あらわれる

夜になると現れる。暗いなにか。黒いなにか。
夜になると現れる。それは私を飲み込んでしまう。
夜になると現れる。私はそれに抗うことができない。
夜になると現れる。唐突に現れるなにか。
私を飲み込み、私を支配するなにか。
夜になると現れる。それはひとりの私に寄り添ってくる。頼んでもいないのに。消えて欲しいのに。側になんかいないで欲しいのに。
夜になると現れる。それに飲み込まれると、私は呼吸ができなくなる。息苦しさはそれを益々大きくする。
最初は小さななにかだった。気付かないくらい小さなそれだった。気付いた頃には、私の身体よりも遥かに大きなそれになっていて、それに私は押し潰されてしまう。
夜になると現れる。私ひとりでは到底太刀打ちできないなにか。
助けを求める声は出せない。誰にも聞こえない。誰にも届かない。着実にそれは私を蝕んでいく。
夜になると現れる。
夜になると現れる。
夜になると現れる。
いつからか、片時も私の側を離れなくなったなにか。
夜でなくてもそこにいる。ずっとずっと、そこにいる。
消えてしまえと祈るたびに、それは益々大きくなる。
夜になると現れる。
夜になると、

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