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ネパール西部地震へのマザーハウスの取り組みについて

こんにちは。
ネパール事業担当の牛留(うしどめ)です。

新年から、心が痛むニュースが続きますね…。
他人事には思えず、新年からニュースを見つめていました。

というのも、マザーハウスのストールやセーターを生産しているネパールでも、昨年11月3日深夜に、西部のジャジャルコットという地域を震源とした、マグニチュード6.4の地震が発生したばかりだったのです。

ADRA(アドラ)提供

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、ネパールでは、2015年にも大地震があり、私たちの生産工場やスタッフも、大きな影響を受けました。

ようやく復興してきたと思えば、コロナ禍になり、なんとか、少しずつ日常が戻ってきたタイミングでした。

そんなネパールで、2015年以来の大きな地震発生。

当時、私は日本にいたのですが、久々の大きな地震に気が気でなく、朝から各スタッフ・工場に、連絡をして回り、翌週にはネパールへ向かいました。

今回、震災が起こったジャジャルコットやルクム地域は、私たちがモノづくりを行っている、首都カトマンズから、車で約20時間かかる地域。

結論、生産を行っている工場やスタッフには影響はなく、カトマンズでは、変わらない日常が流れていました。

みんなが安全に、変わりなく過ごしていることに安堵しつつも、あんなに大きな地震があったのに、こんなにも平穏なことに若干の違和感。

「自分に見えている姿は、本当に正しいのか」

そう思い、支援団体や現地NGOのオフィスに足を運び、現地の被害状況を知り、愕然としました。

ADRA(アドラ)提供

今回の震源地は、日本の能登半島地震と同じく、人々のアクセスが難しい、山間部の隔離された地域です。

また、その地域柄ゆえ、その土地だけで生計を立てていくことは厳しく、多くの若い男性は出稼ぎに出ており、地域には、その家族(子供・女性・高齢者)が残されていました。

そのため、人口30万人程度の小さな地域で、死者数154名、負傷者数934名という甚大な被害を出してしまったのです。

また、元々建物の作りがしっかりとしていない地域のため、病院や役場、学校など、本来は避難所になるような施設も倒壊。
余震も続いているため、開けた場所でのテント生活を余儀なくされています。

標高も高い地域のため、11月には雪が降ることもあります。
もともと、冬の寒さの影響で亡くなる方も少なくない地域で、これから本格化する寒さの中、二次被害が発生することは容易に想像がつき、なるべく早い対応が求められていることを感じました。

そこで、今回、マザーハウスでは、お客様からお預かりしている「ソーシャルポイント」を活用し現地の方々へ支援を行うことにしました。

① ソーシャルポイントから約50万円分を活用、防寒キットを配布

ADRA(アドラ)提供

② マザーハウスのマフラー 約130枚の提供

ネパールのスタッフと、1枚1枚検品を行いました。

今回の被災地は、実際に私たちが活動している地域ではありませんし、私たちのスタッフが、この震災に見舞われたわけでもありません。
また、私たちの活動拠点周辺で発生している災害は、今回の震災以外にも複数あるのは事実です。

お客様からお預かりしている「ソーシャルポイント」を活用して、私たちが、どこからどこまで活動をしていくのか、私自身も悩み、代表の山口・山崎と一緒に、どうすべきか考えました。

ただ、日本を始め、世界での報道がほぼない状態で、支援が適切に届かず、苦しんでいる方々が実際に多くいることを知り、何とかしたいという思いがあること、私自身が、私たちマザーハウスが現場で活動しているからこそ、現場で必要な支援を迅速に判断し、できるアクションもあるのではないかと、2人から後押しをもらい、今回の支援を行うことにしました。

当初、私自身も現地入りすることを検討していたのですが、通常であっても片道20時間かかる地域に、土地勘のない日本人が1名乗り込んでも、かえって迷惑になってしまうため、現地で活動されている「ADRA Nepal (アドラ・ネパール)」の皆様にご協力いただくことにしました。

牛留・ADRA Npeal (アドラ・ネパール)シュレスタさん、渡辺さん、ドクタースーマン

今回の支援を行うにあたって、複数の団体の方々とお話をさせていただいたのですが、ADRA Nepalの震災後現地入りの迅速さや、普段ネパールで行われている、医療支援のプロジェクトなど、現場で取り組んできた経験・蓄積が生かされ、現地に必要とされる支援を適切に進めている姿は、本当に頼もしく映りました。

特に、ADRA Nepalの渡辺さんは、ネパールでの約5年間の生活から、ネパール語を話せることはもちろん、常に、「ネパールのためにできることは何か?」を考え、行動されているのがとても印象的でした。

現地の言葉を使って、対等にコミュニケーションをとりながら相手を理解しようとされる様子や、現地の人と一緒になって真剣に仕事をされていることに感銘を受け、「この方々なら、信頼してお客様からお預かりしたポイントを活用いただける」と感じ、今回お願いをさせていただきました。

支援物資はリキシャ型の小さなトラックで届けました ADRA(アドラ)提供
マザーハウスのマフラーを配布 ADRA(アドラ)提供
早速巻いてくださった被災地の方 ADRA(アドラ)提供

防寒キットと、マザーハウスのマフラーを配付後、被災者の方々から、

「家は倒壊し、外で生活しているため、本当に寒さが厳しかった。防寒キットもマフラーも、とても役に立った。」

「電気もなく、焚火をして暖を取っている。湯たんぽに沸かしたお湯を注いで、冷たい足を温めることができた。」

などの声が届いている一方で、

「防寒キットもありがたかったが、食料品があったらもっとよかった。」

など、まだまだ現地の状況が厳しいことを感じさせるコメントも届きました。

ネパールの寒さはこれからも続きますし、建物などの立て直しも、まだまだこれから。

長い道のりにはなりますが、現地と連絡をとりながら、これからも私たちにできることはないか、考え、動き続けたいと思います。


読んでいただいてありがとうございました!マザーハウスをもっといろいろな角度から楽しんでいただける毎日の出来事を、生産地やお店からお届けしていきます!