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「リンネ シルク スカーフ」モノがたり ~ネパールで生まれたリメイクプロダクト~


回収したバッグやレザーの端材から生まれた、世界に一つだけのリメイクプロダクト「RINNE(リンネ)」シリーズに、この度「リンネ シルク スカーフ」が登場しました。
*オンラインストア、最後の一品店。 限定発売

今回使用した素材は、染色工程で、ごく一部分に汚れなどが付着してしまった、シルクのグラデーション生地。大切につくった生地を活用できないかと、約3年も前から検討を重ねていました。

試行錯誤を重ねて生まれた「リンネ シルク スカーフ」。どんな人たちが、どんな想いでつくったのでしょうか。モノづくりに向き合う、ネパール工房のスタッフたちのチャレンジをお届けします。

超えなければならない“壁”

シルクグラデーションストールは、2013年から発売され、シルクの滑らかな光沢感と手染めによってつくられるグラデーションが特徴のアイテム。

2023年現在は「トライカラー ファイン シルク ストール」の名前になり、グラデーションの濃淡や生地感の微調整を続けながら、たくさんの方に手に取っていただいている、ロングセラーのストールです。


トライカラー ファイン シルク ストール

職人の手仕事による、グラデーション染めが魅力の1つのストール。その反面、どうしても染色の工程上、一部染めムラが発生したり、他の色がはねてしまい、違う色がついてしまったり、など製品化が難しい商品が発生することがあります。何年も生産を続ければ、どうしても商品できない生地が年々積み重なってしまいます。

もちろんそのまま破棄することはできますが、自分たちで生産した大切な商品には変わりありません。どうにか活用できないかとネパール工房のスタッフと、ストール担当の牛留(うしどめ)は、数年にわたって、幾度もの試作を行ってきました。

ただ活用するんじゃない。
私たちらしいモノづくりをしよう。

生地の活用にあたっては、さまざまなアイデアが出ました。
「濃い色で1色に染めるのはどうだろう?」
「上からペイントを施してみては?」
「絞り染めで模様をつけるのは?」
すべてトライをしてみましたが、マザーハウスのお客さまの顔を思い浮かべたときに「喜んでくれる!」と確信の持てる出来になりませんでした。

「もちろん生産工程の改善は随時行っていましたが、それでも目の前に少しずつ増えていく商品化ができないストールは、生産スタッフの士気ダウンにつながってしまいます。シルクのグラデーション生地をつかったストールの生産自体をやめることを議論したこともありました。そのくらい、私たちにとっては大きな課題だったんです」(牛留)


一枚ずつ手仕事で丁寧に検品。出荷までに生産途中にも何度も検品を挟み、お客様の手元に届いています。

「つくってみたよ」
工場長・スーマンからの提案

2022年8月、牛留はコロナ禍を経て約3年ぶりにネパールを訪れました。そしてそのときに工場長のスーマンから「つくってみたよ」と、生地のきれいな部分だけを組み合わせたカラーブロックストール地を渡されたのです。


いくつものパーツを組み合わせることで、彩りやデザインの幅が広がります。

「これならいけるかもしれない、お客様に欲しい!と自然に思っていただける、商品になるかもしれないと直感的に思いました。ただ、やっと見えてきた光に歓喜しつつも、正直、頭の中はまず品質リスクのことでいっぱいでした(笑)。パッチワークのようなデザインは初めてのトライだったので、お客さまが安心して使える商品にしなければならないなと思いました」(牛留)

そこから、リンネシルクスカーフの商品開発が本格的にはじまりました。

「モノづくりにつかう素材も
責任をもって最後までお届けしたい」最後の一品店。

ほどなくして2023年3月、マザーハウスには「最後の一品店。」という、新しいお店がオープンすることになりました。


東京・秋葉原に22年3月にオープンした「マザーハウス最後の一品店。」

「生産したプロダクトを、最後のひとつまでお届けしたい」という想いで、今後追加生産の予定がないバッグ・ジュエリー・アパレルや、全国のマザーハウス店舗での取り扱いが10点以下になった、希少なものを取り扱うお店。


