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119番すると誰が来てくれるの? 

突然の腹部の激痛、突然の右半身麻痺、横断歩行中に車にはねられた。
こんな時、119番をして、誰が来てくれるのかと改めて聞くと、「救急隊員でしょ」、「救命士さんです」という回答が聞かれます。
ただ、この方達が何者かどうかって聞くと、医学生でも答えられないんですよね。


119番をすると誰が来てくれるの?

答えを言ってしまえば、119番をすれば、きっと救急隊員が来てくれます
きっとと言うのは全国1719市町村の内、実は29か所の市町村(0市7町22村)(1.6%)では救急搬送業務を行っていないのです(救急業務未実施市町村)。

令和5年版 救急救助の現況 | 救急救助の現況 | 総務省消防庁 (fdma.go.jp)
part2_section5.pdf (fdma.go.jp) 

主に離島の村だったり、山間部の小さな村などです。
これらの自治体は人口、財政の問題で消防署を設置できず、消防団のみ設置していて救急隊員が常時対応はしていません。

では、救急搬送をしてくれないわけではなく、それぞれの方法があります。

  • 役場救急:役場内に患者搬送車を置き、役場の職員が傷病者の搬送を行う

  • 診療所救急:診療所に勤務する役場職員(又は民間のドライバー)が医師、看護師を連れていき、傷病者の搬送を行う

救急隊員じゃなくて大丈夫なのかと疑問に思ってしまいます。
でも、ほとんどが離島の村なので、結局、村の診療所に運ばれるか、そもそも医療機関がなかったりするので、あまり最終的な結果(生死)は変わらないのかもしれません。

救急隊員とは ?

日本では、救急搬送業務は自治体の消防機関が実施していて、救急隊員たちは救急隊員である前に消防機関に所属する消防吏員です。
そのため、彼らに階級を聞くと、「消防士長です」、「消防司令です」と回答します。

「119番をしたらきっと消防士が来ます」も回答として正しくなります。

消防吏員の中で救急隊員養成研修を受けた人たちが、救急隊員となって救急車に乗って傷病者(消防の世界では患者ではなく傷病者)を搬送します。
研修内容は医学の講義、救急搬送業務/応急処置の実技で構成されており、合計250時間の研修になり、道府県や政令指定都市の消防学校で行われます。
講義、実技は、主に消防学校で教員をしている救急救命士が指導に当たりますが、地域によっては救急医学を専門とする医師、看護師も指導に当たっています。
ですので、高校を卒業して消防署に就職しても、すぐには救急車には乗れず、多くは1年くらい経ってから救急車に乗り始めます。

救急隊員だから、点滴して、薬使って、となりそうですが、彼らができるのは応急処置です。
応急処置と言ってもちゃんと定義があります。
救急隊員の行う応急処置等の基準 | 告示 | 総務省消防庁 (fdma.go.jp)

傷病者の観察をしたり、血圧を測ったり、人工呼吸したり、胸骨圧迫したり、骨折部分を固定したりと、正に応急処置となります。
この処置をしつつ、搬送してくれるのが救急隊員なのです。

救急救命士は別の折に、ではでは~



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