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#3 色違いの法則 - 銀行・カフェの色バトル

ブランドとは、①「違い」がわかる ②心が動く ③イメージがつながる という3ステップで、人々の心の中に残っていくと私は考えています。中でも今回は、「違い」について紐解いていければと思います。

世の中はモノであふれています。ひとたび繁華街を通りすぎると、様々な看板が目に入ってきます。ファストフード、銀行、カフェ、コンビニにカラオケ… 目がチカチカして、むしろうるさいくらいです。でもそれって、よく考えたらなぜなんでしょうか?

一番の理由は、「色」にあるのではないでしょうか。例えば銀行。大手のメガバンクのロゴを見てみましょう。

メガバンク3行のロゴ

三菱UFJ銀行は赤、三井住友銀行は緑、そしてみずほ銀行は濃紺となっています。これに消費者金融のプロミスの黄色やレイクの黄緑が混じってくると…それはもう、まさに渋谷センター街、あるいは新宿歌舞伎町の様相になってきますね。
では別の業種、カフェはどうでしょうか?

カフェ4店舗のロゴ

コーヒーを想起させるために基本は「濃いブラウン」を基調としながらも、スターバックス=深緑、ドトール=カーキ、コメダ=濃いオレンジ、エクセルシオール=水色をアクセントに加えています。このように繁華街のような混沌の中でも、自己主張がしっかりできるようにシンボルカラーは考え抜かれています。なぜなら、あまたある同様の商品やサービスの中で「自ら」が選ばれなくてはならないから。もちろん、マーケティング手法の一つには「あえて同質化し、どさくさに紛れて選んでもらう」というフォロワーのコバンザメ作戦もありますが、正攻法とは呼べません。繁華街は、まさにバトルロワイヤルの最前線。その中で生き残るためには「ライバルと違いを作るか?」が大切になってくるのです。
逆に、分の良くないチャレンジャーが王者に挑戦するには、メジャーな色を一気に取ってしまうという作戦も生まれます。前回取り上げたNTTドコモ(赤)とKDDI(オレンジ)に真っ向から挑戦したSoftbankは「白」と基調にして一気呵成に勝負をかけ、大成功を収めました。

人間はどうしても絶対に負けられない勝負に直面するほどに「理論的か?」「これで勝てるのか?」「込めた想いが言葉にしっかりと表されているか?」と左脳にすがってしまう傾向にあります。企業の中間管理職のあたりにいると、経営層に説明するための理論武装のために、特にそういったシーンに立たされることが多いかもしれません。ただ本当のマーケティングの勝負は、左脳と右脳のバランスの上にあります。特に色彩は右脳の代表。この「色の力」を自由に操るブランドこそ、市場で生き抜くことができるのです。

ちなみに色の力をマーケティングのそのまま活かした印象深いキャンペーンには、iMAC (1998)やSoftbank - Pantone (2007) キャンペーンがあります。

iMAC グラフィック広告 (1998)
SoftBank 812SH - グラフィック広告 (2007)


人が一切登場しないのに、生命感にあふれたワクワクする表現フレーム。ぜひ参考にしたいですね。



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