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最後の一品 ”復刻” モノがたり②   バングラデシュの職人の復刻への想い

こんにちは。
マザーハウス 最後の一品店。店主・吉浪(よしなみ)です。

先日、2人の店長のインタビューをお届けした
『最後の一品 ”復刻” モノがたり① 懐かしいのに新しい、時代を超える一品』楽しんでいただけましたでしょうか。

最後の一品店。店主・吉浪と、復刻商品の前身のバッグを持つ高地・黄

当時のマザーハウスを振り返りながら懐かしく思っていただけた方もいれば、最近マザーハウスを知ってくださった方には「そんな時代があったのか!」と驚く内容だったかもしれません。(入社6年目の私も知らないことがたくさんで興味深く2人の話を聞きました。)

本日、マザーハウスは18周年を迎えることができました。
改めていつもご愛顧いただき、ありがとうございます。

18周年に合わせ、本日からこちらの復刻プロダクト(Edge Messenger・Triangle Tote M)を、限定店舗(最後の一品店。・大阪本店・オンラインストア・銀座店 ※3/9(土)18周年記念トークイベント当日のみ)でご覧いただけます。

左:Triangle Tote M ナチュラル・右:Edge Messenger ダークインディゴ
Edge Messenger(左:ダークインディゴ・右:ナチュラル)
Triangle Tote M(左:ナチュラル・右:ジンジャー)

お客様投票で選ばれた、この2つのプロダクト。

ジュート(黄麻)素材の優しい風合いを活かしたデザインや、
使う人に寄り添う、使い勝手の良い設計はそのままに、
更に強度を高め、使いやすさをアップデートして戻ってきました。

本日は、この2つのプロダクトが発売された当初からバングラデシュの自社工場・マトリゴールで働いていた2人の職人に、発売当時の様子と今回の復刻への想いを聞きました。

学生から大人まで、3Wayで使う人の全てのシーンに寄り添うEdge Messenger

マトリゴール職人・ロニ(2011年入社)

マトリゴール歴13年目のロニ。
入社時から、Edge Messengerを作ってきた彼に、復刻への想いを聞きました。

マザーハウスに入社したきっかけを教えてください。

当時、学生だった私は「自分には何ができるんだろう」と考えていました。良い会社を探していたときに、従妹がこの会社に自分を連れてきてくれたのがきっかけです。

実際働いてみると環境が良いなと思い、同僚のみんなは、家族のようにいろんなことを共有できます。仕事がすごく楽しいです。だからこんなに長く仕事ができていると思います。

Edge Messengerをつくっていた当時のマトリゴールの様子を教えてください。

入社した時にはこのバッグはすでに発売されていたのですが、
その時のリーダーが本当にきれいにこのバッグをつくっていました。

入社して、7-8ヶ月間はテーブルリーダーの下で学んでいて、初めは、
「このバッグを自分で作れるようになるのだろうか…」と思っていたのですが、8ヶ月目で初めて自分で最後まで作ることができました。

しばらくしてこのシリーズの生産が終わりましたが、初めてこのバッグを見たときから10数年が経ち、また私の前に来てくれて、今このテーブルの上でもう一度作れていることをうれしく思います。本当に、今でもとても綺麗なバッグだと思っているので、一度生産は終わったけれど、またつくることができてとても嬉しいんです。

あなたにとってこのバッグの中で美しいと思うところはどこですか?

肩掛けだけではなく、斜めがけ、左右にベルトを引っ張りバックパックにも早変わりできるところです。書類を入れてお仕事に使うときは肩掛けで使えるし、お休みの日は斜め掛けに、旅行の時や学生さんの通学鞄として、バックパックとしても使っていただけます。

中にはノートパソコンを入れることもできますし、発売当時は折りたたみ式の携帯電話を入れていたポケットも、サイズ変更してスマートフォンを入れられます。

お財布や、服など、たくさんのものを入れられて、旅行が好きな人にとっては、普段から使えてそのまま旅行にも持っていけるので、ベストなバッグだと思います。

また、一番相談の多かった使う中でジュートが破れてしまうという点も、裏面にコットンを貼ることで最新のジュートと同じくらいに強度を高めています。デザインや素材はそのまま、強度を高め、長く大事に使っていただけるように改良しました。

一番作るのが大変な箇所はどこですか?

