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CHIBA-CHIIIBA : ブラジル音源ミックスCD”HEAVY WEIGHT BLASILEIRO”リリース対談インタビュー

デトロイトのMC、GUILTY SIMPSONとの7inch”What Up”、ビート集”REPEAT THE EXPERIMENT”で話題となったCHIBA-CHIIIBAがらブラジル音源ミックスCD作品”HEAVY WEIGHT BLASILEIRO”をリリースした。

そのCHIBA-CHIIIBAへマザームーンが【前作”REPEAT THE EXPERIMENT”の対談】に続いて、今回のブラジル音源ミックスのリリースについて独占インタビューを行った。


Jet Setさんwebページ”2021年ベストディスク”コーナーにて、小西康陽さんが本CDをチョイスしてました!


前回の対談ではビート集”REPEAT THE EXPERIMENT”内容の他、CHIBA-CHIIIBAのルーツや音楽遍歴等も掲載しており、対談内容はお陰様で高評価を頂く事ができました。下記リンクはnote版として再度掲載致しました。

1. ブラジル音源ミックス”HEAVY WEIGHT BLASILEIRO”作品を作った経由

質問者 Asahi Kurata (以下A)
CDのサンプリングビートやインスタでのDJプレイにてCHIBA-CHIIIBAさんがブラジル音源を収集しているのは知ってましたが、ブラジル音源でミックスを作った経由や理由を教えて頂けますか?

CHIBA-CHIIIBA (以下C)
自分での今年の目標がビート集とミックスCDをリリースすることが目標だったのですが、ビート集 (“REPEAT THE EXPERIMENT”は下記商品リンクにて) をリリースして少し落ち着いて、さてMIX CDを作るかって時に何のMIX CDを作ろうかとかなり悩んだのですが、
その時5月ごろだったので今からブラジルのMIXを作れば夏に間に合うんじゃないかと思いすぐ動きだして必死で完成させました!
個人的に夏にブラジルだらけのMIXを聴きたかったのです(笑)

2. CHIBA-CHIIIBAがブラジル音源を収集したきっかけ、当時のブラジル・レコードの堀り方

A. いつ頃からブラジル音源を収集してましたか?
いわゆるリサイクルショップ等で良くある優しい感じのイージーリスニング的なbossa novaとは違う盤選びなので、それなりの中古屋、専門店で収集していると感じました。

C. ブラジル音源を収集初めたのが24歳の時ぐらいでした。
きっかけがちょうどそのころスキャットを使ったビートを作りたくてかっこいいスキャットを探してた時期なのですが、某ミックステープにとても使ってみたいスキャットが収録されていて、でも曲がわからずだったのですが、自分の所属しているグルーヴマスターズの先輩がそのミックステープの収録曲のリストを知ってる人がいて、何曲目のこの曲を探してるんですと伝えていたら某レコード屋に売ってるけど買う?という連絡がきて、その時自分はパソコンを持っていなかったので尚更中々出会わない盤だと思ったので値段も高かったのですがその先輩に頼んで買ってもらったのです。
それでレコードが到着して聴いたら全然自分の欲しかったスキャットの盤ではなくブラジルのホーンが強烈なジャズサンバでその曲は某ミックステープの自分が欲しかった曲の次の曲だったのです (笑)
何曲目のと伝えた時に一曲ズレていて捉えていたようで(笑)
最初はかなりショックだったのですが聴いていくうちにその盤がかっこいいと思うようになり、それからブラジリアンジャズを色々と収集し初めたのがブラジル音源を収集するきっかけでした。
因みにその盤は初めて買ったレア盤にもなります (笑)

A. 確か、当時MUROさんの『Tropicoool boogie』も流行ってましたねー。
レコード盤の収集はもっぱらミックステープ収録曲ねらいでしたか?


C. 自分はそんなにミックステープとかは聴いてなかったのです。影響受けすぎてしまうのであえてあまり聴かないようにしていました (笑)
レコード屋に行って、見たことないレコードをひたすら聴いて良いと思った物を買うようなことをひたすらしていました

A. 2000年前半から半ばくらいは生音ミックステープのでてきてクオリティがメチャクチャ良いものあった生音ミックステープの発展してきた時代でしたね。
渋谷辺りのクラブサウンドやサバービア等にてブラジル系の音源をプッシュしてましたし、世界的にもリイシュー等もあり流行りのタイミングだったと思います。
いまほどオンラインが普及しておらず、試聴も困難だった時代に(店頭試聴はありましたが)ミックステープは非常助かりました。それをあえて避けるってのも面白いですね(笑)

サンプリングネタよりもDJプレイの為の音源として集めいたのですか?

