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最後の一品 ”復刻” モノがたり①   懐かしいのにあたらしい、時代を超える一品

昨年3月に秋葉原の本店隣にオープンした「最後の一品店。」
これまで、ラスト数点になった希少なプロダクトをお届けしてきました。

「こんなに素敵なバッグがあったんですね!」
「今日たまたまお店に入ったんだけど、あの時買えなかったプロダクトに出逢えて嬉しい!」

と、お客様から沢山の喜びの声をいただいて、プロダクトとの出逢いをつくれたことを嬉しく思う一方、バングラデシュの自社工場に眠るジュートとの出逢いが「復刻の一品」を届けるプロジェクトにつながっていきました。

発売に至るまでの道のりにはどんな軌跡があったのか、「復刻の一品」の魅力はどこにあるのか?最後の一品店。店主・吉浪(よしなみ)が、発売当時を知るマザーハウスの店長に聞きました。


工場に眠るジュートとの出逢い

こんにちは。最後の一品店。店主・吉浪(よしなみ)です。

昨年8月、私はバングラデシュの自社工場・マトリゴールに行きました。
工場長・マムン(写真左)に「最後の一品店。」の取り組みを伝えると、とても喜んでくれました。

「吉浪さん、最後の一点まで大事に届ける取り組みをしてくれて、本当にありがとう。職人が大事に作ったプロダクトが、お客様の手に届くことが本当に嬉しいです。実は、マトリゴールの倉庫に、プロダクトになる前のジュート(麻)やレザーが眠っていて、それも活用できないかと考えているんです。」
工場には、活用の道が見い出せていない、過去のジュートやレザーが眠っていることを知りました。

マトリゴールでマムン含めマネジメント陣と議論する店主・吉浪

その後、日本に戻って、開発チームとも話し、お客様と一緒に過去の商品の中から復刻したい商品を決める「復刻ドラフト会議」をやってはどうか?という案をまとめました。

マムンさんにも連絡し「いいね!ぜひやりましょう!何でも協力します!」と心強い返事をもらうことができました。

サンクスイベントで、お客様の投票で復刻商品を決める
「復刻ドラフト会議」開催!

お客様投票の結果、4つまで候補をしぼり、昨年10月のサンクスイベントにて、東京・大阪会場で、お客様投票にて復刻商品を決定しました。

東京会場は80名、大阪会場は50名のお客様がお集まりくださり、過去のプロダクトを知るお客様からの熱意あふれるプレゼンを行い、最終投票へ…

投票を待つ4つのバッグたち。たくさんの候補から選び抜きました。
お客様やスタッフからも、推薦コメントをいただき…
復刻商品が決まって、拍手してくださるお客様

Edge Messenger・Triangle Tote M の復刻が決まりました!

どちらも創業期から非常に人気が高かったのですが、惜しまれながら
10年ほど前に生産終了したバッグ。
お客様からの熱い想いを受け、近日中に復刻することが決まりました。

今回の復刻ドラフト会議を進めてきた一方で、私は当時のことを知らない…
でも、発売当時の様子や想いを知って、お届けしたい…
そんな想いから、発売当時を知る2人の店長に話を聞きました。

12年前のマザーハウス

・左:池袋東武店 店長・高地(コウチ)2012年入社。
Triangle Toteの前身となったバッグ(ナチュラル)を愛用。

・右:舞浜イクスピアリ店 店長・黄(コウ)2012年入社。
Edge Messenger(ダークインディゴ)を愛用。
聞き手:最後の一品店。店主・吉浪

当時、お2人はどちらの店舗にいらっしゃったのですか?

(高地)私は、2012年2月入社で、実は黄さんと同じお店で働き始めました。
(黄)当時あったマザーハウス モザイク銀座阪急店というお店に、2人とも新人として入社しました。ちなみに、2012年1月半ばに入社したので、高地さんより2週間先輩です。笑 当時の店長から、「実際に使ってみると、よりお客様にお伝えできることが増えるよ」と教えてもらって、「自分も使ってみよう!」と思ったのがきっかけでした。

(高地)その頃、この2つのプロダクトは本当に人気で、私もお客様にご案内する中で「自分でも使ってみたい!」と思って、実際に買ってみました。私が使っているのは、今回復刻になるTriangle Tote Mの前身のMini Triangleというバッグなのですが、Triangle シリーズは、性別年代問わずいろんなお客様、そしてスタッフも使っている人がとても多かったです。

長年愛用されて2人の体に寄り添う柔らかな風合いになった、Mini Triangle・Edge Messenger

マザーハウスの起源(オリジン)

実際に使ってみて、商品の魅力・おすすめポイントはどこですか?

(黄)肩掛け、斜め掛け、バックパックの3wayで使えて、使い勝手がよくいろんな人におすすめできるのが一番のポイントです。いつも斜めがけにして前に持ってくる、ボディバッグスタイルで使っています。

黄は、いつも身体の前にもってくるボディバッグスタイル。
急いでいる時は、さっと左右を引っ張りリュックにも!