特に難しいのは、側面を前胴に繋げるところです。最初にこの側面部分をを繋げるのですが、ジュートをカッティングしているので、毛羽立たないよう糊を塗って、おさえながら縫っています。

つくるのが難しい側面を見つめるロニ。

あとは、ベルトと本体をつなげる、三角部分をつくるのにはとても時間がかかります。ショルダーベルトも手作業で全て折りたたんでいるので美しいです。

レザーを手作業で折りたたむ工程で、美しく仕上げます。

このバッグが復刻したことについて、どう思いますか?

とても嬉しいです。昔の思い出も詰まっているバッグなのでまた作る機会ができて、新しいバッグをつくるような気持ちで作れるのが嬉しいです。

10数年前にこのバッグを買ってくださった方にメッセージをお願いします。

本当は一人ずつにメッセージを伝えたいのですが、皆さんおそらく新しいバッグも発売される中でも、長い時間このバッグを使ってくれているんですよね。大事に使ってくださり、本当にありがとうございます。「美しいバッグだな…自分でつくれるようになりたいな…」と最初に思ったバッグだったので、長く大切に使ってくれていることを嬉しく思います。今回は、もっと長く使ってもらえるように、強度も高めたので、もし復刻バージョンも気に入ったら、使っていただけると嬉しいです。もし今後も復刻するシリーズがあれば、今のスタッフに私から昔作っていたマザーハウスのバッグの作り方を伝えたいので「これは復刻して欲しい!」というバッグがあったら教えてほしいです。

これからこのバッグを使ってくれる方にメッセージをお願いします。

まず背負ってみて、使ってもらってどう感じるか、体験して欲しいです。3Wayで使える使いやすさが一番の魅力で、どんな方にも活躍してくれると思います。今回改良したポイントもたくさんあるので、気に入ってもらえたら嬉しいです。

職人の手仕事の技が光る Triangle Tote M

マトリゴール職人・サイフル(2010年入社)

マトリゴール歴14年目。
入社当時から、Triangle Tote Mを作ってきた彼に、復刻への想いを聞きました。

なぜマトリゴールに入社したのですか?

マトリゴールは他の工場とは違ったんです。その違いを感じてマトリゴールに入社しました。

2つ違いがあって、1つは日本と関わっている会社だという事。当時、バングラデシュで日本に関わっている企業はとても少なかったんです。

もう1つは、チーム体制です。当時の自分のような新人スタッフや、後輩の仕事にミスがあったとしても、上司や先輩たちが一緒に修正し、解決するために努力してくれます。私の古くからの先輩の1人にモルシェドさん(マトリゴールのサンプルマスター。新作の全てのサンプルを担う。)がいます。モルシェドさんと知り合いだったので、入社を決めました。

Triangle Tote Mは、入社していつくらいに作り始めましたか?

入社して4カ月目に作り始めました。

当時このバッグを作っていた時に難しかったことはありますか?

メッシュのハンドルをつくるのが、時間がかかるしとても難しかったポイントです。手作業でないと作れないので、とても時間がかかりました。このメッシュ部分はみんな大変だからやりたがらなかった。笑 だから、メッシュ部分は、私たちシニア(熟練職人)が担当していましたね。それから、このベルトの根本を縫う際に、厚みがあるのでとても難しいです。縫うときに針が折れてしまうこともあります。

何よりも難しいのがハンドルの付け根の革巻きです。すごく硬いですし、厚みもありますし、手作業で時間もかかります。職人2人がかりで締めあげて巻いていきます。メッシュの部分と組み合わせながら巻いていくので、すごく時間が必要です。当時を思い出しながら、1つひとつ丁寧に作ってきました。

ベルトのメッシュと、職人2人がかりで巻き上げるハンドル根本の革巻き部分。

職人の技が光るバッグなのですね。当時を思い出しながらTriangle Tote Mの生産をすすめたと聞いていますが、当時と今のマトリゴールとの違いはありますか?