「モノづくりを行う者として、自分たちでつくった素材にも責任をもってお届けする。その想いがあるこのストールは、マザーハウスでお届けしているRINNEシリーズや最後の一品店。のコンセプトにも合うと感じました。まずは最後の一品店。からお届けしよう、ということになったんです」(牛留)

こうして発売場所が決まったことで、商品開発が加速して進んでいくことになりました。

生地の個性を活かせる、デザインとは。

当初は180cm程度の長さのストールを生産する案もありましたが、パーツの数が多くなりすぎてデザインとしてもまとまりがよくないと判断して、コンパクトな正方形のスカーフに。柔らかなグラデーションとシルクの光沢感が魅力。それを楽しめるようなデザインを考えました。


大きさの異なる5つのカラーブロックを組み合わせて1枚のスカーフに。

「カラーブロックの配置については、同じリンネシリーズのバッグを開発したチームのみんなからも意見を貰いました。単なる4分割だとつまらないなと。けれどパーツや色が多すぎてしまうと雑多になり、きれいじゃない・・・。それぞれのパーツ同士の比率を細かく調整していきながら、グラデーションがきれいにみえる幅を決め、1枚に使う色数も2色までとしました」(牛留)

縫製前の1枚1枚の生地パーツをつくるのにも、細かな配慮が必要です。一度縫製をしてしまうと補修はできません。汚れやほつれがないか、もとの生地を丁寧に確認してからアイロンをかけ、パーツに切り分けをしていきます。


生地を検品するスタッフ。忙しい日々の中でも、工房にはスタッフの笑顔が(ときに歌や踊りも!)あふれています。

工房でたった一人の縫製職人・
プラディップの挑戦

そして、1枚1枚のパーツの縫製を担当するのは、工房でたった一人の縫製職人であるプラディプ。すべての「リンネ シルク スカーフ」の縫製を一人で行っています。


これまでアイテムのタグ付けや生地のストールの端の縫い処理などを中心に行っていたプラディップ。1枚あたり、大量の縫製作業が必要なスカーフづくりに直面して、最初は「できないと思う・・・」と口にしていたそうです。

そんな彼と、牛留や検品スタッフのサリナが「どうやったらできるか?」を、一緒に考えていきました。

とくにシルク生地は滑らかな質感のため滑りやすく、そもそも縫製自体が難しい素材。4回もの試作を重ね、ようやく本生産へ。1辺を完成させるのにも、複数回、縫製を重ねるこのスカーフ。1日に作れるのは、わずか2~3枚です。

「過去、ネパールで洋服のサンプルをつくったこともあったんです。そのときも縫製はプラディップが担当してくれて。ただ残念ながら商品化には至りませんでした。そんなこともあり、今回のスカーフのモノづくりを、彼に任せることができて嬉しいですね。あまりの縫製箇所に最初は苦笑いをしていましたが(笑)一生懸命、応えてくれています」(牛留)

「やっと解決の道筋がみえた」

「リンネ シルク スカーフ」の発売をむかえて、「やっと解決の道筋がみえた!」とは、力強く語ってくれたのは、工場長のスーマン。

「どうしても手元に残ってしまう生地があって、もったいなくて、捨てることもできずにいました。それを使ってお客さまにお届けできるかたちになったことは、本当に嬉しい」(スーマン)

ネパール工房スタッフみんなにとって嬉しいのは、ただスカーフをつくり上げたことではなく、リンネ シルクスカーフを通して、お客さまに笑顔になっていただくこと。

生地パーツひとつ、縫製のひとつに、職人たちの手仕事が表われています。結んだときに生まれるランダムなグラデーション、その唯一無二の彩りをどうぞお楽しみください。

■ EVENT 発売を記念したリアルイベントを開催します!
ネパール担当の牛留(うしどめ)と一緒に、どのように作っているのか、どんな人が作っているのか、開発秘話と併せて、たっぷりお届けします。

日にち:5/13(土)
時間 :①11:00~12:00、②18:00~19:00
場所 :マザーハウス最後の一品店。
参加費:無料
申込 :要申込 *先着順、各回10名定員
詳細・お申込みはこちら





読んでいただいてありがとうございました!マザーハウスをもっといろいろな角度から楽しんでいただける毎日の出来事を、生産地やお店からお届けしていきます!