祭り足袋を履く理由と習慣の大切さ

最近の平日は毎日、祭り足袋を履いている。

地元岡山の倉敷にある足袋の名門「丸五」http://www.marugo.ne.jp/(ne.jpって!)で製造されている祭りの時に履く本物の足袋だ。たまに言われるが街履き用のオシャレ足袋ではない。

この靴を履くことになった経緯を書いてみたい。

私の足は分厚い。なので履ける靴が限られている。足が変なエピソードでいえば、イギリスでセミオーダーながら足を測ってもらい靴を作ったのに、日本で履くと靴擦れしまくってはけなかったことがある。割と高かったのに。それくらいよくわからない足をしているんだとおもう。

ということでずっとスニーカーだった私が、これはギリギリでビジネスぽいかな?とこよなく愛していたのがビリケンシュトックの踵までちゃんと覆われている革靴だった。だが、ドイツに行ったときに本国の人に、ビリケンのイメージはそもそもあんまりビジネスぽくない、と言われた。ということで靴を変えることにした。

そのタイミングで、運動不足がたたって太ってきていた。生活習慣を変えずに運動するには、日常生活に運動を入れるしかないと考えていたことから、色々調べた結果、世界最小のフィットネスジムでおなじみのMBT(マサイベアフットテクノロジー)にしばらくハマった。裸足で土を踏む感覚をなくした現代人はマサイに学べ、というコンセプトの靴だ。具体的に書くと、ふわふわした超厚底のスニーカーで、ソールの前後にキツめのアールが付いていて、とにかく安定しない。椅子をバランスボールに変えるような感覚だろうか。体幹鍛える系。
しかしデザイン的に若干私の好みではなかったことと、製品の注意書きにも書いてあるが、本当にふわふわしているので、お酒飲みの私は、電車や階段で本当に危なかったこともあり、日常使いには向いていないと判断した。酒を控えろという話はあるががが。

次に選んだのは、ランナーさんとエンジニアさんがこぞって履いてるのをよく見る、ビブラムファイブフィンガーズだ。
ソールメーカーであるビブラムが作るソールだけの靴で、名前の通り5本指の靴だ。というか見た目は厚底の五本指のソックスだ。見た目に少し抵抗はあったが、とりあえず裸足は健康になりそう、という説はMBTから続いているし、私は意地でも効率良い行動をする特性のあるエンジニアさんが大好きなので、彼らが良いとおもうなら良いのだろう、という判断もある。
かなり薄い靴なので路面が熱いと足も暑いし、寒いと足も冷たい。書くと当たり前だが今までの靴では感じられなかった感覚。また路面のデコボコに異様なまでに敏感になる。点字ブロックを踏むと刺激されて気持ちよいレベル。
電車に乗っていると、やっぱり靴下で歩いている人に見えるらしく、小学生に靴忘れたの?と質問をされ親から異様なまでに謝罪を喰らったこともある。私も同い年くらいの子供いるのでわかりますよーニコッ。
そんな苦情が多かったのか、初期はかなり薄い靴下みたいなシンプルなデザインしかなかったが、最近はかなり靴っぽいモノも増えてきたので、電車で質問されることもなくなり、しばらくは快適に履いていた。

そして、また靴を変えることになった。

私が勝手にメンターと仰ぎ、追っかけ回している黒鳥社の編集者である若林恵さんというマエストロがいる。彼は体験も編集しており、黒鳥社チームはもちろん、Hengeの廣田さんMashの中村さんと一緒に社会を一緒にみるツアー Another Real World を企画されている。

そのツアーで先日コーカサス地方にお邪魔させていただいた。
アルメニア、ジョージア、トルコに行ったのだが、アルメニア、ジョージアはなかなか日本人がいかない国だそうで、頻繁に日本のことを聞かれた。日本人に訪問されるのは初めてだ、というスタートアップもいくつかあった。日本のイメージ悪くしないようにするぞ!とか勝手に無駄に背負っていた気もする。
日本人がわざわざくるぞ!ということでジョージアで50名ほどの歓迎パーティが開かれた。街一番に高級そうなレストランに案内された。屋上近くのオープンテラスで、近くの山々を眺めながら地酒(ワイン)を飲み、語り合う会だった。現地のテレビ局も入って大賑わいであった。
そのなかでアルメニアのオシャレ番長ルックスの起業家が、私の履いていた五本指のビブラムファイブフィンガーズをみて「この会場で一番クールな靴はいてるね!日本製?」と聞かれた。このメーカーはビブラムでアメリカだよ、と回答すると少し残念な顔をされたような気がした。なるほどしまった、なぜ日本製じゃないんだバカバカ。

ということで靴を日本製に変えることにした。
色々検討した結果、やっぱり日本を推していきたいので、日本製で私の地元であるメーカーの足袋に決定した。足袋は作業靴だが、ジーンズも作業着だからいけるだろう、と思った。

だが結局その中でも私は祭り足袋だけを履いている。

家を出る時にいつまで経ってもなかなか慣れないハトメ(足袋を履くときに使う金具)を締めながら「あー今日も祭りだな!」と呟いて家をでることができて、毎日がちょっとフェスティバル感がでるので、とてもおススメである。海外の方に説明するときも張り切ってジャパニーズフェスティバルシューズと言える。そろそろ火打石でも打ってもらおうかと思っているぐらいに気に入っている。

祭り足袋により、ちょっとした習慣で毎日が変わる体験ができることを実感した。日本のビジネス慣習として朝礼、スクラムでいうとデイリースクラムなど、毎朝の何か習慣をつけることでチームの状態を変えるとはこういうことなんだろうな、と改めて感じた。チームでやることだけではなく、個人でもテンション上がる何かを今後も考えてみたい。

そういえば、とある方にお会いしたときに、白い祭り足袋を見ながら「を、それマルジェラですか?いっすね。」と4,000円程度の祭り足袋をハイブランドと間違うレベルで褒められたことが丸五のクオリティを物語っているとおもう。

…ん?勘違いしたんだなーとおもったけど、まさかとおもって一応調べてみたら本当にマルタンマルジェラでtabiを売っていた。12万円。。。先どっていてすみません。

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