C. やはりビートを作るためのサンプリングネタとして色々と集めていました!

A. 昔の記憶ではありますが当時のブラジル音源は中古専門店ならばミドルクラス以上の値段ばかりだった記憶があります。
ブラジル音源盤に関しましてはレコードエンゲル係数(価格帯)は高くありませんでしたか?

C. そうですね、とても高かったですね。
なので自分はジャケがボロボロだとか状態が悪くて安く売っている盤とかをラッキーだと思って買うようにしていましたね(笑)

A. やはり!
ブラジル盤はなんだかノイズの多いものも多く、私もレコードの収集に悩まされました(笑)
それでいて曲名もポルトガル語だし、覚えにくいし、という感じでしたね。

3. CHIBA-CHIIIBAが影響の受けた・好きなブラジル音源をサンプルに使ったヒップホップ

A. ブラジルモノのサンプリングは過去のリリースは少なく、その2000年半ば当時はリリースが特に増え始めてました。
ヒップホップクラシックとしてはJ DillaプロデュースのParchydeの”Runnin’”、それ以降の作品ではArthur Verocai MIXでお馴染みのDJ Nutsも参加していたMarcelo D2People Under The StairsStarving Artists Crewなどが人気があった記憶があります。

ビートメイカー視点でも影響の受けたヒップホップもあったかとおもいますが、当時から現在で特に影響の受けた・好きなブラジル音源をサンプルに使ったヒップホップを5曲挙げるなら?


C.
・MADVILLAIN / RAID
・JIGMASTAS / C.S.S
・DJ SPINNA feat ANGELA JOHNSON / GLAD YOU'RE MINE
・LUNCH TIME SPEAX / SONO OTOKO…
・SLUM VILLAGE / I DON'T KNOW
です!
かなりこの5曲には影響を受けました!


A. 名曲!
チョイスも渋い!
また、オールタイムフェイバリットなブラジル中古盤や好きなアーティストはありますか?
また、好きになったエピソードも教えて頂けたら幸いです。

C. 今回のMIXには入れてないのですが、MANFREDO E SEU CONJUNTOBOSSA NOVA… NOVA BOSSAはLP通してよく聴いているのでとても好きです!
この盤はブラジル特有の小気味良いオルガンとピアノとホーンが効いた気持ちのいいジャズボッサをやっていて天気の良い日に聴くと最高に報われた気分になるので大好きな盤です!

4. 今回リリース”HEAVY WEIGHT BLASILEIRO”の内容について

A. 今回のミックスCDの内容についてお伺いしますね。

私が一聴して感じたのが、強烈なグルーヴ感
まず、ファンク・ソウル色が強い前半。
Banda Black RioからClaudette Soaresの流れのようにファンクじゃないような楽曲をファンキーに聴かせる選曲と構成がヤバい。
ブラジリアン・ファンク/ソウルだけでなくジャズサンバ、フュージョン、サンプリングネタまで幅広くカバーしている展開。
Arthur Verocai関連Azymuth等しっかりと定番も押さえつつ、マニアックな楽曲まで入れているなと。
メチャクチャ作品としての (勝手に命名してますがMMA的=総合格闘技的) 打・投・極のバランスが良い。あとブラジルってテーマ。
自分もミックステープ/CDはスゲー聴きますが(余裕で3ケタ以上)、本作は”かなり”クオリティ高いです!!

今回の作品で意識したところはどのようなところでしょうか?


C. Kurataさんのように色々聴いている方にとても嬉しい感想をいただいてとても上がっております!
ありがとうございます!

まさしく今回1番意識したのがグルーヴ感でした。
今回は最初に何回もデモ録りをしてこっからこの流れは良いというものをノートにメモして色々試して点と点を繋いで作っていきました。
あとやはり夏を意識していたので最初は汗かいて聴きたくなるようなところから最後は夕日が出てきて少し夏の寂しくなるような雰囲気をイメージして展開を作ってみました。
自分でもこの流れはかなり気にいっています!

A. 今回のミックスで特に思い入れのある曲、もしくは曲の繋ぎや展開を教えて頂けますか?

C. 以前に1度ブラジルのミックスを途中まで作ってでもその当時だとうまく作れなくて断念した時がありまして、その時にも同じことをやっていたJOHNNY ALFSANSA TRIOBossa Só繋ぎは短いんですがその断念した時を思い出す思い入れの繋ぎですね!

