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シネマトグラファー小林基己の「予定調和の足音」

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ムービーカメラマン小林基己が、映画やドラマを見て気づいた感想、また自作についてのライナーノート的なものを書き連ねていくマガジン。撮影技術に関しても公開していきます。不定期更新です。
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記事一覧

Netflixアニメ「アーカイン」が物凄い!!映画「アキラ」の純粋進化系を見る思いだ。

Netflixで予告編を見て気になっていた「アーカイン」を見た。しかし、予告編をの数倍上を行くドラマに圧倒された。 もし予告編を見て気になった人は、内容的にネタバレは含まないが見てから読んでもらっても良い。というか、その方が良いかも。 予告編よりも密度の濃いドラマなんて初めてかもしれない。 まず、最初に掴まれたのはもちろん映像である。3Dでありながら絵画を思わせる画像で、何よりも細かいカット割りにもかかわらず、全てのカットのレイアウトが完璧!それを絶妙なカメラワークで見せて

バーチャルプロダクションとは?その3 InterBEE2021に見たLED ICVFXの現状

前回、殆どのVirtualProductionのシステムのプラットフォームはUnrealEngineが担っているという事を書きました。それで次回はLED ICVFXの要となるLEDディスプレイについて書きます。と、明言したのですが。。。しかし、InterBEE2021の初日に行って、バーチャルプロダクション関連で数社出展していたので、そこを今、旬なうちにレポートしておかないと!と思い、バーチャルプロダクションの側面から見たInterBEE2021という趣向にしたいと思います。

バーチャルプロダクションとは?その2全てはUnrealEngineに集約される。

前回でLED ICVFXっていうものがどんなものか雰囲気だけでも掴んでもらえたかと思います。 このInCameraVFXという技術。このシステムの基盤となっているアプリケーションがEpicGamesのUnrealEngineなのです。聞いたことある人も多いかと思いますがUNTYと並ぶ2大ゲームエンジンで同社の「フォートナイト」はもちろんのこと、「ファイナルファンタジー」「ドラゴンクエスト」「ストリートファイター」そして、なんと「電車でGO!!」みたいなものまで数限りない多く

バーチャルプロダクションとは? 自分がLED ICVFXの撮影を通して実感した「映像の未来」

最近、動画の世界で耳にするようになったバーチャルプロダクションという言葉。 自分もPronewsの「Virtual Production Field Guide」というシリーズの取材で2021年の初めから、様々なスタジオや撮影現場を取材させてもらって、ここ半年でシーズン4まで続き20本以上の記事を発表しています。 もともとは「シネマトグラファー小林基己の視点」第1弾として2020年10月にCanonのボリュメトリックスタジオを取材をして、第2弾をLEDを使ったInCamer

「Succubus」MVの制作でeillのミュージシャンの枠に収まり切らない表現力を感じた。

eillは去年の春先にも撮影している。 知り合いのレーベルの友人が次にデビューさせるアーティストを撮ってほしいということで紹介された。その時は、監督に佐津川愛美さんがスタッフィングされていた。女優としての活躍は聞いていたので、被写体としてではなく監督として初めて会ったのが良かったのか、そういった先入観無しにコミニケーション出来た。既に何本かショートフィルムを演出してて、出演者として多くの現場を経験してるだけに女性らしい細やかな配慮が行き届いた美しい繊細な作品に仕上がった。それ

「マンダロリアン」 スターウォーズep4,5,6の正当な血を継ぐもの。Disney+

マンダロリアンのシーズン2がスタートしました! 実はシーズン1の時に一度書きかけたのですが、思い入れが強すぎてまとまらず、見送っていたのです。 まず、「マンダロリアン 」とはなんぞや?というところから説明すると、言わずと知れたスターウォーズ・サーガの初の実写配信シリーズでディズニープラスチャンネルで2019年の11/12からシーズン1がスタートし、全8話配信されている。企画・脚本に「アイアンマン」のジョン・ファブロー、そして様々なジャンルから5人のSW愛溢れる監督が集められ

SONY α7S Ⅲ、ワンオペシネカメラという言葉の裏側。

10/9に発売するSONYのα7S Ⅲというカメラに関する記事をPRONEWSという映像系Webメディアに書いた。使用期間として4日間借りている間にトレイラー風ショートムービーや友人のYouTube撮影など、いくつかの場面で登場してもらった。 **[OnGoing Re:View]Vol.105 解像度を捨てて「S」の称号を引き継いだ4Kシネカメラの完成形「α7S III」 - PRONEWS **https://www.pronews.jp/column/20201005

