ウリセン編39 あたいと、お客様と恋愛した同僚の話 〜大事なのは恋愛か仕事か。
「もちぎ。お前、老け専ゲイだったよな?」
深夜。ゲイ風俗店内。
指名終わりでのんびりと帰り支度してるあたいに、同僚のボーイが話しかけてきたわ。
「うん、そうよ〜。50、60喜んでってヤツよ」
あたいが某生命保険のCMを真似て返すと、彼は苦笑しながら、あたいの隣に座った。
「お客様ってさ、年配の人が多いじゃん? お前、タイプの人間が来たらどうしてんの?」
えらく直球な質問だった。
人もまばらなゲイ風俗の控え室。あたいはそういった俗な話も、特に気にせず話せるなって思って、膝を進めて彼に向き合った。
「そうねぇ、タイプ云々抜きにいい人だなって思って尊敬したり、信用したりはするけど……絶対に恋愛感情は持たないわ」
「ふーん……そっか……。ごめんな? こんなこと聞いて」
彼は考えるように塞ぎ込む。あたいはカバンを床に置いて、問いかけた。
「なんかあったの?」
「……ほら、他のボーイって同年代とかイケメンが好きなゲイが多いだろ?
でも、ゲイ風俗ではそんな若いお客様なんて来ないし、30代から50代がメインだよな。そうなると必然的にみんなにとって《おじさんばっかの客》って存在は、客でしか無くなるじゃん?
だから、お前みたいな老け専とかのボーイって客に対して、深入りしたりしないのかなって思ってな。……すごい失礼だけど、お前ならって思って、どうしても聞きたくなったんだ」
ーーもしかして、と思って、あたいは彼を連れてゲイ風俗から退勤することにした。
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⑤あたいがゲイ風俗のベテランとして働いてた時と、中学の初恋の迷走期と高校時代の友達の話です。このマガジンからでも読み進められる単発モノばか…
今ならあたいの投げキッス付きよ👄