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vol.7学力別にクラスを分けることについて感じた疑問

美枝です。

 今日は、私の子どもが通っている米国コネチカット州の公立小学校での取り組み、 「Advanced Learning Program (ALP)Pull Out Enrichment Classes」をご紹介し、気づいたことをシェアします。

 これは、コネティカット州の公立学校全体で行われているシステムで、ALPでは、基本水準以上の教育を必要としている生徒を選び、さらに高度な教育を与えるものです。目的は、「all students grow at levels appropriate for each individual.」(それぞれの個人に合ったレベルで成長する)ことです。

 このシステムは、"gifted(生まれ持った天才)"を選抜するためではなく、それぞれの子どもの「今の能力」を見て、どんな教育が必要か、そのニーズに合った教育を個別に提供して、能力を引き出していこうとする取り組みの一つです。
 「違うことが当たり前=多様性」の文化で、一律の教育ではなく、個々に子どもたちの能力を見て、最大限にチャンスを与えて能力を開花させ、国の繁栄につなげていこうという考えから行われているのだと、私は理解しています。とてもアメリカらしいとも感じます。

 具体的には、例えば3年生は、1週間に数時間、算数と英語の授業で、テストで選抜された数名だけを集めて、より難しい内容の教育をします。
 この選抜には、専用のテストが実施され、複数の目で包括的に判断されます。さらに毎年、テストを行って能力を計り直し、選抜を見直します。

このようなシステムを知り、感じることが2つあります。

1)ALPを親がどうとらえるか?

先日、ママ友と、こんな話になりました。
「私の息子は、とっても頭がいいけど、勉強をしようとしないの。とても頑固で、私の言うことを聞かない。宿題もしなかった。だから、今回、テストで合格しなかったのは、息子の初めての失敗だ。これで、あの子も懲りて勉強が必要だと思うだろう。」

 このママは、とても教育熱心。ALPテストの前に、分厚い問題集を買って、子どもに勉強をさせていました。ALPクラスに選抜されて、能力を伸ばすことは、子どもの幸せだと思っているのでしょう。

 このママ友が子どもの幸せを願う気持ちは、とても良くわかります。子どもを何とかしてALPクラスへ入れようとするのは、ママの愛でしょう。でも、私は、何だか少し悲しくなりました。なぜなら、このママ友の子どもは、1年後の次の判定テストまで、ずっと今回失敗したことを言われ、勉強するように言われるんだろうなと想像したからです。

 子どもの幸せは、ALPに入ることだけじゃなく、他にもある。その子が「やりたい」と心から思うことを見つけて、ワクワクしながらそれをする。そして、その能力を伸ばせることが、一番幸せなんじゃないかと、私は思っています。2030年には今ある仕事の49%がAIにとって変わられると言われています。そんな時、個性や、その人の強みを活かして、社会に貢献できる仕事が増えてくると思われます。子どもたちが自分の好きなことを見つけて、ワクワクしながらやっていること(自己理解→自己肯定)は大事だなと感じています。親にできるのは、子どもたちが好きなことを見つけて、できる環境を整えてあげることではないでしょうか?

2)ALPを子どもたちがどうとらえるか?

「あの子は、ALPに入ってる」
小学校3年生になろうとする子どもたちが、これをどう捉えるのかが、私はとても気になります。「入っている子はすごくて、入れなかった子はだめだ」と優劣で、とらえないで欲しいなと思います。

 親や先生、周りの大人の声かけで、「優劣」の価値観が植え付けらる場合があります。そうすると、子どもたちは、親や先生に褒められたいから、「優」に入ろうと、その価値に合わせようと、一生懸命になる。人と比べることに集中すると、その子が本当に何をしたいのかが、見えなくなってしまう気がします。

 その子らしさを見て、その子がもった力を伸ばせることが、一番大切ではないかと思います。子どもたちが、自分を見失ってしまうことは悲しいなと思います。

 テストや競争は、今の社会では避けて通れないものかもしれません。でも、親がそれらをどうとらえて、子どもにどう声かけをしていくかによって、子どもが自分を見失ってしまうか、自分を大切にしてやりたいことを見つけるか、違ってくるんじゃないかと感じています。

 皆さんは、どう思いますか?

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