見出し画像

単なる社会に良い活動で終わらせない。サステナブルな事業を目指すコミュニティナースの挑戦

先日、「コテンラジオの資金調達ストーリーが壮大過ぎてヤバイ話」という記事を公開して以来、すっかりコテンラジオ中毒です。

膨大な資料を読み込み、興味を持って聞ける様に再構成。素人代表の樋口さん(株式会社BOOK代表)のつっこみが絶妙なアクセントとなりテンポの良さもある。なにより深井代表の声が良い。もしかしたら、ここが最大の中毒ポイントかも知れません(笑)。

どのエピソードも魅力的なのですが、今回のコミュニティーナースが超絶感動したのでご紹介致します。ちょうど今取り組んでいるDAOを活用した共創事業にも相通じる点が多く、自分向けの備忘録を兼ねて。

コミュニティナースとは、地域住民の心身の健康をサポートする相互扶助サービス。病院における看護ではなく、地域に入り込み日常の導線の中で提供する自然なサポートが特徴。

矢田明子代表がご自身の父親を病気で亡くした際、もっと医療の知識があれば救えたのではと後悔。それを機に看護学校に入学(社会人経験を経て30歳過ぎに)。

そこで、「病気と認定されて病院に運び込まれる前にやるべきことがあるのでは」という問題意識を持ち、同級生とコミュニティナースの前身となるサービスを立ち上げた。

地域住民から感謝され、やりがいに満ちた仕事であったが、マネタイズの仕組みがなかった為に卒業後に本業として続けることができず、若い同級生達は病院に就職せざるを得なかった。

その経験を通じて、真剣にマネタイズに取り組み、サステナブルな事業にすべく挑戦が始まった。

自治体の助成金等を活用しながらも、企業からの協賛を試みた。担当者ベースで共感を得て、協賛したいというところまではいくが、その先、社内の稟議が通せないという壁に何度もぶち当たった。

このあたりから深井代表のギアがあがっていきます。ところどころ出雲弁も交えながら。そもそも、今回、矢田さんがゲストでいらっしゃることになった経緯は、深井代表と矢田さんが出雲高校の先輩・後輩であったという繋がり。

「企業が利潤だけ追求していれば良かった時代は、とうに終わっている。今後は、企業がこうした社会インフラや労働者の生活コストを直接支えていかなければ成り立たない時代」と深井代表が力説します。

歴史を振り返っても、世の中の転換点では、既存の仕組みでは解決できなくなった領域を、新たな勢力がカバーすることで権力の交代が起きて来た。イギリスで起きた王政→立憲君主制→民主制という流れがまさにそうだ。と歴史を引き合いに出すことで説得力が違います。

冒頭、DAO的であると書きましたが、それは相互扶助のあり方。プロとしてトレーニングを受けた認定コミュニティナースの方々が核となり地域住民のスキルセットを可視化し、マッチングに繋げていく。

特に興味深かったのが「先に提供(give)しないとサポートを受けづらい」という人間心理。確かに、奉仕の精神に満ち溢れたボランティアスタッフが、老人宅を訪問し「困っているあなたを私たちがサポートします」と言われたら、「別に困っておらん」と答えてしまうのが人情。

偏屈な爺さん(例として深井代表のお爺さんが言及されていました)に対し、挨拶と世間話から仲良くなり、得意分野を聞き出し、それを活かした困りごとの解決に「力を貸して頂けませんか?」と持ち掛ける。

自分のスキルを活かして社会に貢献できたという充実感を味わうと共に、先に貢献したことで、逆に素直に支援が受けられるという仕組み。

善意の押し付けにならない様に「生活導線上に自然に居る」ということをコミュニティナースは重視。いつも居る存在と認知してもらい、挨拶を交わす関係から少しづつ距離を縮め、さりげなくお困りごとを探っていく。

「バドガール」(バドワイザーの衣装を纏ったキャンペンガール)の秀逸です。コミュニティナース常駐型の賃貸物件を展開しており、常駐者はバドガールの様に振舞えという話。

住人を個別訪問して御用聞きをするのではなく、顔を合わせた際に、今度、共同スペースでビアパーティーやるので飲みに来ませんか?と誘う。すると、セクシーな衣装につられて住人が集まって来る(冗談です)。

万事、人々が自発的に交流したくなる、自然にサポートが受けられる様になるということを意識して設計しているところが本当に素晴らしいです。

これには、矢田さんご自身のヤクルトレディーとしての経験も影響しているとのこと。最初、必死に営業をかけたが、あまり売れず。その後、住人と仲良くなり、世話を焼くことに専念していたら「ヤクルト買って応援するから頑張って」とどんどん売れる様になったという逸話が紹介されていました。

こちらの看護学校の同級生との対談も併せてご紹介致します。

現在、準備中のDAOをベースとした伴走型の新事業共創サービス「エンゲルス」も、この様に関わる人々の気持ちに寄り添い、関わる人すべてが幸せになる。そんなサービスにしていかなければと改めて気持ちが引き締まりました。


いつもお読み頂きありがとうございます。サポート励みになります。皆さまとの交流をどんどん広げていければと思います。