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【書評】「夢と金」 西野亮廣著

私の毎朝の日課。まず水分を補給した後、スタンドFMで「フォロー中」の更新を確認する。そして、通勤(休日の場合はウォーキング)時に聴く放送を見定める。その後、スタンドFM→Voicyと遷移。

昨日、朝起きたら、リストに一斉に「夢と金」が並んでいて、朝からくすっと笑ってしまいました。

これは早く読まないと「大塚NFT FES」に向かう途中、品川の書店で購入。往復の電車内で読了しました(写真はNFT FESのフライヤー)。

改めまして。「夢と金」西野亮廣著。ド直球のタイトルです。

Amazonの評価、4.9!!凄いですね。

帯にある「お金が尽きると夢が尽きる。これが真実だ」。これが一番伝えたいメッセージ。嫌儲思想が根強い日本人には、本当に必要なメッセージ。

読了して最初の感想は「知ってるよ」。下記の「ごっちゃんCEO」さんと同じ。大半のエピソードは既にVoicyで聞いた内容でした。

では、買わなくて良いのか?と聞かれたら「さにあらず」。書籍の良いところは、体系的に理解ができて知識としての定着を助けてくれます。加えて、「あのエピソードどこだっけ?」と特定の内容にアクセスしたい際、Voicyでは困難を極めます(笑)。

私は、西野さんからのメッセージとして、以下3点を知の貯蔵庫に格納しました。英語では良く「本日のtakeaway」と言ったりしますね。

  • 貪欲に少しでも高く売る。安売り思想からの脱却。

  • 機能だけを追求しても限界がある。「意味」を付加して価値を高める。

  • 「最適解」を目指すな。「満足解」を見極める相場観を養う。

■貪欲に少しでも高く売る。安売り思想からの脱却。

書籍で紹介されていた「応援型クラウドファンディング」の事例がわかりやすいです。

クラウドファンディングには「販売型」と「応援型」の2種類がある。「販売型」は実質的な予約販売。返礼品は商品そのもの。対する「応援型」は、まさに応援が目的。

従って、応援者が求めているのは、「支援金を目的達成の為に使ってもらう」ことであり、中途半端な返礼品(Tシャツとか)に無駄使いしてもらいたくない。

返礼品にお金をかけない=取り分が多くなる=高く売る。

返礼品に無駄なお金をかけ過ぎて、必要な資金が調達できなかった失敗事例として知床観光船沈没事件が紹介されています。

「高額のVIP席を設けない愚」の話も説得力がありました。

■機能だけを追求しても限界がある。意味を付加して価値を高める。

「プレミアム」と「ラグジュアリー」の違いとして紹介されていました。

プレミアム:競合に対して相対的に優れている
ラグジュアリー:競合がいない。独自価値

プレミアムは買い手が値付けをするので自ずと価格の上限が規定される。ラグジュアリーは、売り手が自由に値付けできるので桁違いの高価格設定が可能となる。

ベンツやBMWはプレミアム。フェラーリやカウンタックはラグジュアリー。「国内で移動する」という機能において、スポーツカーは全く機能的でない。性能が発揮できない上に、無駄に燃費も悪い。

「所有する喜び」という意味に対してお金を払っている。

「人検索」という話も紹介されていました。誰々さんを応援する為に購入する。単に機能比較や価格比較で購入しない。

その為には、応援してもらう余地である「応援シロ」が重要となる。

■「最適解」を目指すな。「満足解」を見極める相場観を養う。

「ハイスペック」vs「オーバースペック」という形で紹介されていました。

職人気質の日本人が陥りがち。60点を80点に引き上げる努力はすべきであるが、97点を98点に引き上げる努力は割に合わない。そのリソースは別のことに向けるべき。

なぜなら、お客さんは97点ですでに満足しており、98点にしてもわからないから。

この話は、若いころ職場で感じた疑問。まさに、この1点を上げるため、あるいは完璧に仕上げミスをゼロにする為に費やされる膨大な時間。なんとかならないかなぁと思っていました。

その時に出会ったのが「システムの科学」ハーバート・サイモン著。

この中で「最適解を求めるな。満足解を見極めよ」とあり、「これだ!」と膝を打ちました。

この経験があったので、今回、西野さんのメッセージがストンと腹落ちしました。

という感じで、極めて実用的な内容で、かつ、90分もあれば読める分量ですので、お買い求めを推奨致します。

よろしければ、「システムの科学」も。ただし、こちらは超絶難しいので覚悟して読んでください(笑)。


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