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広告事業がリテーラーの収益源として存在感を増す

個人情報意識の高まりや各社ブラウザの規制強化により、従来の行動履歴に基づいたターゲット広告配信が難しくなりつつあります。

一方、ロイヤリティプログラムカードの登録情報を通じて消費者の一次情報を持つリテーラーが広告事業を急速に伸ばしつつあるというアド・エイジの記事を紹介します。

昨年の広告収入は、

  • ウォルマート:$21 billion(約2.5兆円)

  • ノードストローム:$40 million(約48億円)

  • メ―シーズ:$105 million(約126億円)

来年度のリテーラー広告事業の総売上は$50 billion(約6兆円)に達し、全デジタル広告市場の20%を占めることになるとの予測を示しています。

リアル店舗と消費者データの両方を有しているので、オンライン広告にとどまらず、店内でのサイネージを使った広告、モバイルへのプッシュ広告、店内サンプリング等、様々なメニューを組み合わせて提供できることが強み。

「店内に居る」=「買い物に来ている」ということなので、即アクション(購入)に繋がりやすいというのが最大のウリ。ウェブサイトで見たディスプレイ広告は、すぐに忘れてしまいますよね?

そして、購入データ(POSデータ)と繋げられるので、広告の効果測定も可能。(すべての広告の効果測定ができる訳ではないが)

店内BGMの合間にラジオ広告を流すという取り組みも注目を浴びています。

全米に2,800店舗を有するクローガーも、デジタルエージェンシーと組み、データドリブン広告(保持する個人情報をベースに最適化)を展開。メディア事業を主要事業のひとつに育てようと注力しています。

全米に4,700店舗を展開するウォルマート。eコマースにも注力しており、同社のウェブサイトは全米で11番目にトラフィックを集めるサイトだそうです。トレードデスク(The Trade Desk)という広告配信事業者と組み、自社ウェブサイト以外にも広告配信を行うウォルマートDSP事業を開始。

BICというカミソリやボールペンを販売するメーカーが、ウォルマートDSPを使ったところ、500%のROAS(広告費に対し5倍の売上)を実現したと報告されています。

最後にご紹介するのは、インスタカートの事例。インスタカート自体はリテーラーではなく、各リテーラーからの購入を代行し配送を行うサービス(アグリゲーター)。全米で70,000店をカバー。

インスタカートは、自ら広告事業を立ち上げる体力がない中小のリテーラー向けに、レベニューシェア形式で広告事業を展開。現状は、特定のリテーラーと検証実験のフェーズで、今後、収益の柱のひとつとして育てていく模様。

<併せて読む>

オンライン広告が、今後、向かうべき方向に関する考察です。


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