見出し画像

シラーPER(CAPEレシオ)とは?【日米比較あり】

シラーPERは、株式市場の過熱度を測る指標として有名なので、その意味や使い方について解説していきたいと思います。


シラーPER(CAPEレシオ)とは?

シラーPER(CAPEレシオ)は、米国のロバート・シラー氏(ノーベル経済学賞受賞)とジョン・キャンベル氏が考案した株式指標で、現在の株価が割高か割安かを判断する材料として使われます。
通常のPERとは異なり、インフレ率を考慮した長期的な視点の評価をすることが可能になります。

通常のPERとシラーPERの違い

PERとシラーPERは混同されやすいですが、以下のような違いがあります。

通常のPER

通常のPERは、企業の直近1年間の利益を株価で割った単純な指標で、短期的な評価に適しています。

シラーPER

シラーPERはインフレ率を調整した10年平均の純利益を使用するため、景気動向を排除した長期的な評価に適しています。

個別銘柄や短期的な相場を予測するのであれば、通常のPERが使いやすいですが、この先10年といった長期的な視点で相場を予測するのであれば、シラーPERの方が使いやすいかと思います。

シラーPERの使い方

シラーPERは、米国市場の加熱性を評価するために考案されたものですが、Norbert Keimling(2016)の研究で、米国以外の評価でも有効であることが判明しています。
具体的には、どの国でもシラーPERが高いと10年~15年後のリターンが低くなりやすく、シラーPERが低いと10年~15年後のリターンが高くなりやすいという傾向があります。
そのため、なるべくシラーPERが低い時期に投資をするといった戦略が有効である可能性が高いです。
一般的には、25以上は割高と評価されることが多いですが、あくまでも長期的なリターンを予測するのに有効ということなので、1年などの短期予測の精度は低いことには注意してください。

出典:Norbert Keimling(2016)「Predicting Stock Market Returns Using the Shiller-CAPE」

日本株と米国株のシラーPER比較

日本のシラーPER

日本のシラーPERは、2006年のピーク時には90近くまでありましたが、2024年7月20日時点では、約24となっています。

日本株のシラーPER推移
参考:「researchaffiliates」、URL:https://www.researchaffiliates.com/home

米国のシラーPER

米国のシラーPERは、2021年のピーク時には40近くまでありましたが、2024年7月20日時点では、約35.1となっています。

米国株のシラーPER推移
参考:「researchaffiliates」、URL:https://www.researchaffiliates.com/home


日米のシラーPERを比較してみたところ、
日本:24
米国:35
となっており、米国の方が過熱感がありそうな結果となりました。
とはいえ、米国は割高といわれ続けていますが、直近は株価上昇を続けていますし、国が違うと単純比較もできないので、あくまでも参考程度にみていただければと思います。

まとめ

この記事では、シラーPER(CAPEレシオ)の意味と使い方について説明し、通常のPERとは、以下の違いがあることを説明しました。

通常のPER

  • 企業の直近1年間の利益を株価で割った単純な指標。

  • 短期的な評価に適している。

シラーPER

  • インフレ率を調整した10年平均の純利益を使用。

  • 景気動向を排除した長期的な評価に適している。

10年~15年先のリターンを予測するのには有効だという研究もあったので、長期投資を考えている方は、ぜひチェックをしてみてください。
シラーPERの低い国を探して投資してみるのも面白いかもしれません。

この記事を読んで、「役に立った!」、「勉強になった!」と少しでも思った方は、Twitterまたはnoteでフォローして頂けると嬉しいです!(記事の更新情報が分かります)
有効性の高い投資手法については、以下のマガジンにまとめています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?