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コミュニケーションと言語の壁が高すぎる中、私がとったアクション

マトリゴールでのサンプル制作が始まった。

最初、自分で型紙を作っていた。

それは実は、人とコミュニケーションを取ることが苦手で、どんな風にこのサンプル制作期間を過ごせばよいかわからなかったから。

だけどこれではみんなとコミュニケーションが取れないまま、どんどん時間が過ぎて行ってしまうと思った。それでは私がマトリゴールに来た意味がなくなってしまう。

だからまずは頭でよく考えた。
何をすれば彼らとよりコミュニケーションが取れるのか?
ただこれをやってほしいと指示をすればよいのか?でもそれでは変な壁が生まれてしまう気がした。彼らと対等に、相手が心を開いてくれて、私たちの間に信頼関係を生むためには、どんなアクションを起こせば良いのか?その答えが、私がやりたいことだと思った。

そこで色々考えた末に私がとった行動は、サンプルチームの一人として一緒にサンプルを作ること。

思い切って、ホクミアさんに話しかけた。

「アミ アプナル シャテ カジ コルテチャイ」(あなたと一緒に仕事がしたいです)

すると、
「わかった。ちょっと待ってね。」と言って、「これを糊付けしてくれる?」
と糊付けの仕方を教えてくれたのだった。
(単語単語の会話で、やっと会話できた)
小さな内容でも、彼らとコミュニケーションが取れたことが、すごく嬉しかった。

それからはホクミアさんが私のリーダーで、彼に指示をもらう。

糊付けやレザーのカッティングなど、まずは簡単な仕事から教えてくれた。

ホクミアさんに教えてもらって糊付けする様子

それでも間違えたりして、「糊付け、向き反対だよ〜」って言われて付け直したり、少しずつだけど彼らと言葉のキャッチボールをする時間が増えた。


少しサンプルチームと会話の回数が増えてきて、
(よし、生産テーブルのディスカッションにも、入ってみよう。)と思い切って声をかけた。

すると新しい構造のバッグの縫い方がうまくいかないみたいで、生産チームを管理しているジアさんが、生産チームと色々な方法をトライしてくれていた。
テーブルリーダーのモニルさんが何種類も方法を考えてくれて、山ほど、部分サンプルを作っていた。

私もこの問題を解決したくて、というかみんなと解決法を導き出したくて、色々トライしてみたけど、なかなかうまくいかない。

試行錯誤の結果それなりに形を保って縫うことができたのだ。その頃には工場が終わりの時間になって、周りの電気が消えていた。私たちは時間を忘れてずっと真剣に考えていたのだった。

そして次の日、その日に出した最適な方法をマムンさんに持っていった。

するとマムンさんが、「これなら今までで一番可能性があるから、これでやってみよう。」と言ってくれたのだ。

私たちは「よかった!頑張った甲斐があったね。」と顔を見合わせて笑った。


私はこの何日かを通して、こういう些細なコミュニケーションや小さなアクションが、工場のみんなと距離を縮めるためにとても大事なことなのだと学んだ。
そして、そのプロセスの中で最も大事なのが、同じ言語で話すこと。
自分から相手との距離を縮めるためには、相手の言語でわかりやすいように会話をしたほうが、伝わると思っている。
だから毎日生産テーブルのみんなにベンガル語で挨拶しようと思うし、みんなの表情を見ようと思う。きっと、1週間、2週間と経っていくうちに、みんなの表情が変わってくると思うんだ。


コミュニケーションといえば、壁になるのは言語だけではない。
会話相手の対となる自分自身が、知識をどれだけ持っているか?相手の発言の意図を理解しているか?も関わってくる。

それを感じたのはマムンさんとの会話。私はマムンさんとはもっとビジネス的な話もしたいのだが、知識がなかったり、話してもなかなか互いを理解しにくくて、何かが壁になっていて話せない。

ある時、マムンさんが、眉間にしわを寄せて考え込んでいた。私は何かあったのかと思い、
「マムンさん、何か問題でもあったの?」と聞くと、
「大丈夫だよ。」と言った。
そうじゃないんだけどな。私は何があったのか知りたいのに。何か助けたいのに。と思いながら、でもきっとまだ私に話したところで何が解決できるのか?マムンさんもわからないだろうし、私も、果たして私にできることがあるのだろうか?と色々考えてしまって、口が開かなかった。

でも、私はこの滞在中に決めたことがあって、(むしろやりたいと思っていることで、)少しでもマトリゴールの課題を解決するための力になれるように、それに値するアクションを起こしたい。と思っている。

だから、その答えを自分なりに見つけて、この滞在中に行動に起こすのだ。と心に決めた。


私がマトリゴールに来てからの数日間でまず学んだこと、そしてとても大事だと思うこと。それは、一人ではなく、サンプルチームやモルシェドさんとたくさん会話しながら、互いの意見を取り入れながら作る。私はそんな柔軟さと相手の意見を尊重する立ち振る舞い、そして常に物事に真剣に向き合い、ベストを探そうとする姿勢を大事にしていきたい、そう思っている。


ここで最後に、少し、面白いエピソードを書きます。

今日からたまに、爆笑!したこと、「す、、、すげぇ、、、」と感動してしまったこと、そんなエピソードも最後に書いていこうかなと思っています。

ということで、今日のおまけ。

サンプルチームでホクミアさんとサンプルを作ろうとなってから、じゃあわからない時は翻訳機を使おう!となり、(とても便利な時代になりました)
ホクミアさんがテストで、
「チョウサン、ケモナチェン?」
(長さん、元気ですか?)
とグーグル翻訳機に向かって話してくれたのだ。

しかし、、、「火葬場はどうですか?」と日本語では訳されて、「全然翻訳機能してないし!!笑」
と2人で爆笑してしまった。

そんなこんなで、やっぱり頑張ってベンガル語を話せるようになろう。と気合いが入った瞬間でした。笑
頑張ろう!!!!!

読んでいただいてありがとうございました!マザーハウスをもっといろいろな角度から楽しんでいただける毎日の出来事を、生産地やお店からお届けしていきます!