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VOl.10 「算数」で何を学ぶのか?(日米の違い)

美枝です。

 今回は、アメリカの小学校では、「算数」で何を教えようとしているのか、子どもは何を学ぶべきなのか、日本の「算数」と違うなと感じていることを書いてみようと思います。

   私の子どもは、小学校2年生で、アメリカの公立小学校に通っています。その他に、日本語の塾にも通っていて、日本の教育課程に沿った国語と算数も学んでいます。
  どちらでも、「算数」を学んでいるので、両者の違いを感じるのですが、私が違うなと思う点は、以下の2点です。
 1)日本の算数は、年齢に対して難易度が高いが、一律。
   日本もアメリカも、学ぶ内容(たし算、引き算、時計の読み方、かけ算、割り算など)、進む順番・流れは、だいたい同じです。 
 ですが、アメリカの小学校では、日本で学ぶ内容を、半年〜1年遅れで取り扱っています。
 こう書くと、アメリカの子どもたちは、日本の同じ年齢の子どもたちより算数が遅れているかのように感じますが、実態はそうとも言い切れないと思います。
 以前の記事でも書いたように、アメリカの学校では、同じクラスの中でも、子どもの力に合わせて課題を与えています。
 算数の得意な子は、アプリなどを活用して、どんどん先に学べる環境があり、2年生の同じクラスでも、3年生や4年生の算数をしている子もいれば、反対に1年生の算数をしている子もいるといった具合です。
 
  一方、日本では、全ての子どもたちが、一律の水準まで学べるよう配慮されるため、全体的に見て質が高く算数ができるようになります。ですが、算数が苦手は子は、その水準まで行かなければと苦しんでいるかもしれませんし、反対に算数が得意な子にとっては、授業が少し退屈で、もったいない時間を過ごしているかもしれません。
 
 2)「算数」で教えたいことは、知識?プロセス?
  私の子どもを見ていると、日本の教育課程に沿った塾で算数を習うとき、まず、基本となる考え方を学びます。
  例えば、割り算で「りんごが20個、みかんが5個あります。りんごはみかんの何倍ですか?」という問題の場合、これを学んだ後の練習問題は、「青い色紙が32枚、赤い色紙が8枚あります。青い色紙は、赤い色紙の何倍ですか?」となります。
 こうして、1つの考え方を学ぶと、同じ解き方・パターンを、繰り返し、繰り返し、練習する問題が続きます。
  一方、アメリカの算数の宿題では、かけ算を練習する場合、1つのマスに数字が入る可能性は1つではありません。

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子どもは、これかもしれない、こっちかもしれないと考えながら、なぜこっちを選んだ方が良いのか、理由まで考えて、答えを出します。他の問題でも、いろいろと考えるプロセスを経て、回答にたどりつく問題が多いなと感じます。
 こうして比べてみると、日本の算数は、「知識」として、算数を教えようとしていて、アメリカでは、答えに辿り着くまでの「論理的思考」や、そのプロセスを練習させているようです。「算数」から何を学ばせようとしているのか、両国の考え方の違いが見えてくる気がしています。

  私は、子どもがアメリカの学校で算数を通して学んでいることは、単に学科としてだけでなく、生活全てに使っていけると感じています。  
 例えば、子どもでも、夕ご飯までの2時間で「レゴで遊びたい」、「本も読みたい」、「宿題もしなければならない」と思ったとき、1パターンではなく、何通りもの実現の仕方があり、どれが良いのか自分で考えて決めることができるようになります。
  この多面的に考える力は、探究的に、自律して、自分の人生を決めていくために大切なスキルだと思います。
  親は、子どもに「幸せ」になって欲しい。でも、その「幸せ」は、親が全て作ってあげられるものでもない。子ども自身が、自分はどうしたら「幸せ」になるのか?  自分で考えながら人生を作っていけるためには、考える力を小さい頃から身につけられると良いなと感じました。
 

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