A. 笑
挫折を思い出すミックスだったのですね!
ですが、本作のように考えられて作られた作品は内容も濃くて面白いです。

C. そうです(笑) 挫折を思い出すミックスですね!

5. おまけ (当時を思い出す濃いめな内容)

ちょっと話しが変わって行きますが、
CHIBA-CHIIIBAさんの周りでもブラジル音源をディグしている仲間は多くいましたか?

当時15年くらい前 (当時20半ばくらい→因み1979年生まれ) は自分の周り長野県松本周辺にはほ極端に少なかったです。
現場 (クラブ) ではブラジル音楽といえば、ブラジリアンテイストのハウスは確かに流行ってましたが(20前半位)、生音のブラジルは反応はあまり良くなかったと思います。
Joyce Coolingの”It’s you”やKitty Winter & Gipsy Novaの”New Morning”などのキャッチーでアップテンポなものは反応は比較的良かったですね。
どちらかといったら松本周辺での生音シーンはソウル、ファンクでサビが印象的な所謂フリーソウルな楽曲が強かったかもしれません。
というよりもともとクラブの生音のシーンなんかなかったかもしれません。
まだ長野市 (松本から高速で1時間位) のほうが、クボタタケシさん、須永辰緒さん、橋本徹さん、上田市 (松本から1時間こえ) では須永さん、小林径さん等がきてました。
実際には著名なゲストが来るときは盛り上がって、来ないときは集客は微妙だったとも聞きました。
ヒップホップDJがソウル・ファンクをプレイするようなスタイルは長野県ではまだまだ馴染みはなかったですが海外DJの作品は当時素晴らしく作品もありました。

CHIBA-CHIIIBAさん周りの音楽仲間やその当時のクラブ事情も教えて頂けますか?
生音シーンはいかがでしたか?


C. 自分の所属していたTHE GROOVE MASTERSでも4人〜5人ぐらいはブラジル音源を探している人はいました!

やはりKurataさんと一緒で15年前くらいに、こちらも土浦、つくばと両方の場所で生音のイベントに月1で参加していたのですが、その当時全然生音のシーンがなくて集客がひどいものでした。
1人〜2人しか来なかった時とかもありましたね。
その当時はメインストリームのヒップホップのイベントが強かったイメージがとてもありますね!
なので生音でイベントやるのは厳しいねとよく話しをしていました (笑)
ブラジル系も収集している人はいましたがクラブでかける人は全然居なかったですねー!
自分も外でかけようとは思ってなかったです!

A. 地方の状況はどこも同じだったのかもしれませんね。
結局満足していたのは、コレクターやDJ、一部の好き者だけかもしれませんね。
ヒップホップやハウスのようにビートもそこまで強い(わかりやすい)わけでもなく、曲のグルーヴで踊るってのは一般のリスナーには難しいようにも感じます。更には時代的にも生音なグルーヴで踊るってのが、当時は難しいものだったと感じますね。

26~7歳くらいのとき松本界隈のDJの人間関係に疲れていて、もうDJ辞めようかなと思った時がありました。
その一年後くらいにちょっとした繋がりでイギリスのロンドンに行く機会が1ヶ月くらいありました。
渡英して週3位クラブに行ってましたし、digはほぼ毎日ですね(笑)
今はなきロンドンのクラブPlastic Peopleに行ったときには物凄い衝撃で、ストレートなジャズで踊っているのを目の当たりにしてました。
どちらかというと何人ものダンサーが競っているような感じ。それは凄かった。その文化が根付いていました。


日本ではDMRかなんかのメールリストの商品キャッチコピーで”ジャズダンサー”なんて書いてあっても”そんなことあるかボケェ”と思ってましたが、UKではそんなことありましたw
ピークタイムに手前以降からジャズファンクやブラジル、ジャズやフュージョンのビートがわかりやすくなる感じ。それ以降はジャズの臭いを感じさせる四つ打ちやブロークンビーツ。
もう終始満員電車に近い状態ですよ。マジでヤバいです。
東京のクラブにも何度か行きましたがそれとは違い、日本とのギャップに驚愕です。

他のクラブでもどちらかというと四つ打ちが多かった印象ですが、ファンクがプレイされるイベントでも皆さんゴリゴリ踊ってましたね。
毎日衝撃でした。

カルチャー的なものも違うので”日本では無理でしょ”と開き直りましたね (笑) 良い意味で。
なので、その当時ミックスCDを作ってましたがお陰様で海外のレコ屋にも好評いただいくこともでき、ミックス作成にシフトチェンジしました(笑)
はっきりと自分のスタイルが明確になりましたね〜

C. Kurataさんはそうゆう時期があったのですね!
自分も音楽を通して知り合った人でも音楽だけではなく人間として付き合っていける人を大事にしています。
自分の所属していたTHE GROOVE MASTERSも自分が1番歳下ながらもほんとに人間として付き合ってくれてほんとよくしてもらいました。
なので人間関係には恵まれた中音楽をやってこれたと思っています。
貴重な過去のお話しを聞かせていただいてありがとうございます!

