して客の遊技の用に供される部分の床面積の占める割合が10パーセントを超えない場合は、当面風俗営業の許可を要しない扱いとすることが示されている。

10%

これを越えなければそこはゲームセンターではないのだ。
これを逆手に取り、ある複合型遊戯施設では人気のゲームを「通路」に置き24時間営業させるということも行なっている。

3.UFOキャッチャーにおける諸規制
①二次交換

まず風営法によって、ゲームセンターを名乗るのであれば景品の2次交換が禁じられている点は興味深いだろう。

ゲームセンターは風俗営業の第8号営業にあたるのだ。2次交換を行える業態はパチンコ店のみであり、それは7号営業にあたる。ゲームセンターと名乗る以上、景品に交換することができないのだ。
(パチンコ店を名乗れば交換はできるものの、18歳未満は立入りできない)

そのため、景品を獲得した後は、不良品であることが発覚する以外には他の景品と交換してもらうことができないのである。この点を理解していない客が店員と揉めることは多々ある。もし目当ての景品が展開されていない場合は、お金を入れる前に店員に交換してもらおう。

②景品の値段

景品の値段について考えたことがあるだろうか。一つの景品に幾ら賭けると損するのか、そんなことを考えたことはないだろうか。

そもそも風営法には、ゲームの結果で賞品がもらえるような形態のゲームを禁止している。


第二条第一項第四号のまあじやん屋又は同項第五号の営業を営む者は、前条第一項の規定によるほか、その営業に関し、遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない。

え?UFOキャッチャーって全部違法なの?と思うかもだが、実は商品ではなく景品ならば提供しても良いとこの条文は一般的に解釈されている。というより、黙認されている。「道徳心に反さず、射幸心をそそらない程度の金額の物品であれば、風俗営業法に違反していないと見做す」ということである。

でたー。笑。戦力ではなく実力みたいな論理。

さて、景品とはなんだろうか。射幸心をそそらない程度ってなんだろうか。 日本アミューズメント産業協会のガイドラインには、以下のようにある。


景品として提供する物品は小売価格でおおむね800円以下のものとする。小売価格とは、景品専用に開発された物品を除き、一般市場における価格とする。

なお、景品専用に開発された物品であっても1個あたりの価格はおおむね800円を超えてはならない。

アミューズメント施設における景品提供営業のガイドライン

また、同ガイドラインでは、酒類やタバコ類、性的な物品や公序良俗に反する物品を景品としてはならないとも記載されている。

つまり、景品のマックス価格は800円である。ちなみにこの値段は原価であることは留意するべきである。

読者は安さに驚いただろうか。しかし、800円以上かけたら損ということではない。これはあくまで原価であり、もし市場に流通していればそれに配送料や小売店の利益などを載せて約3.3倍の値段になるだろう。(ゲームセンターの景品が市場に出回る場合は原価率は3割が妥当。)

そのためゲームセンター側もそのくらいの値段で(800円の景品なら2600円くらいで)取れる様に設定しているところが多い。

業界用語で言うと、PB(pay back)率というのがある。1つの景品の原価がその景品を取るために使用された金額の何%を占めるのかを表す値だ。基本的には30%を目指してると言われている。

4.UFOキャッチャーには確率機がある

前章を読んで、何回で取れる様にとゲーセン側で設定できるの?と疑問に思う人もいたと思う。結論としてはできる。

最近はUFOキャッチャーは2つのアームのものだけでなく3つのアームがあるUFOキャッチャー(三つ爪キャッチャー)が景品コーナーで多くなっているが、この3本アームのUFOキャッチャーは基本的に中にAIが仕込まれている。

AIは基本的に、先程のPB率を達成できる金額まで、景品が持ち上がって移動し始めるとパワーを無くすという動作を繰り返す。
そして、目標の金額に達成すれば移動時もパワーを保ったまま、取り出し口まで景品を運んでくれるのだ。

読者にとっては衝撃的かもしれない。なんなら詐欺の匂いすらする。しかし、これら確率機(正確にいうと金額が貯まるまでパワー弱い機)が存在するという事実は変えることができない。
これら事実を踏まえれば、店員に景品の置き場所を変えてもらったり(UFOキャッチャーのアーム可動域の外に出た場合は変えてもらったほうがいい)、どこを掴めば良いか聞いたり、全然取れないんだけどと文句を言ったりするのはお門違いであり、店員を困らしてるだけで一向に獲得に近づかないということがわかるだろう。(店員はそういう対応には慣れっこなので、確率機であることには言及せず、やんわりと対応してくれるだろう。内心「確率機なのに何をこだわってんだろう」と思われているに違いない。)

では、どのようにすれば効率よく3本アームでも景品をゲットできるのだろうか。

①取れるまでやる
タイミングが悪く前の客が取れた直後だとしても4000円くらい払えばパワーは上がるはずなので、やり続けるしかない。途中で止めるのが一番良くない。他の客にハイエナされる。
ちなみにそれ以上払っても取れない場合は設定ミスの可能性があるので店員に相談するべき。
(店員も人間なので「取れねえんだよ!!」というきつい態度を取ると、まともに取り合ってくれないorいじわるされる可能性がある。物腰柔らかく相談するべき)

②何かの幸運でどこかに引っかかる
UFOキャッチャーがうまいとはこのことを言うことが多い。しかし、これで早期に獲得すると、次の景品で乱数調整が発生しとんでもない金額を払うまでパワーが上がらない可能性がある。連続して景品を獲得したい場合は要注意である。

とまあ、ゲームセンターに関連する法令や独特のルールなどを解説してみた。これらのルールを踏まえゲームセンターに行けば、さらに楽しい時間を過ごせることだろう。

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