エフェクチュエーション。先行き不透明な時代におけるビジネスの新常識
エフェクチュエーションに関しては、既に一度、記事化していますが、今回、動画化したので、再掲させて頂きます。
■書籍リンクは、こちら。
■動画の内容をテキストでご覧頂きたい方は、以下をご参照ください。
今回は、スタートアップ界隈で浸透し、一般のビジネスマンにおいても話題のエフェクチュエーションについて解説します。
エフェクチュエーションは、インド人経営学者サラス・サラスバシー氏が提唱した理論で、優れた起業家に共通する意思決定プロセスや思考様式を体系化したものです。この理論は、特に不確実性が高い状況において有効とされ、従来の目標設定型のアプローチであるコーゼーションとは異なるアプローチを提供します。
従来の経営戦略は、未来を予測して目標を設定し、それに向けて最適な手段を選ぶコーゼーションが主流でした。未来は予測可能であり、定量化可能であるという前提に立つ。それをベースに事業計画や採算計画が立案され、その計画に基づいてVCと呼ばれる投資家は投資判断を行うと共に、LPと呼ばれる出資者に対し資金提供を求める。
これが、長らく機能して来たシリコンバレーモデル。
しかし、未来が予測しにくいVUCA時代においては、このアプローチが限界を迎えつつあります。ちなみに、VUCAとは、Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguityのかしら文字を指します。
ナシーム・ニコラス・タレブ氏はこの状況を予見し、2009年に発売の著書「ブラックスワン」の中で、以下の通り危険性を指摘しています。
そこで、コーゼーションからエフェクチュエーションへという考え方が注目を浴びつつあります。未来は予測可能であるという幻想を手放し、目の前のセンサーを頼りにかじ取りしていく。予測ではなくコントロールによって対処するという考え方。
エフェクチュエーションは、以下の5つの原則に基づいています。
1.手中の鳥の原則(The Bird in Hand Principle):既に手元にある資源や能力を活用し、そこから何ができるかを考える。
2.許容可能な損失の原則(The Affordable Loss Principle):期待されるリターンではなく、許容できる損失を基準に行動する。
3.クレイジーキルトの原則(The Crazy-Quilt Principle): 多様なパートナーと協力し、予測不能な未来を共に創造する。
4.レモネードの原則(The Lemonade Principle):予期せぬ出来事をチャンスとして捉え、柔軟に対応する。
5.パイロット・イン・ザ・プレーンの原則(The Pilot-in-the-Plane Principle):自分でコントロールできる要素に集中し、未来を自ら創り出す。
「エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する5つの原則」の共著者である神戸大吉田准教授は、インタビュー記事の中で以下の様に実践方法を解説されています。
日本におけるエフェクチュエーションの浸透状況について、検索型AIのPerplexityに聞いてみました。
エフェクチュエーションは、特に起業家や新規事業開発において注目されています。日本においても、変化の激しいビジネス環境に対応するための有効なアプローチとして徐々に浸透してきています。特に大企業の新規事業開発や不確実性の高いプロジェクトにおいて、その考え方が取り入れられ始めています。
この理論は、従来のコーゼーションと組み合わせて両利きの経営を実現するための一つの手段としても考えられています。すなわち、状況に応じてエフェクチュエーションとコーゼーションのバランスを取ることが重要とされています。
以上、如何でしたでしょうか?エフェクチュエーションを初めて聞いたよという人は、これを機に勉強してみては如何でしょうか?
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