後はポケットの多さ!バッグの前側にある外ポケットは、手が奥まで入るくらいたくさんモノを入れられるので、お財布やパスケースを入れて、パッと取り出せるようにしています。内側ポケットも豊富で、ペンや携帯電話専用ポケット、少しマチのある場所にはお財布を…と全て綺麗に入れられるのが本当にうれしいです。
いつもボディバッグスタイルで使うので、使うほどに、ジュートが柔らかくなって、身体に寄り添ってくれるのも好きなポイントです。

当時、Edge Messengerは、カタログの表紙になるくらいメインの商品でした。「お仕事やお出かけはもちろん、1-2泊の旅行もこれ1つで行けますよ!」とお客様におすすめしていたのが懐かしいです。

豊富なポケットの魅力を語る黄。前にもってくるとポケットにすぐ手が届く!

(吉浪)マザーハウスを創業したばかりの山口さんが当時の職人と、
「ジュートの風合いを活かすために芯材はないほうが良いんじゃないか」
「芯材なしでも立体感が出るように外側から縫ってみたらどうか」
生地を伸ばしたり、くしゃくしゃにしたり、洗ったり…と、様々な実験を行う中で、Edge Messengerが生まれた、と聞きました。

復刻ドラフト企画を始めた時「このバッグ『裸でも生きる』(マザーハウス代表・山口の著書)に出てきたバッグだ!」と、感動しました。

(黄)マザーハウスのオリジン(起源)と言われる所以ですよね。入社当時、他にもいろんな型が発売されていましたが、山口さんの著書を読んで「マザーハウスといえば、Edge Messenger!」と選んでくださるお客様も多かった記憶です。当時、外縫いの立体感と、芯材を使わない軽さが魅力で、多くのお客様に支持されていました。

Triangle Tote M のおすすめポイントは?

(高地)たくさん荷物を入れられるのと、あみあみのショルダーのおかげで、肩掛けしても落ちてこないのが魅力です。容量たっぷりで本当に使いやすく、仕事用ノートパソコンや書類はもちろん、ポーチもたくさん入るし、マザーハウスの当時のスタッフは、ほぼ全員持っていたのでは?というくらい社内でも人気でした。仕事の日はもちろん、お休みの日も荷物が多い時に使っています。

発売当時、マリンスタイルが流行っていて、ボーダー×デニムのような、
大人カジュアルスタイルに合わせてくださる方が多かったです。シンプルなパンツスタイルなどにも合わせやすく、今持ってもすごく可愛い、どんなスタイルにもなじんでくれる、タイムレスな魅力があります。
ナチュラルだけど、レザーがあしらわれることで上品な見た目になるので、
シーンを選ばず、合わせやすいです。

黒のERIKO YAMAGUCHIのワンピース、デニムに合わせて。

あみあみのハンドルは、使っていくうちに、もちもちした手触りになり、自分の肩にさらに馴染んできました。当時、このハンドルは、職人さんが2人がかりで作っていたと聞いています。販売終了したのは、商品群がレザーメインに切り替わってきたというのもありましたが、マザーハウスの店舗数が増えてきて、これ以上販売数を増やしてお届けするのは難しい、職人の手が痛くなってしまう、と泣く泣く終了となったと聞いています。使うほどにもちもちしてきて、自分の肩や手になじんでくるのも魅力です。

使うほどに、もちもちしてきてなじんでくる、あみあみが可愛らしい。

当時のおすすめポイントは?

(黄)「使うほどに、身体になじんできますよ!」というのは、必ずお伝えしていました。使い始めは真四角なのですが、使うほどに柔らかくなるのが魅力。お客様に自分のバッグをお見せして、「こんなに柔らかく、体に沿うなら、いいね!」とお客様もびっくりして、お選びくださることも多かったです。

色は、ナチュラルは女性に人気でした。男性には、ダークインディゴなどシックなカラーが人気。当時「ジュート=コーヒー豆を入れる袋」のイメージの方が多く「こんなにいろんな色があるんだ!」と驚いていただくことが多かったです。今回の復刻には入っていないけど、オレンジやオリーブもありました。ある時、ナチュラルなどの定番カラーが売り切れて、お店がオレンジとオリーブになって、一時的にハロウィンみたいになった日もありました。笑

ジュートを使ったバッグは最近増えてますが、これだけのカラーバリエーションはマザーハウスならではです。

使うほどに毛羽立ちなくすべすべしてくる、ジュートの表面に感動!

懐かしいのにあたらしい、時代を超える一品

復刻すると聞いてどう思いましたか?

