見出し画像

VR能「攻殻機動隊」を観た。

8月23日に、初めて能の舞台を観てきました。
古典ではなく新作。士郎正宗「攻殻機動隊」原作、VR技術を駆使した新作能でした。

元同僚から「攻殻機動隊が好きで、今度こういうのがあるんだけどさ。能を観に行こうって誰を誘えばいいのか分からなくて……」
と、私に白羽の矢が立ち(別に犠牲者ではない)、『じゃあチケットを取るね』と私がチケットを取り(なぜ)、無事に開催されるのかどうかも含め、いろんな感情が渦巻きドキドキしながら当日を待ちました。

本来なら海外で初の公演を迎えるはずだった本作が、新型コロナの影響を受け日本で公演されることとなり、しかも公演回数は当初の予定ではたった3回だったことを考えると、チケットが取れたのは運が良かったのかもしれません。

実際に能を観るのも、きちんと1本の演目を通して観るのも初めて。
ストーリーを理解できるかな、楽しめるかな、そもそも起きてられるかなと不安でしたが、前日にtwitterでレポートを読んでみるとどうやらちゃんと【前説】があり、能のみかたや「攻殻機動隊」と能との関連性、また今回演じられる内容についての説明がありました。

(ストーリーを追うというよりも、電脳世界と現実と義体で描かれる「攻殻機動隊」という作品と能の相性が良いということを楽しめってことだな)
と理解をしたら、あとはすんなりと入り込めました。

舞台に現れては、空気に溶け込むようにその場から消えてしまう素子(原作中表記は草薙素子)、その影を追うもたどりつけない馬頭(同、バトー)。
掴みどころのない海の中の泡や宙を舞う桜の花びらの表現、また細かい照明の変更による舞台表現など、本来の能とはかけ離れているのだと思いつつ、その世界を理解する手助けになるという不思議なものを見ました。

攻殻機動隊の能を見たというよりも、能を観に行ったら演目が攻殻機動隊というVRを使用する新作だったという感想を述べられるぐらいに、事前に能の勉強をしておくべきでした。後悔。

今後もまた能を観に行ってみたいなと思う舞台でした。
こうやって伝統が続いていくといいな。

そして、世界的にファンの多い「攻殻機動隊」です。
新型コロナが収束し、当初の予定どおり海外での公演や、日本全国での公演が行われることを切に願います。

エンタメがなかったら、心が死ぬ。


ステージナタリー『伝統と映像技術で立ち上げる新たな劇世界、VR能「攻殻機動隊」開幕』

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?