タイムスリップ物のプロットを上手に韓国と北朝鮮の関係に落とし込んだ「愛の不時着」

とうとう、観終わりました!「愛の不時着」 「とうとう」という言葉を使いたくなるほど長かった!何しろ22時間26分!!一話平均1時間24分(もちろんCM無し)が16話である。通常のドラマならシーズン3まで観終わってるボリュームです。 しかし、観てる最中は全く飽きさせないというのが凄い! 「匠の脚本とはこういうものか!」と唸らせられる展開。 実は俺、いわゆる韓流ドラマって、これが初めてなんです。。。 さて、ストーリーはというと、韓国の財閥令嬢で世界展開をするようなトップブランド

ZOOMでミラーレスの画で会話するという何気ない事が(Macに於いては)意外と厄介だった。

実はこの記事を書いたのと、時を同じくしてFUJIFILMが「X/GFXシリーズ」をWebカメラとして活用できるソフトウエア「FUJIFILM X Webcam」を発表した!しかし、これもなんとWoindows PC専用。。。 Macには対応して無いのであった、グスン、、、 最近、2回にわたって小規模配信ライブのシステムについて書いて来ました。でも、個人で配信するという機会なんて殆ど無いので、どちらかというとZOOMで打ち合わせや飲み会などにこの機能を使いたい。 そして、自分

ミュージシャン達が立つ場所を無くしてはならない、という想い。

前回、小規模ライブハウスのライブ配信の現状を「ライブ配信」は窮地に瀕したライブハウスの救世主なのだろうか?と言う記事に書いた。ライブ配信でアーティストとライブハウス双方が新型コロナ以前と同じような収益を得るには、まだまだ課題が残されているというような内容だ。 ライブ配信の場合、ミュージシャン自身がライブに対するスタンスをどうしたら良いのか?という事にみんな戸惑うらしい。実際、4/17に同行した高満洋子も観客のいないライブをどういうモチベーションで切り抜けたら良いのか考えあぐ

「ライブ配信」は窮地に瀕したライブハウスの救世主なのだろうか?

ライブ、コンサートが中止を余儀無くされている昨今、ライブ配信という方法で表現の場を見つけ出そうとしているミュージシャンやライブハウスも多い。 一時期、都からの援助金がライブ配信などを行った場合は対象外となるという理不尽な条件が言われていたが、それも撤回されライブハウスは配信という事に活路を見出そうとしている。 ただ、今までアリーナクラス以上でやっていたミュージシャン達はDVD収録やCSやBSなどでのオンエアのフォーマットがそのまま使えるが、その方法だと撮影規模も大きいため、

Netflixドキュメンタリー「新型コロナウイルスをダイジェスト」に人類の愚かさと希望を見る

Netflixから早くも新型コロナウイルスに関するドキュメンタリー映像が登場した。題して「新型コロナウイルスをダイジェスト」良質なドキュメンタリーを排出している「〜をダイジェスト」のシリーズだ。26分しかないので、ニュースの1コーナーを見る感覚で身構えることもない。 この記事の内容もネタバレも含んでいるので、出来れば観終わった後に読んでもらえる方が良い。 このCovid-19に至っては、各所でいろいろな情報が流れている。TVなどの報道からこういった個人ブログなどまで様々だ。

今、持っている一眼レフの動画をWebカメラにできないものか? Mac編

新型コロナウイルスで自宅自粛中の毎日、どうにもこうにも自宅からのリモート会議やリモート飲みとかになってしまう昨今。 カメラマンたるもの、Webの画面といえど一味違った画質で勝負したいと思ってしまう。(外にロケに行く事も出来ないし、被写体に来てもらう事も出来ないので、それくらいしか撮影的喜びを見出すことだ出来なくなっているのも事実)それに加えて、自分のMacbookProは2012Midとかなりお年を召していて、カメラの質が今時これは無いんじゃない?と思える程なのである。 そこ

新型コロナの今の状況を生き抜く秘訣は究極の嫁動画かも知れない! ショートホラー「Shadowed」

新型コロナウイルスの影響で世界的に自宅自粛要請が出て#StayHomeという掛け声の下、多くの人達が自宅で過ごさなければいけない状況に世界中のクリエーター達はヤキモキしている事と思う。
そんな中、「シャザム!」「アナベル 死霊人形の誕生」の監督デヴィッド・F・サンドバーグが、自宅で制作したショートフィルム「Shadowed」を4/2にYouTubeで公開した。全編自宅内撮影、主演は奥さんであるロッタ・ロステン。もちろん、撮影も監督もデヴィッド・F・サンドバーグひとりだが、編集