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車の認証不正の報道を聞いて

リタイア生活を株式投資で楽しむモト3の妄想エッセイ

半年前にダイハツの認証不正のニュースを聞いて、これはちょっと違うぞと思った。第三者委員会の報告書では、「短期開発日程のため余裕がない」、「認証制度の軽視」、「会社風土の問題」などとしてダイハツの経営陣が悪いと結論付けていた。

今回、トヨタ、ホンダなどの問題を見ると私の想像した通り、1950年代に制定された車の認証制度に根本的な問題がありそうだ。

「後ろ衝突試験」は法規では1,100Kgの荷重だが、トヨタは外国向けの1,800Kgの荷重で試験したそうだ。1,800Kgの方がはるかに厳しい試験だから、この結果を流用できるというのがトヨタの考え方。国交省は法規通りの1,100Kgで試験していないのは不正だとの判断だ。

国交省の判断基準は典型的なお役所的発想だ。つまり、「法規で決まっている」からが最優先の判断基準で、「何が国民の安全・安心のためなのか」を考えることを停止している。

各国の認証制度は国際的に統一されている訳でなく、国ごとに異なるらしい。だが、条約を批准した国同士ではお互いの国の認証を認めることになっているそうだ。

ということは、外国で製造された車は1,800Kg で試験され、日本に輸入することができ正規に販売できるということだ。それなら、日本の法規の1,100Kg を遵守することにどれだけの意味があるのだろう?

あるテレビを見ていたら、司会者が「なぜ自動車会社は長い間、認証制度の問題点を国交省と話し合って改善できなかったのですか?」と尋ねたのに対し、解説していた記者は全く答えられなかった。

官と民は対等ではなく、圧倒的に官の方が強いのだ。市民サービスをする官ではなく、業界を監督・指導する権限を持つ官に対して、民はたとえグローバルな大企業でも逆らえないのだと思う。

10年ぐらい前から車の出荷検査の不正とか、燃費の問題とか報道されるようになった。私にはこれらは国交省の権威と既得権益を守るための行動に見えてしまう。欧州で発覚したディーゼルエンジンの燃費不正の問題とは性質が全く違う。

今回の問題に対して、自動車メーカーが同時に発表し、記者会見をした。異口同音に、ユーザーの安全・安心を第一に考えて試験をしていたが、(形ばかりで実用性のない)法規を軽視したことを反省していると述べている。

( )の部分は、言いたくても公に言えない部分なので、皆さん忖度してください、と言っているように私には聞こえる。もし、官にも心ある実務者たちがいて、自動車会社に言わせて、巨大な官僚組織を動かす原動力にしようと考えているなら日本も捨てたもんじゃないと思うのだが、、、。
<了>


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