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リモート映画『アワータイム』制作日誌②[キャスティング編]

前回に引き続き、今回も石田が担当します(り)

企画が立ち上がって次の日の4月29日昼には、文章化したプロットを大矢くんに渡しました。このとき出来たものは今「アワータイム」の本編として世に出しているものとほぼほぼ変わってません。

なのであの話の流れと基本設定(映画館で働いてる、テレワークの会社員、100均でバイト、バンドマン)のみある状態でキャスティングに入りました。とにかく時間がなかった。誰がいいか、誰を呼べるか。充分に話し合ってから順番にオファーをしました。

結果的にこの人!って思った人全員に出てもらえたので、今回の記事では一人一人のことを書いていこうと思います。

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DEGさん。

わたしとDEGさんとは安楽涼監督「1人のダンス」を元町映画館で上映した際に出会いました。そのときは込み入った話をする時間もなく、別れたという感じでした。
DEGさんと幼馴染である安楽監督は、DEGさんがいつもニコニコ笑うことで何もかもやり過ごすところを見て「笑ってんじゃねーよ」と「追い風」を撮った。安楽監督から見える、そういったDEGさんの人生の一部を切り取った映画がこの「追い風」です。「追い風」を見て、東京で久々に会って、神戸でも3月に1日限定上映してまた再会して。わたしから見えるDEGさんって安楽さんから見えてるDEGさんと一致してるかというと意外とそうじゃないっていうか。逆に出会って日が浅いからこそ見えてない部分、見えてる部分がおもしろい人だなと思います。今回の作品制作に関わるZOOM会議でも場を率先して盛り上げてくれるのはいつもDEGさんでした。多分、本当に多分なんですけどすごく大人な人なんで場の空気を読んでやってくれてるところと、天然というか素でそういう風に振る舞ってるところが半々なのかなって印象です。間違ってたらごめんなさい!でもわたしはそういうDEGさんが素敵だなと思ってます。

今後元町映画館では「追い風」完全版を上映します。いつになるかはわからないけど。この企画に携わってくれることが「追い風」という映画の”追い風”になればいいなと思ってお誘いしました。

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上野伸弥くん

上野くんは監督の大矢くんから真っ先に出た名前でした。前回の記事の通り「KOBE OF THE DEAD」での縁もありました。

一度飲みの席で、それもわりと最近(数ヶ月前)、わたしは上野くんに「上野くんいつもなに考えてるんですか?全然わからないんですけど」って言ったことがありました。わたしのほうが年下でクソ生意気なこと言ってるのは自覚してたのですが、そのときなぜかどうしても聞きたかったのでしょう(なぜそういう話の流れになったのかは全く覚えてません)。わたしの問いに対する上野くんの答えは「多分からっぽなんですよ、なにも考えてません」でした。めちゃくちゃおもしろいなと思ってその後上野くんを質問攻めにし、最終的に2人とも終電を逃したと記憶しております(あ〜〜〜あの日々が懐かしい〜〜〜〜)。
からっぽなことを自覚してる人間ほど強い人はいないんじゃないかな。なんにでも染まれる、不思議な魅力を持った人だと思います。

オファーの連絡に対してすぐ連絡が返ってきたものの、「スマホ、パソコン共に環境が悪くZOOMができないかもしれない」と言われたので1日かけて「こういう方法はどうですかね?」「さっきより今のほうが声聞きやすくなりましたね」と接続チェックを繰り返し、最終的にトイレットペーパーの芯を握って登場したときには爆笑しました。おもしろすぎたので「なにがなんでもそのまま出ましょう」とゴリ押ししました。本編はやっぱり画質が悪くて、何回見ても笑っちゃいます。

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津田晴香さん。

実はこの4人の中では最後にオファーしました。わたしのことを知ってくれてる方には「なんで?」って思われるかもしれません。実際めちゃくちゃ仲良いですし、津田さんとは本当にどうでもいいことから真面目なことまでよく話します。

わたしは酔うと(また酔っ払いエピソード…)いつも「そうじゃない津田さんを映画で見たいんだよなー」とクダを巻きます。そろそろ本人に嫌がられるんじゃないかと思うようなペースでずっと言い続けてます。そうじゃない、というのはなんなのかという話になりますが、思い返せば出会ってから数ヶ月は挨拶を交わす程度だったのに最初にわたしが津田さんと仲良くなりたいと思ったのは、彼女のパブリックイメージと彼女自身の人間としての本質に乖離があることを感じたからです。そこをちゃんと拾い上げてくれる作家と出会えば彼女は役者として大成するでしょう。これは間違いなく言えます。

だからこそこの企画に誘うことが怖かった。時間をかけてやる普通の映画ならできるかもしれないのですが、乱暴な言い方をするとこれは素人の作るリモート映画です。映画館の企画として早急に世に出す必要があること、リモート映画というフォーマット、そして作る側のわたしが作家ではないこと。わたし自身が津田さんのおもしろいと思っている部分を生かすことはこれらの理由から不可能なのは明白でした。一番の心配は津田さんのこれからのキャリアを邪魔してしまうかもしれないこと。結果として出ていただくことになりましたが、いまだにこれが正解だったのかはわかりません。ただ作品としては津田さんなしでは成立しませんでした。これは多分今後の記事で書くことになるでしょう(アオリ)

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YUSUKEくん。

この中では唯一わたしの友達枠という表現が似合うのが彼です。映画館のつながりは全く関係ない笑。細かく説明すると、もともとわたしが彼のバンド3SET-BOBをよく見に行く客で、わたしが神戸のライブハウスを借りて自分のイベントを企画したりしていて、そのイベントによく出てもらっている間柄でした。正直、わたしが元町映画館で働きはじめてからあまりライブには行けておらず、下手をすると2年くらい連絡をとってなかったかと。今回ゆーすけくんにとってはいきなりわたしから連絡が来て、開いたらこれだったので驚いたことだろうと思います。

誘った理由の一番は多分こういう試みを面白いと思ってくれる人だと思ったから。バンドマンの役がどうしても欲しかったんです。わたしはライブハウスも好きだから。実際のバンドマンをこの中にブチ込むっていうのも、わたしだからこそできることでした。

フットワークも軽くノリもいい、なによりもまっすぐに伝えれば、伝わる人だというのは今までの関係性でわかってましたが、さすがにいきなり「映画に出て!」は厳しかったですよね。1日保留にされました笑。でも返信を見てこれは多分断らないなっていうのも確信しました。結果は見ての通りです。


以上4人が確定し、プロットの脚本化の作業に入りました。と同時に幼馴染という設定なのでとりあえず一回顔を合わせとこう!とスケジュールを調整。ZOOMを使った顔合わせの日時が5月1日に決まりました。

さて長々と書いてまいりましたが、次の記事は我らのポンコツ監督大矢くんです!それではいってみよう!

(つづく)



『アワータイム』


【出演】
DEG・上野伸弥・津田晴香・YUSUKE(3SET-BOB)
ひと:みちゃん・職業怪人カメレオール・竹下かおり

【スタッフ】
監督:大矢哲紀(映画チア部)
企画・脚本:石田涼(元町映画館)

【あらすじ】
オンライン飲み会で集まった幼馴染の男女4人。はじめは近況の報告やたわいもない話で盛り上がる4人だったが、突然そこに、見知らぬ人物が乱入。楽しかったはずのオンライン飲み会は予想もしなかった方向に転がっていく...。


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