新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part1ロンドの旅 Chap2プサンの事件
4.相反
何か分かったのですか?
まだ、仮説ですけどね。メライ、1年前の同じ日はどうなってる?
15日晴れ
あそこに行くのは何年ぶりだろうか。たまには昔を思い出しながらのんびり向かうとしよう。
16日晴れ
指定の場所で待ったが誰も来ない。帰宅する。
こう書かれているわ。
そうか。
で、いま調べたけど、やはり実際の天候は逆のようね。
逆?
うん。「朝虹は雨、夕虹は晴れ」という諺があるわね。これは、夕方虹が出ていれば翌日は晴れの確率が高いということを表している。科学的な根拠もある。そこに違和感があったってわけ。そして、この手帳はリングノート。ページの入れ替えは簡単にできちゃうわ。今年の14日が虹、15日が雨ってなってるけど、調べたところ今年の15日は晴れ。そして、手帳では去年の15日が晴れになっている。つまり…今年と去年の15日、16日のページをすり替え、1年前の16日に書かれていたソウルの山へ遺体を運んだ、若しくはそこで殺された可能性があるかも…って思ったのよ。
な、何ですって!では、ご主人様は15,16日はどこにいたのでしょうか。
うーん、「指定の場所」だけでは特定のしようがありませんね。
ん?これは…。鉛筆かシャーペンはあるかしら?
お、いいものを見つけたね。
あ、はい。こちらをお使いください。
メライ、これは証拠品だ。新たな事実が分かるかも知れないから、あとで警察に再提出が必要になるだろう。僕らが何も手を加えてないことを証明するために写真と、念のため動画に残しておこう。
そうね。じゃあ私が撮影するからこれよろしく。
わかった。
同意すると共に、手帳の隅をペンで塗りはじめた。すると、3文字の言葉が浮かんだ。
ナ、イ、ル
どういう意味だろう。
ナ、ナイル!まさか…。
何か心当たりがおありで?
確信はないのですが、ご主人様が幼少のころ、ご家族で年に何回か別荘に行かれていました。使用人も身の回りのお世話で同行したのですが、ご主人様と私はそこを「ナイル」と呼んでいたのです。別荘が韓国最長の川のほとりにあったかはなのですが、2人だけの暗号というか、お互い子供でしたので、ふざけていたんです。すっかり忘れてましたが、いま思い出しました。
それは調べてみる価値がありそうです。ご案内いただけますか?
は、はい。わかりました。奥様にご連絡を入れ、他の使用人たちへ事情を話してきますので少々お待ちください。距離がありますので、そのつもりで準備をお願いします。
わかりました。できれば別荘に入る許可を取っていただき、鍵を持参してもらえれば助かります。
そうですね。奥様にお願いするようにします。
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