A. 今後のCHIBA-CHIIIBAさんの展望はどのように考えてますか?

C. 次の展望は個人としてまだ動き出してはいないのですがレコードをまた外人のMCをfeatしてリリースしようかと思っています!
ギルティともまた作ろうと思っています!

A. リリース期待してましす!
今回も対談ありがとうございました!

C. ありがとうございました!


【下記商品詳細】

year/2021
country/Japan
label/MUD DIRTY PRODUCTION (MDP002)

ビートメイカー/DJ=CHIBA-CHIIIBAの新作はブラジル音源ミックス!
二枚使いもアリ!! ブラジリアンソウル・ファンク満載、ジャズ、ソウル、ファンク・リスナーはもちろん、ヒップホップリスナーも直撃の驚愕ミックス!

GUILTY SIMPSONとの7inch”What Up”、ビート集”REPEAT THE EXPERIMENT”で話題となったなっCHIBA-CHIIIBAによるブラジル音源ミックス作品が登場です!

注目すべき3つのポイントとして

①ブラジル音源をテーマにしながら幅広い選曲
ブラジル産のファンク、ソウル中心ながら、流麗なジャズサンバ、ヘビィなジャズファンク。Aruthur Verocai関連のレアグルーヴ感あるMPBやサイケ、Azymuthなどの爽快なフュージョン。
更にはヒップホップリスナーも興奮するアレやコレのサンプリングネタまで収め、幅広い層もカバーした広い守備範囲な選曲。

②構成とスキル
なんといっても終始キープされているように感じるグルーヴの構成がスゴイ。CHIBA-CHIIIBA氏のインスタでお馴染みの二枚使いも!
ファンキーではない楽曲をファンキーに聴かせるスキル(例えばBanda Black RioからClaudette Soaresの流れ)、たまりません。 

③ビートメイカーならではの本作の質感
過去に某有名ビートメイカー兼DJの方がブラジル音源ミックスをリリースしましたが、”ビートメイカーが作るミックスって普通のDJが作るミックスとは全く違く聴こえるのは何故だろうか?”と思いながらこの作品を聴き入っしまった独特の雰囲気があります(言葉で表現出来ない何か上質な空気感を身につけているような…)

ここ最近巷でありふれたミックスとは違うこの質感。聴けば納得、お世辞抜きにヤバいです。
マジでオススメです。

限定リリースなので、完売前のお早めの購入をオススメします!

text by Asahi Kurata (mother moon music)


【レーベルインフォ】
ビート集"REPEAT THE EXPERIMENT"も好評だったビートメイカーCHIBA-CHIIIBAが今回はDJとしてブラジルオンリーでMIX CDをリリース。

ブラジリアンソウルからファンク.ジャズ.ジャズファンクからジャズボッサ.ジャズサンバまでビートメイクを主として集められたブラジリアングルーヴが詰まった渾身の1枚

【CHIBA-CHIIIBAプロフィール】

DJ.BEATMAKER.

サンプラーバトルの祭典GOLDFINGER'S KITCHEN 2010 BEATCROSSBATTLE出場。

2009年1月から2017年6月までTHE GROOVE MASTERSの一員として毎週土曜日深夜24:00からラジオつくば84.2mhz"SOUND TRAVEL"のレギュラーDJとして9年間活動。
2018年KAGURA SUNSHINE×ARUMAの限定7inchシングル"今夜はPARTY MAKER"2020年に"今夜はPARTY MAKER"DRESS CODE REMIXのBEATを手掛ける。

2019年SOUR INC.からBEAT "Grimy Dee"をリリース。

2020年AKATSUKILABELからデトロイトのMC Guilty simpsonとタッグを組んだ"WHAT UP"を7inchシングルでリリース。

そして2021年2月13日にMUD DIRTY PRODUCTIONから自身初のビート集"REPEAT THE EXPERIMENT"をリリース。



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