先生と、浅草とうなぎと年賀状
あけましておめでとうございます。motoko_labです。
2022年が始まりました。さて今年はどんな年になるのでしょうか……。
今年も頑張って投稿しますので、よろしくお願いします。
季節の風物詩の年賀状
元旦と言えば色々ありますが、私にとって年賀状は楽しみの一つです。
SNSが発達して出す人も少なくなりましたが、やはりポストにズシっと入っているハガキの束を見ると、ニッコリしちゃいます。
特に年配の方とは、年賀状を通じて一年に一度のご挨拶をさせて頂くことが多いのも事実。
お世話になった方との近況報告のやり取りは、懐かしくもあり「ああ、お元気そうでよかったな」と安心することも。
だから私にとっては、年賀状は通信手段の一つです。
「ご飯食べているか?」と書いてあった年賀状
しかし最近は、人生の先輩がどんどん減ってきてさみしく思ったりして。
2020年に鬼籍に入ったため、去年から賀状のやりとりが途絶えてしまった先生は、私に人生の機微、価値観の転換、そして遊びもたくさん教えてくれた脚本家です。
ある年の年賀状に
「ご飯を食べているか? お腹が空いたらいつでも浅草にいらっしゃい。ごちそうするから」と書いてあったりして。
このハガキをもらったとき、なんかとてもほっこりして嬉しかったのを覚えています。
20 歳のころに出会った先生
そんな先生は、浅草に住んでいました。
先生と出会ったのは私が20歳のころだから、もう何十年ものお付き合い。
あの頃は、よく遊んだ、よく話した。そして食べて、飲んだ。
60を超えた先生は、ディズニーランドが大好きで特にスプラッシュマウンテンがお気に入り。
競馬場、雀荘にも連れて行ってもらって色々と手ほどきを受けたものです。
そんな特別な思い出がいっぱいあるのに、不思議なことに二人で食事したことがありませんでした。
でもたった一度だけ、浅草でたまたまデートしたことが……。
その日は先生に用事があり浅草で落ち合いました。
そしてその流れで食事をごちそうに。
浅草の少し離れたところにあるうなぎ屋さんは先生の行きつけのお店です。そこで先生はかば焼きとビールをチビチビ。
とは言っても、先生はギャンブルは強いが、お酒と女性にはめっぽう弱い。だからほとんど私が飲んでしまい、酔った勢いで昔の彼女の話をたっぷりと聞いてしまったのです。
「へー、あの彼女と付き合っていたんだ」と言うネタを先生はどんどん話してくれるから、盛り上がる。
でも気づいたら、私の前にはウナギがいっぱい入った丼があって、先生が「食べなさい」とお茶目な顔をして笑っていたのでした。
宝くじにスイーツまで買ってもらった浅草デート
食事が終わり先生が帰ると思い、タクシーをつかまえようとしたところ、
急に「仲見世に行こう」と誘われて、2人で浅草寺まで手を組みデート。
本当は一人ではもう歩けなくて、私が支えていたんですけれどね。
老舗和菓子屋さんの「舟和」の前で止まって、芋ようかんをお土産に買ってもらいニンマリ。
先生も舟和の芋ようかんの思い出を饒舌に語ってくれて、またまた「ええー」と衝撃の事実が。
さらに宝くじ売り場で急に
「1~37までの中で、好きな数字を7個言ってみなさい」と言われて、
ええと言いながらも答えたら、先生がマークシートに色々と書いてくれて、ロト7を自分と私の分を買ってくれました。
その時「これが当たれば、黄身はもう一生食べていけるよ」と笑いながら渡してくれたけれど、かすりもせず私は今もあくせく稼いでいるのです。
今年も届かなかった先生からの年賀状
年末に浅草に行ってみたら、フッと先生のことを思い出し、そして年賀状の束を見ながら、浅草でうなぎを食べたかったけれど、先生がいないからやめちゃった。
今年の年賀状を見たとき、あの達筆な字のハガキがもしかしてあるかも知れないと思ったけれど、やっぱりなかった。
先生からいつかまた「ごちそうするから、浅草にいらっしゃい」と年賀状が届いたら、うなぎを食べさせてもらおう。