昔のマトリゴールは品質に関して言うと、今のようなレベルでできなかったこともありました。少しずつ日本人のお客様の事も分かってきて、現在は品質がとても向上しました。

今回のジュートバッグは、裏にコットンを貼ることで、強度を高めました。また、根本の革巻きも取れないように何度もトライを重ねました。発売当初よりも品質を高められるようになったのは、成長だと思います。

これまでの積み重ねを活かして、より良い状態で発売を迎えられたということですね。逆に、今でも同じところはどこでしょうか?

入社した時も、喜びを感じながら一つひとつの仕事をしていましたが、こんなに時間が経った今でも変わらず、同僚たちと協力しながら、毎月新しいトライを続けて、喜びを感じながら働いています。レザーの色が大きく変わっていますが、先輩たちと共有しながら、新しいレザー、新しい色のレザーとともに仕事ができるのが面白いです。

この商品が復刻したことについてどう思いますか?

とても嬉しく思います。10年前にこのバッグをつくって時間が経ちましたが、復刻して昔のバッグだけど新しいバッグをつくるような気持ちでバッグに向き合っています。昔のバッグをお客様が欲しいと思ってくれていることがとても嬉しく思います。また作ることができてうれしいです。

Triangle Tote Mにちりばめられた職人技を伝えるサイフル。

復刻を記念して、当時のロゴを採用しました!このロゴについてどう思いますか?

新しいロゴができてから、この「家」マークのロゴのことを実は忘れていました。「新しいロゴをゲットしたぞ」とそんな気分です。笑 マザーハウスを意味する「家」のロゴでエンボスをしていて、すごく嬉しいです。

働く人にとって第二の家になるように想いを込めた当時の「MOTHERHOUSE」ロゴ

10年以上前からこのバッグを使ってくださっているお客様にメッセージをお願いします。

私がマトリゴールに入社した頃の懐かしいバッグを、長い間大切に使ってくれて、本当に嬉しいです。今回、過去のバッグをつくるオーダーをいただいて、みんな喜んで作ってます。当時サブリーダーだったスタッフは私を含め、全員リーダーになりました。このバッグをリーダーとしてつくれることをすごくうれしく思います。

最後に、お客様にメッセージをお願いします。

とても昔に作っていたバッグですが、今回ブラッシュアップして、変わらず楽しんでいただけるようにトライしました。今回初めて出逢ってくださる新しいお客様にも、気に入っていただけたら、とても嬉しいです。素材や、職人の技術、ロゴは当時の様子を再現しながら、強度や使い勝手などアップデートした部分もたくさんあるので、昔からのお客様も気に入っていただけたら嬉しいです。

ロニさん、サイフルさん、ありがとうございました!
最初に商品が完成した当時からの二人の想いに、改めて大切に2つの復刻バッグをお届けしたいと感じました。

2つの「復刻の一品」は、3/9(土)の18周年記念イベント限定の日でマザーハウス銀座店で、また、最後の一品店。・大阪本店・オンラインストアでもご覧いただけます。

今回、数量限定での復刻となりますので、実物をご覧いただける今のうちに、職人の想いのこもった「復刻の一品」をぜひお楽しみください。

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■銀座店(3/9(土)のみの取り扱いです)


最後の一品店。店主・吉浪


読んでいただいてありがとうございました!マザーハウスをもっといろいろな角度から楽しんでいただける毎日の出来事を、生産地やお店からお届けしていきます!