(高地)当時の2トップ人気プロダクトだったので、納得でした。
「マザーハウスの原点」と言えばこの2つ、なプロダクトなので。

(黄)山口さんをモデルにしたドラマが放送された時も、バッグが映り、非常に反響が大きかったです。消費税増税の直前に、朝の情報番組でTriangle Tote Mが紹介されたのですが、お店のオープン前にオンラインストアで売り切れてしまって「お店の在庫を集めてください!」と指示があったその直後、お店にもお客様が殺到しました。

一方、発売当初は穴があきやすくて、修理に出されたり、買い直されたりする方も多かったです。ジュートは染色すると強度が弱くなってしまうので、染色したジュートはジュート×コットンの素材に変わったり、何度も改良を重ねたりして、少しずつより良くなっていった印象です。

(吉浪)人気商品であり、メディアでもすごい反響だったんですね!
ここで、少し早めにお2人に復刻版をお見せします。どこが変わったかわかりますか?

(黄)あ!ポケットが携帯電話から、スマートフォンが入るように、サイズが大きくなってます!タグは当時の「家」をイメージしたロゴのままなんですね!

復刻品にあしらわれた「家」をイメージした初期のMOTHERHOUSEロゴ。

(高地)Triangle Tote Mのあみあみハンドルと、根本のぐるぐるも、そのまま復刻されていますね!見た目は当時のまま、あまり変わっていないですよね…?何が変わったんだろう…?

(吉浪)実は、ジュートの裏にコットンを貼ることで、強度を高める改良をしました。最新のジュート商品と同じくらいの強度で使用いただけるようにしました。

(2人)さすがにわからなかったです。笑 でも、一番お客様からご相談の多かったポイントなので、改良されて嬉しいです。

(吉浪)修理チームに少しいた時期にご相談をいただくことが多かったので、そこは絶対改善したいと思い、開発チームを中心に改良を重ねました。

ちなみに、ナチュラルは初回入荷予定分で使い切っていて、他の色も、もうすぐ使い切る予定なので、数量限定の復刻です。

(黄)素材がちゃんと綺麗に保管されていたんですね!

(吉浪)そうなんですよ。綺麗に保管倉庫にくるくる筒状にして保管されていました。マトリゴールや、マザーハウスの開発チーム、いろんな人の協力があってここまでこれました。詳細な改善ポイントや、復刻バージョンの詳細な情報は、最後の一品 ”復刻” モノがたり② バングラデシュの職人の、復刻への想い の公開をお待ちください。

復刻版と自分のバッグを見比べる2人。
ジンジャーは、合わせやすい柔らかなブラウンカラー。

新しく生まれ変わった2つのバッグ、どんな方に持って欲しいですか?

(高地)Edge Messengerは、ぜひ旅行に連れていって欲しいですね!
海外旅行もいけるようになり、今こそ旅行のお供におすすめしたい。
発売当時も、旅行におすすめしていましたが、最近、大きめの斜め掛けショルダーが再流行しているので、当時を知るマザーハウスのお客様はもちろん、当時を知らない、最近マザーハウスを知ってくださった方や20代くらいの若者たちにも持ってほしいです。

(黄)Antique Square backpackやSoraのような、マザーハウスの定番を選んでくださる方にこそおすすめしたいですね。ジュート素材で軽いですし、肌触りが気持ちいい。1年中使えるのはもちろん、暑い季節は特に涼しく使えるので、いろんなところに連れていって欲しいです。

(高地)使うと表面が段々なめらかになるんですよ。「ジュートって毛羽立つのでは?」と当時から心配されることもあったのですが、逆に、使えばつかうほど摩擦ですべすべ、綺麗になる。使うほどにその人に寄り添うバッグになっていきます。

(黄)そういえば、長年のマザーハウスファンのお客様からも
「最新のジュートもかわいいけど、昔のジュートはもうないの…?」
とお問合せいただき、これまでご案内ができていなかったので、発売したら必ずご案内したいです。

(高地)Triangle Tote Mは、ラインがなめらかで美しいので、特に女性におすすめしたいですね。春夏の軽いバッグの定番は、カゴバッグやストローバッグだとおもうのですが、より、自分らしく持ちたい、人とちょっと違う雰囲気を出したい方におすすめしたいです。

ジュートなので、軽いのはもちろん、革を少しあしらっているので、上品に見えるんです。軽さも大事にしたいけど、カジュアルダウンしすぎない、きれい目で爽やかな春夏バッグとしてご提案したいです。女性らしい、けど少しだけ自分らしさを出したい、アクティブな方に使っていただきたいですね。

(黄)ジュートでこれだけのカラバリは、今でもほかにないですよね。マザーハウスらしい2つのプロダクト、ぜひ復刻されている今のうちに楽しんでいただきたいです!

高地さん、黄さん、ありがとうございました!

マザーハウスの起源(オリジン)と呼ばれるバッグ。

3/9の18周年記念イベントで復刻発売を開始しました!

復刻を記念してバングラデシュの職人にもインタビューした
最後の一品 ”復刻” モノがたり② バングラデシュの職人の復刻への想い
がぜひ、ご覧ください!

最後の一品店。店主・吉浪



読んでいただいてありがとうございました!マザーハウスをもっといろいろな角度から楽しんでいただける毎日の出来事を、生産地やお店からお届けしていきます!